- Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103070429
感想・レビュー・書評
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久しぶりの恋愛ものでした。
恋の始まりから終わりまでが書かれていたけれど、現実味がない設定なのでなかなか感情移入するのが難しいなと感じた。
人が恋に落ちる瞬間は、人それぞれだから。
でも、失恋した後の喪失感はせつなかった。
それぞれのせつなさは、別のものだけど
どの想いも全部せつなくて、胸が苦しかった。 -
恋に溺れるのは愚かで醜い。なのにその快楽に抗えない。しょせん人間も野生動物でしかないのだな。
でも辛い失恋は自分を見つめなおすチャンスで、人間に深みが出ると思う。この矛盾たるや。
そんな強烈な迸る想いをストレートに綴った作品で、とても圧倒されました。
いい大人の壊れそうな情動は気色悪いのに、西さんが描く人間たちの気色の悪さはそのままどこか愛おしい存在になります。
すごい才能だと思います。 -
絵描きの男女の話。
魂がもってかれてるとしか思えない時がある。
何かが降りてきたように描けるとき、ふるえるほどの作品にであったとき、恋に落ちるとき。
他者から見たらどんなに異様に見えたとしても、仕方ない。それは切実な当然でしかない。
焦がれている間は当然だけど、
覚めてしまえば届かないものであったと気付く。
そんな感じの小説。
とにかく切ない。 -
初、西加奈子作品。
正直、文章でなぞってあるだけの作品で、恋愛というのが機械的に感じた。
特に、香織と彼氏の話より、瀬田の話にページを割きすぎだなと思った。 -
隠しているつもりでも、何故か開けっ広げで有頂天の恋の始まり。這いつくばる大阪弁と、オシャマでハシャぐ様な感情表情が片腹を射抜く!…のも束の間、圧倒的なモノにさらわれて捕らわれて…そして急転直下の終焉。堕ちて…スクラップ一歩手前のポンコツ化も芸術家ならでは…かなぁ!?。直情さが物凄く刺さる♪
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すごくいいストーリーというわけでも、これというメッセージがあるわけでもなく、
いいなあというシーンもない。
最後のあたりは「え?なんだ、その展開は・・・」と盛り下がった。
うまいとは思うのだけど。 -
アルバイトをしながら絵を描く夏目、個展で出会った間島さんのお話。
この人の書くお話は、なんか『野生』って感じだ。うまく言えないけど。
わりかし激しい内容で、でも受け入れやすいというか。 -
失恋。は(あくまでわたしにとって)二の次のテーマで、何に惹かれてこの本を手に取ったかというと絵を描いている人を扱ったもの。という点。そこに登場する作品やそれを描く人物の描写が気になった。葬送を読み終えた後というのが要因だとおもうけれど、描かれた絵・作品を語る言葉に薄いものを感じてしまった。綺麗・綺麗・綺麗、すき・すき・すき、白・白・白だとその「絵」の魅力がわかりかねる、それを描いた「人」の魅力がわかりかねる。敢えてそういった言葉で言い切って終わりにしているのかしら・・・。絵を語るとき、この目で実際みたように、具体的に想像してみる。それを語る豊かな言葉(なんて偉そうに!)を紡ぐのは、大変なことなんだろうな~と思った。何かを語るってムズカシイ。
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失恋小説。
恋愛において、どんなに綺麗で、キラキラした瞬間があっても、終焉は暗く、醜い。
終焉までも地獄だし、終焉の予感も、終焉の瞬間も地獄。
みたいな塚本さんの発言がぐっさり。
主人公も瀬田も間島くんも塚本さんも
みんな疲弊するところの多いような恋愛をしていて。
でもこの想いが、報われなくても、救われるといいなと。
今の私には完璧な本でした。逆に。