「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史
- 新潮社 (2016年1月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103364733
感想・レビュー・書評
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<本書の目次より>
<第4部 第五千年紀前半>
5章 クアトロチェント(1401―1500)
<第5部 第五千年紀後半>
1章 アジアの四大帝国と宗教改革、そして新大陸の時代(1501―1600)
2章 アジアの四大帝国が極大化、ヨーロッパにはルイ14世が君臨(1601―1700)
3章 産業革命とフランス革命の世紀(1701―1800)
4章 ヨーロッパが初めて世界の覇権を握る(1801―1900)
5章 二つの世界大戦(1901―1945)
6章 冷戦の時代(1945―2000)
終章 どしゃ降りの雨で始まった第六千年紀[/private]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<b>やや史実の列挙気味であるが、もう一度読み返したい</b>
時間切れで読めずに返却してから、5ヶ月振りに借りることができた?巻。
1400年から2000年以降の現代までの5千年紀の近代、現代編。
馴染みのある話題が多い反面、膨大な史実が盛り込まれている。。
著者独自の史観に基づくコメントもあるのだが、ページ数に収めるために相当苦労されているようだ。
また、GDP比率比較は引き続き行われて興味深い。
?産業革命
こんなフローで国家の変遷を考えていたが、
→市民革命→国民国家→産業革命→資本主義→帝国主義→…
当然個々のケースは異なる。
なぜ、連合王国(英)でいち早く産業革命は起こったのか?
議会がいち早く成熟して、前述フローが他国より先行したからか?
著者は、あっさりと「インドのマネをしたから」という。
国民国家、資本主義、帝国主義は、混然一体で進行していた。
インドの綿産業の工業化というニーズが結びついたもの。
?戦時中からの出口戦略(WW2)
ルーズベルトは、戦争よりも、終戦後の出口戦略に注力したようだ。
一方、日本政府は、行き当たりばったり、終戦後のビジョン描こうともしていない。
(満州国傀儡政権擁立の裏工作など、関東軍独走で国際孤立しか招かない)
?20世紀後半の日本は、世界で類を見ないほど、平和で豊かで幸福だった。
『終戦→高度成長→オイルショック→バブル経済』
あくまで歴史的、相対的な総括だが、21世紀も継続できるかは不明。
?幸福の配当
冷戦終結で軍事関連ストックが民間に還元されること。
(悲しいような、優しいワード)
ex.インターネット、GPS
最近、軍事関連ストックが蓄積していないかな(軍事ロボット) -
まあまあかな
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面白くて、一気に読んでしまいました。
群像劇のようでした。
出口さんは「いつの日か『詳説5000年史』を書くことを夢見て」いるそうです。
この本の前に『仕事に効く教養としての世界史』を出され、それは一冊でしたが、今回は「上下」の二冊。
次回さらにページを増やしたいというところでしょうか。
今回、出口さんの語ったものを小野田隆雄さんが書かれたそうで、「え、出口さん、これ全部覚えているの?!」と驚き。すげー。
ところで二年前にその『仕事に効く教養としての世界史』を読んだときに、私自身「やめようと思っていたこと」があり、この「出口さんの本に背中をおされて頑張ることにした」と記録していました。
仲間に引き留められたことも、かなり大きかったのです。
あれから二年たち今回は「完全にやめる」と決心しました。
どんなにまわりに引き留められようとも。
毎朝読む『西尾和美の今日のアファメーション』で本日「自分の世話もできないのに他人の世話をするのは、しばらくの間やめましょう。自分の土台がある程度できてから、知人や、人類全体の成功に努力しましょう。」と書かれていたことも理由のひとつ。
そしてこの『全世界史講義』で、思ったこと、まずひとつめ。
日本は朝鮮にさんざんひどいことをしたあと、敗戦を受け入れる。
しかしその後朝鮮戦争を利用して復興するのです。
朝鮮のみなさん、ごめんなさい。
でも「敗けをうけいれたあと、状況がすごく良くなることがあるんだなあ」と思いました。
