最愛

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103035510

感想・レビュー・書評

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  • 読み進みずらく、時間がかかってしまった1冊。
    前にも、この方の本を読んだんだけど
    読むのに時間がかかり
    内容が入ってこなかったんだったよなぁ。
    残念です。

  • この小説の中の姉は最も重要な役柄であるのに一言も発しない。
    姉の人となりを徐々に周囲との関係性から明らかにしていく過程がうまい。
    事件の真犯人を知るよりも、この姉の魅力的な人物像に関心が向いていってしまう。

  • 18年間もの間、音信不通だった姉が
    意識不明の危篤だという連絡が入った。
    頭部に銃弾を受け、病院に運ばれたという。

    伊吹という男と婚姻届けを出した翌日のことだったが、
    夫という人物は姿を現さない。
    部屋にあった不審な預金通帳、何故か執拗につけまわす刑事、
    小児科医である押村が、姉に何があったかを探る。


    かなり後味の悪い話しだったわ。
    弟に対する姉の盲目といえる程の愛というか。
    かなりあっさりとした感想だけど。。。


    最近の真保さんはダメかな、わたし
    山崎まさよし主演でドラマになった『奇跡の人』もだったけど、
    この人の作品で最近とってもおもしろかった!と思った本に会えない。
    『奇跡の人』って2000年の作品でしょ。これ以降か・・・。

    この人のグイグイと先をどんどん読ませていくようなパワーと
    エンターテイメント性はどこいっちゃったんだろ。
    『奪取(上)』とか『ホワイトアウト』とかとってもおもしろかったのに。
    昔好きだった作家の著作が、最近ぱっとしないのは寂しいな。

  • なんじゃ、こりゃ・・・
    まず主人公や周りが崇拝する「姉」に全く感情移入できない。
    ガソリンを持って町金に乗り込んで、撃たれて瀕死になった姉。
    36歳。
    主人公は多分32歳。(大学を卒業して10年と記載あり)
    なんというかこの姉って人が、私にはただの巻き込まれ好きというか無鉄砲にしか思えない。
    やくざにむかっていったとか・・・
    手荒い刑事を戒めたとか・・・
    会社の人達が恋人に冷たくしたとその会社に怒鳴り込みにいったり・・・
    なんでそれが素晴らしいのかがわからない。
    恋人のために体を売っていたことまで美談にしてしまう始末。
    挙句の果てにあの衝撃(?)の事実w←いや、笑うしかないです
    なんでそのことが周囲にバレバレなのかも全く読み取れない。記述もないし。
    なんかほんとどうしちゃったの?って本でした。
    読後不快感の残るミステリーが好きですが、別の意味で不快感が残る本でした。

  • 生き別れになっていた姉が、瀕死の重態になっている。姉の身に何が起こったのか?を弟が追っていく、というストーリーです。

    さらりと読めました。
    でもあまり残らなかったです・・・

  • パッとしないなーと思っていた所でオチに持って行かれました。個人的に好きなオチ。

  • 最初、小児科医の独白で始まるから医療物かと思って読み始めたら全然違う内容でした…。

    しかし読み終わってみて、これ本当に真保さんが書いたの?って感じが。確かにハードボイルドと言われればそうなんだけど、なんというか今までの「男くさい」感じの作風からどうにもこうにも全体的に「女々しさ」の漂う内容に感じられました。

    オチっていうか、主人公の秘密も最初から駄々漏れだし(これは狙ってたのかな)。

    初期の頃の作風のほうが好きだったなぁ…。

  • どうにも入り込めず、最初から最後までなんだかな~・・・という感じ。

  • プロの書いた小説にこう言うのもなんだけれど、
    相も変わらず文章が上手い。
    早々と最愛の姉という言葉を出し、
    姉の生活を語り色々な形での最愛を見せた上で
    最終的に『最愛』を語る。
    それ以外にも例えば、
    『事が起こってからでないと警察は動いてくれない』
    と同じ文章を間を置いて二度繰り返し、
    三度目にして
    『動かないのは何も警察だけではなかった』
    とすることで、事態の重みが強調され
    ずっしりと心に響く。
    この重み、その時点で読者に分かっている以上に
    重みがあったことが、最後まで読んで
    初めて分かるところがまた心憎い。

    以降ネタバレ。



    男子高校生との二十代前半の女性恋愛は
    そんなにいけないことなのだろうか?
    そんなにも後ろ指刺されなければ
    ならないことなのだろうか。
    高校生が17歳でなく18歳だったなら問題なかったのだろうか?
    そんなのくだらない。
    当人同士が真剣だったなら
    それで十分だと思う私は甘いのだろうか。
    たとえ二十歳を過ぎていたって、
    若い側の親は心配するし、年上側は気に病む。
    人の恋愛を犯罪呼ばわりする同僚の男の方が、よほどくだらない。
    四の五の言わずにそんな暇があるなら金を返せばいいのに。

