暗殺国家ロシア: 消されたジャーナリストを追う

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103036722

作品紹介・あらすじ

ソ連が崩壊し、ロシアは「開かれた国」になったはずだった。だが、そこに報道の自由は事実上存在しない。大本営発表と化したニュースがあふれる中で孤軍奮闘、「不偏不党」「公正中立」を貫く新聞社がある。「ノーバヤガゼータ(新しい新聞)」。鋭い権力批判の代償として数々の記者を喪うが、屍を乗り越え、権力と対峙し続ける。彼らの目を通して「虚構の民主国家」の実態を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 怖すぎる。

    特定の、1名のジャーナリストの行方を追うのかと思っていたら、一体何人死ぬのか。

    これが独裁国家。その情報統制。

    まだ、シナよりマシなのかとは思わなくもないが。

    最後の、ベスランの立て籠もり事件の顛末に至っては、それなりの文明国とは信じられない。
    これが世界の現実。

    いや、その上澄みなんだろうと背中が寒くなる。

  • タイトルが内容と違いすぎる。「ロシアの反体制ジャーナリストたち」程度が妥当なところでは?

  • 『でっちあげ』『モンスターマザー』が素晴らしかったのでロシアに全く興味がないながらも読んでみた。 これも良い本。 なんというか、ヒドいの一言。 テロリストとは交渉すべきではないというのはもちろんそうなのだが、こういう内容を知っちゃうと「声を上げたところで効果がないから武力(暴力)で・・・」って人が出るのも仕方がない気がしてくる。 日本はこういう国相手に「仲良く」なんてできるのか。 あくまで本書を読んだ感想。 ロシアという国や、ジャーナリズムに興味のある人であれば読むべき一冊。

  • 日本人がノーバヤガゼータのことをここまで取材したのはすごい。アンナポリトコフスカヤは年を取るごとに心の美しさが外面にも現れ、笑うと女性らしく不正には涙を流し、どんな男より勇敢だった…。テレビ報道出身の他の記者は表現が比較的自由な新聞に移ったが、テレビのとらえる人々の一瞬の表情が恋しい様子。一線で働いてきた人は他の人が気づかないことに魅力を見いだしてる。ノーバヤガゼータはゴルバチョフとオリガルヒの1人とがかなり支えていた、そういうことも色々わかって面白かった。

  • ノーバヤガゼータは2015年に資金難で休刊してしまったらしい。(今はインターネットメディアに移行)
    本書が刊行されたのが2010年暮れなので、その後どういった経過を辿ったのか、新たに犠牲者は出なかったのかなどが気になる。

  • おそロシア

  • 公権力の厳しい報道規制と闘うロシアのリベラル紙「ノヴァヤ・ガゼータ」のジャーナリストたちを追ったルポルタージュ.ソ連崩壊以降,エリツィン政権下で勃興した,新興財閥「オリガルヒ」の専横と堕落,そしてプーチン政権以降,その反動として始まった中央集権化と統制の中で,マスコミの多くが政府系企業の傘下に入り,結果として旧ソ連時代のような,国家によるマスコミの独占状態が再び戻ってきている様子が伺える.プーチンの下で権勢を振るう「シロヴィキ」の存在,更にはマフィアなどの犯罪組織との結託から,公安警察や行政機関が公然と行う癒着・汚職・隠蔽も克明に描かれており,ノヴァヤ・ガゼータで活動していた,体制に批判的なジャーナリストや関係者も,公権力やその手先とみられる者によって殺害され,捜査も碌に行われないなど,今日でもなお民主国家・法治国家とは程遠いロシア国内の実態が分かる.また,混迷しているコーカサス地方の政治問題,とりわけチェチェンを巡る問題についても述べられている.アメリカがテロとの戦いを国際世論の主軸に据えていったことが,皮肉にもロシア国内及び旧ソ連圏の反体制勢力や,彼らが潜伏していると目された地域に暮らす住民への迫害を,助長している側面がある.
    同僚を何人も殺害されてなお,体制によって迫害される人々の現状を知らしめるべく,ペンを取り続けるノヴァヤ・ガゼータの人々の意志の強さには,目を瞠るものがある.

  • ドストエフスキーを読み、ロシアという国が気になって手にした本。思っていた以上に恐ろしい国だ。
    当局の力で次々と不都合を闇に葬り去る。白昼堂々と射殺することも厭わない。TV局や新聞社は当局の圧力に屈し、当局に都合の良いことしか報道しない。
    それでも真実を暴こうとするジャーナリストも少数ながらいる。本書は身の危険を冒してまで言論の自由を体現する彼ら/彼女らの奮闘記。
    人権の世紀と言われている21世紀において、国際的にも責任ある立場にある大国ロシアで、国がこんな蛮行を繰り返しているなんて。ベスラン学校占拠事件の真相を暴く第8章なんて、読むに堪えない。
    今度は日本についても勉強してみよう。でも、やっぱし知らん方がいい事は、知らん方がいいかな。悩ましい。

  • ノンフィクションのあじわい。
    これを読んで、プーチンのやりかたは間違っている!プンプン!と思ってしまうのが、まぁ大多数だとは思うけど、プーチンの気持ちになって読んでみるのも一興かと。
    俺がプーチンだったらそりゃ殺すわな。ジャーナリスト。

  • 社会主義国から一転、開かれた国家に生まれ変わったように見えているが、そこにあるのは「制御可能な」という形容詞のつく統制社会であり、暗黒な社会だと思った。

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著者プロフィール

専門誌・編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。以後、様々な雑誌、webメディアへの寄稿を続けてきた。学校での「教師によるいじめ」として全国報道もされた事件の取材を通して、他メディアによる報道が、実際はモンスターぺアレントの言い分をうのみにした「でっちあげ」だったことを発見。冤罪を解明した過程をまとめた『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で、2007年に「新潮ドキュメント賞」を受賞。他に『モンスターマザー 「長野・丸子実業高校【いじめ自殺】でっちあげ事件」』では、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞・作品賞を受賞。他、『暗殺国家ロシア:消されたジャーナリストを追う』(以上新潮社)、『スターリン 家族の肖像』(文芸春秋)などがある。

「2021年 『ポリコレの正体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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