もうひとつは、オイルショックが鍵となって、冷戦が終結になったことです。
北風に鍛えられて、西側の経済は強くなったのです。
ただただ前向きに戦うだけが能じゃない。
一度退いてみるのもいいのではないか。
出口さんが『詳説5000年史』を執筆されるころ、私がどうなっているか。
レビューという名でこうして記録していると、いろいろ楽しみになってきます。 -
五千年史の後半は15世紀から始まる。ユーラシアの文明は草原の騎馬民族の脅威から解放され始めるのだが、そうして生まれた余裕をどう使うかで、文明の消長が決まってくる。近代の始期に中国とインドは圧倒的なGDPシェアを誇っていたが、工業化と植民地支配の果実をいち早く得たのは欧州だった。広い国土を中央集権的な王朝が支配する中国と、複数の国に分かれて競争を続ける欧州。競争には軍事力だけでなく経済力の側面もあり、商業利権を巡る争いがいつの間にか砂糖、茶、綿といった世界的な産業システムに結びつき、軍事力と経済力が正のフィードバックを繰り返しながら欧州はアジアを支配する。特にイギリスは欧州諸国の王位継承戦争への介入を通じて植民地利権の確保に腐心し、インド、マラッカ、ジブラルタルと要衝を押さえていく。
筆者はアジアのリーダーの中では18世紀の清朝乾隆帝とムガール帝国アウラングゼーブ帝に批判的だが、彼らが時間を無駄にしたことが欧亜逆転の直接のきっかけになったことは間違いない。
この本は20世紀以降の歴史も語り続けるが、どちらかと言えば淡々とした言及に終始している。本の眼目がパワーシフトの解明にあるのであれば、欧州からアメリカ、そしてアジアへと続くパワーシフトについてももう少し丁寧に扱う余地があった。欧州型の分立競争モデルが両大戦期に臨界点に達した後、超大国支配と多極化の時代がやってくるのだけど、近い歴史であればあるほど、単一の要因に帰してパワーシフトを語るのは難しいということなのだろう。 -
タレーランやビスマルク、そしてナポレオンなどたった一人の天才的リーダーが歴史の勢力図を一変させ、道光帝やルイ16世などたった一人の愚策が何百年続いた国家を瓦解させる様がよくわかる。ありふれた言い方だが歴史は繰り返し、驕れるものは久しからず栄枯盛衰は東西南北輪廻している。
印象的なのは18世紀以降のヨーロッパ列強の群雄割拠であろう。相互に血縁関係を持ち権謀術数が交錯する混沌とした覇権争いが世界を巻き込み、悪しき植民地政策や二度の大戦を招いた。特に大英帝国の三枚舌外交はイスラエルとパレスチナ、インドとパキスタンという現在に至る根深い民族問題を生み出したという点で罪深い。一度はOne Euroを実現したものの昨今のEU離脱問題やテロ、国粋主義台頭を捉えると再度の大戦の可能性もゼロとは言い切れないのかもしれない。
歴史を大河として俯瞰するという点において本書の意義はあるものの、内容自体は筆者の興味が強い時代や地域(東洋・中東)以外は歴史の羅列となりやや退屈な点は否めない。反芻少なく一気に書き上げたように思われる。筆者の教養の高さや造詣に深さは十二分に感じ取れるので、より推敲して刊行したほうがよかったのかもしれない。 -
同時代を横軸で見ていくというのは疲れる。話があっち行ったり、こっち行ったり。
上巻はまだ横のつながりが少なかったから、何とかついていけたが、こちらの下巻は辛い。
これまで時系列で見ることに慣れてきたということもあるでしょうけど。 -
文献の残っている5000年の期間の世界史、その下巻です。下巻はほぼ最後の1000年期の内容で、それだけこの1000年は最近であるがゆえと思われますが、記録が豊富なのだなと感じられました。それはどうなのかという疑問も感じます。それまでの4000年についても知っておく必要があるでしょうし、それについて書かれた本も、別に読んでおく必要があるでしょう。そのための参考文献の提示も巻末にありますし、何よりもそういった興味を掻き立てられるような内容になっていると思います。ビジネスの世界という限定した場所では、話される内容はおそらくこの最後の1000年期の内容が主となってくると思います。その意味で、この上下巻の内容のボリュームで世界史を勉強しておく必要があるのだろうと思います。ざっとそのあたりの感覚をつかむことが本書を読むことでできたことは大きいのではないかと思います。
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総ざらいするには良い。世界史初心者なので、世界大戦くらいからしかよく分からなかった。勉強不足を痛感。出口さんはすごい。