アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103512813

感想・レビュー・書評

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  • 年末から年始(2017-2018)にかけての二年越しの、仮想通貨騒動は記憶に残るものになりそうですね。昨年12月に突如として上昇した仮想通貨、かつてのバブル時期の株価上昇を彷彿とさせました。

    年が明けて二週間ほど経過したころに突如として、暴落、そして仮想通貨取引所での世間を揺るがすような出来事、いろいろあったこの二か月ですが、そうした時期(昨年末)に読んだのがこの本になります。

    この本のポイントは、いずれ仮想通貨ブームが終わった後には、仮想通貨の根本技術である「ブロックチェーン」を用いた新たな方法(新しい通貨?)が普及することになるだろうと予測している点にあります。

    現在私達が使っているお金には、名前もついていなくて、一度手放してしまえば終わりですが、仮想通貨にはブロックチェーンの技術により、履歴がすべて記録されています。この技術が世界を変えることになるようです。変わった世界を私は見ることができるのでしょうか、激動の時代ですが、お金も姿を変えていくことになるのでしょうね。

    以下は気になったポイントです。

    ・本書では、国際送金と証券決済の2つを取り上げて、ブロックチェーンの応用手法とその課題について解説する(はじめにp3)

    ・ブロックチェーンは、インターネット以来の発明と言われている、分散型台帳技術と呼ばれている、参加者が所有権の記録を分散して管理できる、金融取引コストが削減できる(p17)

    ・ブロック全体のデータは、前ブロックのハッシュ値+取引データ+ナンス値、から構成されている、ナンス値のみが変えることができる(p33)

    ・ビットコインの安全性、マイニング、新規通貨の発行の3つは、すべてが密接に関連したワンセットのメカニズムである(p39)

    ・2017年4月に施行された、改正資金結成法により、仮想通貨は、法律的には通貨ではないが、決済手段の一つとしては正式に認められて、通貨に準ずるものとされている。7月からは、購入時にかかっていた消費税が撤廃され、税制面からも、モノ・サービスではないと位置づけられた(p45)

    ・ビットコインは、上位1%未満のヒト(アドレス)が、全体の9割のビットコインを保有している、1BTC以上の上位3%が97%を保有している(p70)

    ・ビットコインの発行量の上限は、このペースでいくと、およそ2140年ころ、残り21%を徐々に採掘していくことになる、2028年には98%が発掘、32年には99%(p81、84)

    ・国際送金革命の動きをリードしているのが、米国リップル、日本でもリップルの仕組みを利用して送金をリアルタイムで行おうとする「内外為替一元化コンソーシアム」がある(p143)

    ・世界最古の中央銀行である、スウェーデン中央銀行は、2016年11月に、中央銀行が発行するデジタル通貨「Eクローナ」を発行する計画を発表した(p183)

    ・ゲゼルのスタンプ付き貨幣は、マイナス金利効果により、導入した地域では消費促進の効果をもたらせた、デジタル台帳の残高を調整することで、マイナス金利を実現できる(p219)

    ・多くの通貨で取引を行う場合、XRPをブリッジ通貨として機能することが想定される(p236)

    2018年3月21日作成

  • 基礎的理解にはとてもよいのではないでしょうか?結局でも、コンセンサスをどう得るのか?みたいなところが気になるのと、Proof of workってのはやっぱ偉大だなーってところ。つまり、Interledgerになっちゃうと技術的にラジカルなところがないっていうか、プロトコルとして非常に人間的になっちゃうんだよね。結局海外送金がちゃんとできるくらいの話なんだ。みたいな。VISAでやれそうじゃん。みたいな。まあ金融的な事情はいろいろとあるんだろうけど。まあでもビザンチンとか言いたい。

  • 世間では話題のビットコインについて気になったので買ってみた。
    ビットコインの章の内容は、集中して読めるのだが、ブロックチェーンに関しては、元々興味があった訳ではないので、読んでいても頭に入ってこなかった…

