- Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103506614
作品紹介・あらすじ
僕たちの夏の大冒険は、あまりにも哀しかった――。得がたい才能を秘めた新人登場! 拓海(たくみ)と啓、雪丸と国実(くにみ)は新潟の田舎町に住むお騒がせ4人組。小学校最後の夏、花火大会の夜に、僕たちは想像を絶するほどの後悔を知った――。それから20年余り、惨めな遺体が発見され、悲劇の夜の封印された謎に決着をつける時がきた。誰もが通る少年の日々を瑞々しく描いて大絶賛された、第三回新潮ミステリー大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
拓海と啓、雪丸と国実は新潟の田舎町に住むお騒がせ4人組。
小学校最後の夏、花火大会の夜に、僕たちは想像を絶するほどの後悔を知った―。
それから20年余り。
惨めな遺体が発見され、あの悲劇の夜に封印された謎に、決着をつける時がきた。
(アマゾンより引用)
国実くんが可哀想すぎる。
雪丸にもう少し何かしらの制裁与えてほしかったな。
再会のとこは何かジーンとした。 -
小さなひと夏の過ちは、取り返しのつかない大きなものとして少年達に熱く苦しく降り掛かって来ました。あの夜全身で恐怖を感じた檜の黒煙と火の粉のように。命は平等だなんて綺麗事だ。虫も殺せば生き物も食べる。大事なのは身の回りだけで、いつか失われた奪われた他人の命を毎日思い出す人がどれだけいるのだろう。罪を犯した者が償いをするのは当たり前。では置き去りにした者は?真実を隠した者は?どんなに手を伸ばしても、どれほど泣き腫らした目を凝らしてみても、くるくると傘を回し歌っていた愛くるしい少女はもう見えない。星を読む姿を思いながら、本当の意味での弔いとは...と虚しく思う私がいました。
-
うーん、おもしろくなくはないんだけど。
なんだかな。って感じです。
最後、雪丸くんを出してくれたのは良かった。 -
巻末に解説は読む時と読まない時がある。
今回は読んだのだがそこに自分の思いがそのまま書いてあった。
新潮ミステリー大賞を受賞したこの作品は選考会で
「ミステリー部分の謎解きについていくつか疑問が出たものの、過去パートの素晴らしさがこぞって評価され、満場一致で受賞が決まった。」
まさにそれで、過去のパートは読んでいると腑に落ちると言うか何とも言えない気持ち良さを感じた。
ミステリー部分を補って尚という良さがあったと思う。 -
乱暴者の雪丸、ルックスも頭も良い啓、真面目でおとなしい国実、そして僕。僕ら四人のあとを常についてきていた国実の妹、四歳の智里を加え小学六年生だった僕らは時折無茶をしつつも、小学生の季節を楽しんでいた。夏、雪丸の無茶によって台無しになった夏休みの計画を取り返すため、僕らは花火大会の日、立ち入り禁止の山に登った。それがもはや取り返しようがない悲しみの始まりになるとも知らずに……。
ハッとするような展開でもなく、推理が必要な話でもない。ただ悲しく、でも少し優しくにがく、郷愁を誘う話だった。ただただあの母親が不快だったなあ。
-
第三回新潮ミステリー大賞受賞作(加筆・修正あり)。
少年たちの無鉄砲な行動が生んだ悲劇と、それがきっかけでバラバラになっていく彼らを描いた第一部。その二十二年後にある事件が起こり、大人になったかつての少年たちが再会する第二部。
少年たちの青臭さが巧く表現されていた第一部は良かったが、第二部で主人公のロマンチシズムが目に余る様になり、徐々につまらなくなった。真相もパッとしないし、ミステリとしての魅力は乏しかった。
文章は巧いので、テーマによっては面白い作品も書けそう。期待は持てる。但し、普通なら漢字にすべき所を何ヶ所も平仮名にしている意味が分からなかった。あれでは読者がダレるだけだろう。単なる修正忘れか? -
切ない物語だね。
子供達にも善意や悪意はあるけど、彼らの人生を大きく歪めた大人たちの身勝手さ。ダイレクトではなく婉曲的なところが尚更酷い。
その中でちょっと勘違いやろうな女の子にすげー真っ当なことを言い放った先生が印象的。
あと、大人になって3人が再開ところへ向かう場面。
クニ、久しぶりだね、タクミだよ、の流れはグッときました。
この季節に読んでよかったー
2017.8.30 -
ミステリーというほどではなかったが一気読み。
-
小学生男の子の、妹を連れてくるなという気持ちはわからないでもない。
-
第三回新潮ミステリ大賞受賞作です。著者は新潟在住の方です。
書店でパラパラと眺めてみたら舞台も馴染みのある場所を描いているようです。
興味をひかれ、ついつい衝動的に購入してしまいました。
一読後の印象としてはエンターテイメントとしてのミステリ的な完成度、
つまり犯行の動機や、なぜ悲劇が起こったのか?などに関する説得力は今ひとつではあります。
しかしなんとも言えない魅力がある作品でした。
その魅力とはどんな部分なのか?振り返りながら少し考えていきたいと思います。
ストーリーのおおまかな流れを少し書きます。
東京で刑事として働く男が身元不明の殺人事件の被害者の顔を見て驚きます。
少年時代に関わりのあった人間であったのです。
しかし男はそのことを周りには伝えずに個人的に捜査することにします。
そして男は三日間の休暇をとり、生まれ故郷である新潟に戻ります。
なぜ男は、刑事としては考えられないそんな行動をとるのか?
