男と点と線

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103143215

感想・レビュー・書評

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  • 「この子といるとつい、口が笑ってしまう。
    横に広がるのが、オレの口の大きさじゃ足りないくらいで、
    もっと大きい口だったら、もっと笑えたのに、と思う。」

    そういう相手っていますね。

  • 「スカートのすそをふんで歩く女」が一番好き。最後の3行が昔美術手帖に載ってた「あたしはヤクザになりたい」みたい。今これで思い出したけど美術手帖のその短編が私の初山崎ナオコーラで、かつ妙に気に入って何回か読み直してた。
    他のはあまりぴんとこなかった。

  • 以前読んだものだったが
    記憶がおぼろげなのでまた新しい気持ちで読めた。
    山崎ナオコーラの文章は瑞々しくて制限がなくて好きだ。
    さりげないところで味のある文がそっとある。

    慧眼
    こんな風に人生に折り合いをつけて
    少しの諦めと方向転換を必要な時にして
    奥さんを大事にしてお互い支え合えるのって素敵。

    スカート…
    男同士の間のくだらないテンションやノリは
    たまに見るとたしかにおもしろいし羨ましい。
    それもいつか失われていくものだと最後に感じているところが
    作者と同世代なので今まさに感じている。

  • 説明しないで漂わせておくところに、きっとこの人の意図があるのだろうな、といつも思う。

  • 「慧眼」68歳男。マレーシアのクアラルンプール。
    甥が経営するカフェの手伝いをしている。妻の言うことが興味深い。
    「スカートのすそをふんで歩く女」22歳女。フランスのパリ。男友達3人と卒業旅行。
    理解できるが、そんなにうまくはいかないと思う。
    「邂逅」32歳男。上海。取引先の社長に指を噛み切られる。
    「膨張する話」17歳男。東京。デートする。
    「男と点と線」42歳男。ニューヨーク。さおりとさおりの娘と一緒に旅行する。さおりを昔からずっと好き。
    が、さおりは結婚はしないと言う。最後に主人公は思う。
    「あなたが大好きだという顔をして一秒一秒見つめようと思っている。」
    これがいちばん好き。
    「物語の完結」28歳女。小説家。アルゼンチンのグシュアイア。ブエノスアイレス。友人と栗本山荘という日本人が経営する宿に旅行。

  • 海外がらみの短編集。

    ・慧眼
    マレーシア、クアラルンプール。68歳の男は甥っ子とカフェを営む。クアラルンプールに来て変な方言を話し始めた妻がツボだった。
    ・スカートのすそをふんで歩く女
    フランス、パリ。22歳の女は男友達数人と卒業旅行に。絢ちゃんみたいなこと考えてる女の子って結構多そう。男女の友情の間を性が邪魔すること、性なんてないに等しい子どもの頃からたびたび感じたなぁ。
    ・邂逅
    中国の上海。突飛すぎてびっくり。予期していなかっただけに余計に。
    ・膨張する話
    日本、東京。高校生カップルの会話、おもしろ!膨張する話はいくらきいても飽きんわ。
    ・男と点と線
    アメリカ、ニューヨーク 42歳の男の崇高な愛に変わったかつての恋心の話。オッサン目線うまいわー
    ・物語の完結
    アルゼンチン、ウシュアイア 28歳の小説家は世界最南端の日本人宿に。あきらかに舞台はあの名物宿だ。こうゆうのって許可とかいるのかな?


    「理論と感性は相反しない」がすごい好きだったので期待が大きすぎてなんとなく物足りなかった。でも、ひねくれたような目線や物の考え方は健在。面白かった。何話か、タイトルと内容がかみ合わないような違和感を感じて首をかしげた。

  • やっと時間や気持ちに余裕ができたので、ひさしぶりに本を読みました。

    新刊の棚で発見したので、山崎ナオコーラさんを。

    どのお話も不思議感がただよいまくり。
    え?そんな軽くその発言言えるんだ。。みたいな。
    短編だからなのか、ポンポン話が進んでいく。

    彗眼
    クアラルンプール、離婚資金、喫茶店、コーヒー豆

    スカートのすそをふんで歩く女
    私は、女の子同士で集まるのが苦手だ。自分に自信がないから、女の子と対等に話せないのかもしれない。
    私は、男の子を相手に話をしているとき、自分が女の子であるということに甘えているようだ。「男の子たち」の中にひとりでいることが好きだ。異種でいることは楽だ。「とりあえず他人と比べられなければそれで良い」と思っている。

    邂逅
    指の第一関節より上が鷲に食べられる。
    ラクダ。
    なんとなく、ぬめぬめっとしてて、深く沈澱してて、っていうイメージ。

    膨張する話
    若い!って話。
    若いひとって、こういう風に毎日を走り抜けてるのかも。
    爽快。

    男と点と線
    そっと好きでいる選択肢。

    物語の完結
    アルゼンチン。
    イズミさん。
    「いい匂い。ごはんが炊ける匂いって、こんなにいいものなんだ」
    私は台所の匂いを嗅ぐ。狭い台所には、シンクとコンロと食器棚とダイニングテーブル。出窓の向こうは夜の庭。
    「おいしい。あったかい白ごはんと、冷めたブロッコリーだけでこんなにおいしいものなんだね」

  • いろんな場所で出会う男女の話。

    「膨張する話」で彼女とデートする時に、下心はないんだけど、体が反応して勃起し続けたがゆえに、おなかが痛くなっちゃう少年の話が、ほほえましいとともに笑えました。

    なんとなく、ほっこりする話が多かったです。

  • 「慧眼」マレーシアで老後を過ごすマリエさんとクニヤスさん。「膨張する話」思春期真っ盛りの海藤さんと弓削田くん。「男と点と線」シングルマザーのさおりと惣ちゃん。いろんな国、場所でいろんな男と女が出会っていて、短いけどほっこりした。けど、短編は物足りなく感じてしまう。

  • 年齢も場所も違う様々な男女の恋物語。個人的には高校生男女の恋を描いた「膨張する話」が良かったと思う。なんかシュールでクスッと笑えるところが良い。2012/163

著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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