PAY DAY!!!

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103668091

感想・レビュー・書評

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  • 山田詠美の本に出てくる10代のコたちは、ちょっと背伸びしてていっしょうけんめい大人になろうとしてる。

    この本の主人公ふたりも然り。
    そのきっかけが9・11事件。
    自分も知っている事件なだけに、ふたりの変化がすごくリアルに感じられた。

    山田詠美の独特の言い回しと価値観がやっぱり好きだなぁ。

  • 何度読んでも好きな山田詠美。主人公に共感しすぎて大人になれなくなりそうで、あまり読み込みすぎてもいけないなと思うくらいだ。

  • 思春期を迎えた男女の双子が、9.11を乗り越え、成長していく話。と書くと、よくあるっぽい話だけど、ディティールと表現がすごくしっかりしてるので、すぽっと受け入れられた。何よりも、美しい言葉がたくさんあった。
    「こんなに苦しい恋をしたことがないと泣くことは、こんなに素晴らしい恋をしたことがないと感激するのと変わらない」
    「好きな人は、側になんかいなくたって、いつだって抱きしめられるのよ」
    「年なんか関係ない。好きになった男の人は、いつだって自分より可愛い子供なんだ。きっと」
    「約束は未来のためではなく、今この瞬間を幸せにするためにある」
    などなど。甘酸っぱいなあ。

  • 再読。

    9.11で母を失った男女の双子、ハーモニーとロビン。
    離婚により南部とNYに分かれて暮らしていたが
    それにより父と祖母と叔父とハーモニーがいる南部で暮らす事になったロビン。

    9.11そのものより、(人種の事があるので切り離せないのだが)
    「大切な人を失う」という事に重きを置いた、青春小説でもある。
    ティーンエイジャーの恋愛、というのは家族というものと
    切り離す事も出来ない事だったなぁ、そういえば。

    南部の描写は魅力的ながら、あまり印象に残る事もなく、
    薄いように感じられたのが残念…。

  • 彼女の作品は僕は勉強ができないしか読んでいなくて、
    この作品により彼女がどれだけ成長しながら作品を書き続けていたかを理解した。

    ロビンはとても強い少女だけど繊細な部分もある。
    彼女のような少女に憧れる。

    アメリカのティーネイジャーはこんなに成熟しているのだろうか、と思った。
    この小説に出てくるどの人物も秘密があってセクシーで、自分を大事にしながらも、
    時には痛々しいほど他人のために自分を犠牲にする。

    アメリカ人って実際もこんなに美しいのか?
    いつも気の利いたジョークが言えて、刹那的で、強い。
    少なくともこの小説の中では。

  • 山田詠美はいつも平易な文体で鋭い本質を突く。

    それは例えば「大切な人の死は魂を成長させる」こと。

    ペットの死を契機に叔父からはお酒が抜け、母の死を通じて家族の絆はいっそう深まった。

    ならば死はいかにして弔われるべきか?

    考えても考えても結論は出ない。

  • 感想を書こうとする段階でまた泣けてくる。
    家族にコンプレックスのある私にはきつい部分もあったけど
    良い本だった。

    両親の離婚によって
    離れて暮らすことになった双子のハーモニーとロビン。
    それぞれの生活が安定してきた矢先、
    二人の母親が働いていたワールド・トレイド・センターに
    飛行機が突っ込んで、ニューヨークはめちゃくちゃになった。
    双子はそれぞれに自分の幸せと
    ママの不在の意味をかみしめ、
    大人になっていく。

    PAY DAY(給料日)と9.11がどう結びついていくのか
    二人がどう成長していくのか予想がつかなくて
    ハラハラしたり、共感したり、
    羨ましく思ったりしながら読み終えました。

    なんといっても、この家族がとても素敵だった。
    自分のことをも他人のことも
    真剣に考え、そのことを伝えられる。
    私の両親はきっと知らないと思うけど、
    人は、家族さえいればいいわけじゃないんだよ。
    支えてくれる家族以外の人間がいてこそ
    強く生きていけるんだよ。


    「皆、それぞれ家族以外に、
     自分たちのあの日を支えてくれた人がいるんだなあ」

    「ロビン、今のために将来をないがしろにしてはいけないし、
    将来のために今をだいなしにしてはならないよ」

  • とびとびでよんだ まあまあかな
    ちょいちょいええことゆうてて ちょっと元気もらえた

  • 中学生の図書館便りみたいなのに出てたので読んだ。
    久しぶりだ、山田詠美。
    20年前はよく読んだ。
    20年以上も小説書き続けてるんだなぁ。
    非常に聞き分けの良いハイティーンと
    非常に礼儀正しくて子どもに理解のある大人が描かれていた。
    子どもを一人の人間として大人のように扱う大人。
    子どもの立場からすると理想的だわ。
    でもなかなか日本の風土からしては難しい気がするな。
    ホントにアメリカ人てこうなの?
    と外国人の友達もいなくと外国で暮らしたことない私は思う。
    いや、実際には日本人だってみんなそうなのか?
    私だけがブレるのか?
    日本人の書いたアメリカ人が主人公の小説を読んで
    よくわからなくなる、私は日本人。

  • 日本人が描く、イタリアとアフリカンアメリカンのハーフの双子たちの物語。
    ちょっと不思議な感覚だったけれど、個人的に少し心が楽になれる作品でした。。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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