そこにはそれなりの理由があるようです。
その謎はどうやら男が十二歳の頃に経験した悲劇的な事件に原因があるようです。
男は故郷に向かう道すがら過去を回想していきます。
まず思い出したのは地元でも知らない人がいないくらいの
悪ガキ「雪丸」と男「タクミ」が親しくなるきっかけの出来事でした。
その出会いがなければあの悲劇も起こらなかったかもしれないし、
今回の殺人事件もなかったかもしれない。
そしてタクミは真相をさぐることもなく、
そのままにしていた悲劇に決着をつけざるをえないと覚悟します。
彼は失ってしまったその頃の仲間たちの行方を追い始めます・・・・・。
というような内容のストーリーです。
前半はずっと一二歳の頃の回想です。
そのあたりを読んでいるとリアルに描かれているなあ、と感じました。
どんな部分がリアルかというと、一二歳というと、
子供なりに社会の中での自分が置かれている立ち位置みたいなものがわかってくる頃じゃないですか。
つまり生まれた家とか、能力や容姿などの面で、持っている人もいれば、そうでもない人もいる、
その格差みたいなものがじわじわとわかってくる。
そしてそれまでは自分たちを守ってくれていた大人たちが、
実は自分たちとさほど変わらない未熟な人たちである、ということも気が付き始める。
その結果、それまでは単純であった子供同士の友情というもののなかに少しずつ亀裂が入りはじめる。
そのあたりの心理的な描写がこの作品ではとてもリアルに描かれているんですね。
つまり前述したこの作品のなんとも言えない魅力とはこの部分にあるのかな、と思います。
そしてあくまで、ミステリ的な味付けで組み立てられた作品ではありますが、
著者が書きたかったことを、勝手に推測すると、
多くの人が持っていると思われる子供時代の解決することもなく、
そのままにしていた問題を物語としてデフォルメして書くことにより決着をつけたい、
そういう事だったんじゃないかな?と思います。
過去を振りかえってばかりというのも問題ですが、
過去を清算しなければ前に進めない、
そんな悲劇に出会ってしまった人間もいるのだろう、とも思えます。
2017/03/23 05:33 -
2017.6.5.読了榊雪丸、三田村国実、紀本啓、そして僕梨木拓海は6年生仲良し四人組。小学校生活最後の夏休みの思い出に新潟から群馬までの自転車旅行を計画していた。雪丸のためにその計画が変更になってしまい、花火大会を見るために花火大会当日は立ち入り禁止になる山にみんなで登ることを夏休みの思い出にしようとした拓海たち。四人組につきまとう国実の妹智里がついてきたことから取り返しのつかない出来事が起こってしまう。
ストーリー的には予測できたが、仲良し四人組の描写が生き生きしていてよかった。四人組につきまとうあと一人の上級生東堂聖剣の存在と啓の母親のストーリーが若干説得力に欠いていると思ったが夏をなくした少年たちというタイトルが絶妙な作品だと思った。 -
なんとも切ない物語。
物語の主人公、タクミは警察官。そのタクミの前に事件の被害者が身元不明の死体となって横たわっているところから物語は始まる。
すぐにタクミの回想シーンへと移る。タクミがまだ小学生の頃、仲良し4人組と夏休み最後の大冒険をする話だ。そこでも蓋をしてしまいたい、忘れられない事件があった。過去の未解決事件と今回の事件が交わる時、犯人の姿が浮き彫りにされるのだが、それがなんとも悲しい結末を生み出す。
小学生の頃の回想シーンがあまりに瑞々しくて、このままこの時代にいたくなってしまった。子どもの心理描写があまりに上手く、自分も小学生の夏休みを過ごしているような気持にさせられた。
このような事件ではなく、青春ものとして、この4人組と会いたかった。 -
新潮ミステリー大賞受賞作。
どこにでもいそうな、小学生男子の仲良し四人組。いろいろ問題がありながらも結局は仲良しで微笑ましい少年たちの日々の中で起こってしまったとある悲劇の物語。誰にでもありそうな夏の思い出、の情景の中で起こるだけに、これはもう痛々しくってたまりませんでした。日常がふとしたことで崩壊してしまう瞬間の恐ろしさが、あまりに悲しすぎます。
だけどそれだけではなく、そこからまた20年も経って起こった悲劇の続き。意外な真相ではないのだけれど、だからこそあまりに悲しい真相。長い時を経て明かされる悲劇の物語と、それぞれの後悔、そして友情が切ないながらもほんの少し温かくて、印象的な読み心地でした。 -
一生忘れられない出来事を体験した少年達のその後の人生が切ない。胸に沁みる話だった。