    主人公が姉を何度も強いと言うし、それを否定はしないけれど
    そこまで強いとは正直思わなかったのは、
    千賀子さんが私と似た人間に思えたからかもしれない。
    私は男同士の、しかも知らない人間同士の揉め事を止める勇気はない。
    ただそれでも、人の愛し方が似ている気がするのだ。
    伊吹に自分の過去の傷や罪を洗い浚い話してみたり、
    相手が殺人犯でも、今現在償っていない罪を背負っていても愛することができたり
    罪を償って戻ってくるまで待っているという
    意思表示のために、
    敢えて本人が渋っている入籍をしてみたり。
    この種の真っ直ぐさ、というよりも強引さだろうか。
    これは私の中にもあるものだ。
    好きな人には恥と思うことでも曝け出すし、
    それで相手が少しでも気が楽になってくれたらと思う。

    相手がどんな間違いを犯していても嫌いにはならないし、
    相手を思いこそすれその間違いを正そうとするけれど
    絶対に見捨てることはない。
    全身全霊をかけて好きになる。
    全力で、真剣だ。

    だからなのか、彼女が実の弟と関係を持ったと聞いても、
    正直なにもマイナスの感情は抱かなかった。
    『世間』の人間はやはり違うのだろうか。
    汚らわしく思うのだろうか。
    親戚や、真尋のように、言葉を失って距離をとってしまうのだろうか。

    いつも真保さんの本を読んでいると、
    どんでん返しに継ぐどんでん返しに騙されるのだが
    今回初めてそれが無かった。
    悟郎が真尋に、
    愛する女性の子供をこの世に迎えることが出来なかった
    と語った台詞、相手は姉ではないのかと思っていたので。
    傍から見ていたら、近親相姦で許されない恋なのだろう。
    汚らわしく非常識に思われても仕方ないのかもしれない。
    でも、本人たちにとってはそんな汚い気持ちではないはずだ。
    もっと崇高で透明な気持ちだ。純粋なのだ。
    この目の前の人を好きだという気持ち。
    どう大切にしたらいいのか、愛したらいいのか、
    それを伝えたらいいのか。

    理屈ではないのだ。

    哺乳類である限り、触れることで愛情を確かめ合うのは本能でもあるのだし、
    なんの不自然もないように思えてしまう。
    ただ好きなだけなのだ。
    ただ、愛しているだけなのだ。
    大切なだけなのだ。
    魂の結びつきとでもいえばいいのだろうか。

    悟郎が姉を抱いたことはごく自然なことで、
    どうしても間違っていたとは思えないのだ。
    悟郎と千賀子それぞれの気持ちが、
    分かりすぎるほど分かってしまう。
    私が千賀子の立場でも、悟郎を受け入れるだろうし
    子供を宿したとしたら生みたいと思うだろう。
    大切な人の血を分けた大切な命なのだから。

    互いの存在を確かめ合い、赦す為に寝ることだって当然あるだろう。
    子孫を残す以外に性行為に目的を見出したのが人間なのだから、
    快楽のためでなく確かめ合うために
    互いを大切に思ってことに及んでなんの不自然があろうか。


    『一瞬の感情が人を永遠に縛る』。
    この言葉にはドキッとした。
    一瞬が永遠になる。
    忘れられない人をいつまでも心に抱くことも
    逆上して人を傷つけることも
    その一瞬がいつまでも自分を縛ることになる。
    たとえ一瞬の気持ちでも、たとえそれに縛られても、それは一時の気の迷いとは違うものだ。紛れも無く自分の気持ちだから、迷っても後悔はしない。
    迷っても進むから結局は迷わない。続いていくから永遠になる。


    ラストは衝撃だった。
    いくらもう長くはないと言っても、安楽死させてしまうとは思わなかった。

    ただ、自分の手で最愛の人を殺す。
    これもまた最愛であり永遠だ。永遠に千賀子は悟郎のものになり、
    誰にも穢されることがない。
    そしてその罪も愛も背負って生きていくこともまた、
    一瞬の感情に縛られた永遠なのだろうと思う。

  • 「慟哭の恋愛小説」と帯にはありましたが。これを「泣ける恋愛小説」と解釈してはいけません。まあたしかに泣けるけど……違う意味で。なかなかに惨い物語だったな、と個人的には思いました。けなすわけじゃないけれど、感動を求めて読むのは間違ってますよ~。
    タイトル「最愛」の意味がまさかそういうことだったとは! ひどく哀しいし痛いのだけれど、そう後味の悪い感じはしないかなあ。すっきり、ともいきませんけどね。個人的には好きですこういうの。
    ……やっぱり恋愛って怖い、と思うのは私だけなんでしょうか(苦笑)。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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