  • 日銀出身で決済システムの第一人者が、ビットコインの「バブル崩壊」と、「ビットコイン以後」の世界を説いた。仮想通貨、ブロックチェーンに関心のあるビジネスパーソンにとって、参考になる点が多い1冊。

    序章 生き残る次世代通貨は何か
    第1章 謎だらけの仮想通貨
    第2章 仮想通貨に未来はあるのか
    第3章 ブロックチェーンこそ次世代のコア技術
    第4章 通貨の電子化は歴史の必然
    第5章 中央銀行がデジタル通貨を発行する日
    第6章 ブロックチェーンによる国際送金革命
    第7章 有望視される証券決済へのブロックチェーンの応用

  • ビットコインではなくブロックチェーン技術の応用分野にフォーカス。ビットコインディスの上にリップル推し。FXのような投機対象のビットコインではなく、ブロックチェーンの可能性には期待される。

  • ビットコインの持つ様々な限界と、逆にブロックチェーン技術がもつ将来性についてまとめた本

    ブロックチェーン技術の代表格であるビットコインだが、ブロックサイズが大きいなの仕組み的な限界や、すでに9割以上を一部の人が保持しているという構造、そもそも通貨として世界標準になることは無いのではないかと言うことが語られていた。
    (海外、金融業界では、もうビットコインはオアコンとも書かれていた。)

    一方、一般の人が使う、仮想通貨以外にもブロックチェーンには分散帳簿として様々な役割や、その応用方法が書かれていた。実際、toB、toC、governmentなど、様々な場所で、実証実験が始まっている。例えば、リップルなどはその代表格だ。
    金融業界での、具体的な事例(デジタル通過、国際送金、証券取引)などについてもかなり詳しく解説してあり大変面白かった。

    ブロックチェーン技術で、より便利な世の中ができそうな気がしてきた。
    また、ビットコイン表面的に捉えてた自身にも反省。勉強になりました!!

    文字量が多い一面もあるが、ビットコイン、ブロックチェーン技術について大枠を捉えるにはいい本だと思うので、もし仮想通貨・ブロックチェーン技術の大枠を把握したい人がいれば是非!

  • ビットコインの解説と、ブロックチェーンの今後の応用分野についての考察。具体的な事例が多く示されており、技術応用の可能性についてもかなり現実的な予想がなされていた。新しさはあまり感じなかったが、ブロックチェーンについての知識が再確認できたという感じ。

  •  自分がそうであったが、金融機関で働いていて、仮想通貨・ブロックチェーンについて何となくは理解しているが、詳しくは知らない、という方に是非勧めたい一冊(個人的には否定的な立場だが、仮想通貨投資を考えている人にもある意味お勧め)。
     特に自分にとっては、各国中銀におけるブロックチェーン技術を用いた銀行間決済の実証実験の事例が興味深かった。
     本書を通じて基礎的な理解は深まったが、金融分野以外におけるブロックチェーン技術の活用例、「さるぼぼコイン」等のご当地コインにおける取引承認の仕組みについて、興味・疑問が湧いたので、別の機会に勉強したいと思う。

  • なるほど、これは丁寧に書かれた本です。
    ビットコインやブロックチェーン、あまりよく分かっていませんでしたが、この本のおかげでよく分かりました。もちろん私には技術的・専門的な詳しい部分は理解できませんが、それぞれ何者であり、どんな状況なのかについて知っておくべきと思われるレベルのことが概観できました。
    まさに「電子マネー」の状況についての「定本」。

  • タイトルが煽りっぽくて買うのをかなり躊躇してたんだけど、結果的には買ってよかった。ビットコインについてはもちろん、ブロックチェーンの仕組みや、かかっている期待や行われた実証実験などが説明されてて、これ読めばだいたいわかるような構成になってる。超絶簡単で誰でも読める!というわけではないけど、誰にでもお勧めできる本だと思います。

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著者プロフィール

中島 真志(ナカジマ マサシ)
麗澤大学経済学部教授
1958年生まれ。日本銀行を経て、現在、麗澤大学経済学部教授。

「2023年 『金融読本(第32版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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