「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103054566

感想・レビュー・書評

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  • ふと、こういう本が読みたくなる。
    あの事件、どうなったんだっけ?と。
    うさぎゲージに3歳の男の子を監禁し死なせてしまった夫婦。育児放棄の果てに死なせてしまったこどもを7年もの間放置していたのにそれでも自分はこどもをきちんと育てていたという父親…。
    どの事件も、心がこどものまま育たなかった大人が、何も考えず犬猫のように身体を繋げた結果産まれてしまったこどもを、産まれてしまったならしかたがないと、こどもの遊びの延長のように親子ごっこはじめてしまったが故の悲劇としか思えない、こどもだけが可哀想な事件。
    どんな親でもこどもに愛情はあるとか、どんな親のこどもも親が大好きだとか、寝言言ってるんじゃないよと。
    こどもを虐待する親の過去を辿るとその親も虐待されていたから…って、それが自分のこどもに虐待していい言い訳にはならない。何より大事なのはこどもの安全と健やかな成長であって、親への同情ではない。こどもを愛してるというなら大事に育てられないこどもを手離すことも愛だろう。それをできない親ならば、周りの気づいた大人達が、それをしてやるべきなのに、見ていても知っていても手を差し伸べない、差し伸べられる世の中じゃないことも問題。
    こどもを産み育てることに未熟な人間が何人も何人もこどもを産んで雑に育ててるかと思えば、こどもがほしくてほしくてしかたない人がこどもに恵まれない身体だったりするの、本当にやるせない。

  •  3件の子殺しの事件。いずれも、殺した親だけではなくその親、あるいはまたその親まで遡る「連鎖」。ひどすぎる事件の裏側にあるには、数十年も続く貧困と教育の失敗。つまり行政。
     日本小児学会は2013年頃の年間に虐待で死亡した子どもの実数を約350人と推計しているという。この3件はまさに氷山の一角で、この実態は完全に行政の敗北。そして、ずっと手をこまねいているのは、マジョリティにとって「関係ない」から。これは、ホームレスなどの問題とも根は同じ。
     
     本社会に潜む闇を照らすノンフィクション。この社会、このままていいはずがない。
     

  • 教育に携わる人間は特に読むべきである。虐待やネグレクトなどは、個人の問題でもあるが社会的問題でもある。

  • 読んだのは新潮社版。
    幼い子どもが血の繋がった両親に殺された三つの事件を扱っているが、どれも記憶になし。
    共通するのは自身が幼かった頃の家庭環境が最悪で、どの加害者も人として何かが欠けていたということ。
    ただ兄妹然り同じ環境でも虐待をおこなわない人たちもいるわけで、一体何が彼らを分けたのだろうか。

  • 親は、子どもを産めば自然に親としての役割をできるようになるわけではない。

    家庭の暖かみを知らずに育った子は、自分の受けてきた世話や教育こそが当たり前のものとして疑うことなく親になる。

    そうして負の連鎖がおこってしまうのではないか。

  • 2010年代に起こった「厚木市幼児餓死白骨化事件」、「下田市嬰児連続殺人事件」、「足立区うさぎ用ケージ監禁虐待死事件」の三件の事件を追った取材記録。週刊誌を深く掘り下げた内容。
    この三件は、いわゆる「普通の親」が虐待やネグレクト、産後うつで子供を殺してしまった事件ではなく、なるようにしてなった事件…母親、父親がこの人だったらやりかねない、というような親ばかり。本当に鬼畜だわ。

  • 虐待親に対する暴言などは相次ぎ、なぜそうなったのか・・・という視点を持つ人は少なく根本的な解決にならない子供が被害になる事件が多い中
    虐待親も実親による被害者であるという視点を持ってくれた著者に敬意を示します。
    皆んなが知らなくてはいけない事だと思います。
    ショックは受けるけど読んで良かった。

  • いろいろ思うところはあるけれど、読んでいてただただ辛い。すべての子供は愛され慈しみられ(だけど躾もしっかりとね)育つ権利があると思うのに。

  • なんかモヤモヤしたものが残る。特にcase3。そうか?そうなのか?親の性格や育ち、環境のせいは確かにあるのかもしれない…そのせいで育て方がわからないとか、愛情の示し方がわからないとか、虐待する親は彼等なりに子供に愛情を示していたとか、そんな事は殺された子供にはなんの関係もない。どの子も愛される為に生まれてきたのに、辛すぎる。

  • 2020年1月20日読了

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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