ヒトでなし 金剛界の章

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 404
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103396116

感想・レビュー・書評

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  • 芯が疲れた。小説を通じて人生論や哲学を読まされるとは。600ページ弱を使って、シリーズの長大なプロローグを読まされた感じ。このメンバーでシリーズが続くのか?誰一人好感も共感も持てない、地味な奴らばかりだけど。

  • 娘を亡くしてそれがきっかけとなり職をなくし妻にも去られた男のお話。ダメ人間っぷりだとかやさぐれた日常だとか復讐譚とかそういうのではなく、なんかそういうのを超越した宗教観みたいなものを感じなくもない不思議な話。タイトルである「ヒトでなし」を従来のマイナスのイメージではなく「人を超越した」みたいな意味合いにでもなっているのだろうか。
    面白いかどうかはかなり人を選びそうな。ヒトであることを捨てきれない自分は「娘を殺しておいて自己を正当化しつつぬくぬくと生きている犯人」を見てもなにもしないというのはなんとももやもやしてしまいますわ・・・

  • 記録

  • 今まで思っていた人でなしという言葉とは違う、人でないもの→ヒトでなし。
    湿っぽくて理屈っぽい。でも面白い。京極夏彦ぽいと思った。けど、殺された子を諦められるかな。

  • H29/11/29

  • ひとでなしが主人公の本。これに尽きるしこれで一貫している。
    読み終わって荻野側だなと思った。ということは自分は人なんだなと思った。そしてそれでいいと思った。かといってこの本から得るものがなかったわけではなく、人に人は救えないというのはそうだなと思ったし、どんなに頭が良くてもその人には伝わらない、見えないことがあるというのもちょうどそのようなことがあったのでとても納得した。
    京極先生はお子さんはいらっしゃるのだろうか。
    もしお子さんがいらっしゃるのならこの物語を書ける、書けないではなく“書かない”のではないかなと思ったりもした。ちょうど自分が子をもったので思うことであり、そうでなければそうは思わないかもしれないが。

    読み終わって果てしなき渇きと同じような胸に痞えるものがあったが、これはひとでなしの話である。

  • ”ヒトでなし”の男が問題を抱えた人を延々と責め立てる・・・
    という読んでいて疲れる内容でした。

    でも、この人たちの果てはどうなるのだろう、と続きを読みたくなり最後まで読んでしまいました。

    続編もありそうなので楽しみです。

  • 金剛界の章ということで、続きがあるのかな。

  • この世の本質というか、正論を煮詰めたような思考が、ドワーっと京極節で語られる。文章のヴォリュームはあるけれど、勢いがあるのでグイグイ読めますね。
    “ヒトでなし ”となった主人公、そして寺に居る面々は今後どうなるのでしょう・・。
    キャラでは、個人的に鶴宥が気になります。

  • 半ば以上予想はしていたが、やっぱりこの人の書きぶりはくどかった。
    ひょっとしたら紙幅を費やすこと自体を目的として、これだけ言葉を連ねているのではないか、と邪推してしまうぐらいに、主人公を始めとする登場人物の心持ちを修飾する言い回しが重ねられる。
    ストーリーに関しても、京極堂シリーズに代表されるようなミステリーではなく、いわば京極夏彦氏の哲学をスコンと投影したような文学作品に仕上げられており、ペダンティックな表現の数々が美しい様式に収斂されていくいつものカタルシスにつながらない、という点が、特に氏の作品を読み慣れている者にとってもイマイチ消化しにくい一因になっている、という見方もできる。
    一分の隙もない本格として完成された作品ではないが、その中でも物語の終盤、剛腕で以て大方の読者の想像を超えるであろう筋の捻じ曲げをすんなり収めてしまっている技巧はさすが。

著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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