血も涙もある

著者 :
  • 新潮社
3.23
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本棚登録 : 967
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103668176

作品紹介・あらすじ

私の趣味は人の夫を寝盗ることです――妻と夫とその恋人。極上の“危険な関係”。有名料理研究家の妻と、その10歳年下のイラストレーターで「魅力的」な夫。ある日、妻の助手である一人の女が、夫の恋人となる。はじめは、微妙なバランスを保っていた3人の関係は、ユーモラスに残酷に、その味わいを変えていく。「妻」「夫」「恋人」と異なる視点から語られる、意外なその後味とは―。著者、最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 料理研究家の沢口喜久江
    その助手の和泉桃子
    喜久江の夫 沢口太郎

    桃子は 料理研究家としての喜久江を尊敬している。しかし一方で夫の太郎と不倫をしている。喜久江は夫の数々の不倫を知りながらも いずれ終わりを迎えれば自分のもとへ帰ってくると見て見ぬふりをしている。桃子を優秀な助手として買っている。太郎は喜久江の愛情をありがたく思いながらも桃子に身も心ももっていかれる。
    3人の微妙で危ういバランスを保っていた関係にも いつしか変化が訪れて。

    lover恋人
    wife妻
    husband夫
    3人の目線から代わる代わる描かれる物語

    『不倫?倫理は自分で決める』

    桃子と太郎。いやー楽しんでますね。不倫を。
    だからね、きっと痛い目にあうんじゃないかと。
    でなければ喜久江があんまりにもかわいそうじゃないかと。まさかこんなhappy(?)なラストが待っているとはね笑

    不倫が良いとか悪いとかではなく、いや悪いんだろうけど。3人があまりにも自由で軽くてサクッと読めました。太郎はどことなく「永い言い訳」の衣笠を思いだしたなぁ。衣笠好きだけど。

    山田詠美さんの作品を読んだのはかなーり久しぶり。
    「風味絶佳」「放課後の音符」「僕は勉強ができない」は読んだはず。

  • 「私の趣味は人の夫を寝取ることです」心の琴線に触れた男には欲望に忠実に向かう桃子。現在の彼女の恋人は彼女が尊敬して止まない師匠の有名料理研究家、喜久江の年下の夫のイラストレーター太郎。3人がそれぞれの視点から心の内を語っていく。恋人にだけ集中して二人だけの世界を大切に守る桃子。駄目な夫を溢れる愛でおおらかに包む喜久江。桃子に夢中になりながらも喜久江の愛に答え続ける太郎。始めは皆余裕を持って納得ずくの三角関係よ、自身の倫理には反していないから、だったのがゆっくりと崩れていく様の描き方が流石。無意識のうちに被っていたお気に入りの世間用仮面が本心とずれてきた際に起きたそれぞれの倫理への反し方がある意味陳腐なのがまた。桃子のやんちゃさとか太郎のだらしないが故の魅力とか全体の雰囲気が往年のエイミー節で懐かしかった。

  • 同じような経験(不倫)をしていれば
    「そうそう」
    「わかるわかる」
    と思うのでしょうか。

    感情移入すること全くありませんでした。
    太郎に何の魅力も感じないし
    桃子は変態だし。

    chapter7lover恋人で
    ここからいよいよ面白くなってくるのかなと思ったのですが。

  • 料理研究家の沢口喜久江と10歳年下の夫沢口太郎そして喜久江の助手でありながら太郎と不倫関係にある和泉桃子の三人が交互に自身の心情を語る物語。惨憺たる愛憎心理や絶望的な苦しみ陥ることもなく自然の成り行きに任せて物語は進む。洒脱な表現に感心しながら、さらりと読める大人の恋愛小説でした。


  • わたしの趣味は他人の夫を寝取ることです。

    先ず、本の帯コメントをみて一息のみ、
    作者名をみると山田詠美さん。

    ドロドロした男女関係、
    平凡とは言えない登場人物、
    負の心情を曝け出して吐き出す様、
    イメージして読み始めました。

    身勝手で見たいものしか見ない桃子の思考は、
    読んでいて気分の良いものではなかったので、
    最後がどうなるか気になり一気に読みました。



    不倫をしても罪の意識を持たない桃子の自論は、
    倫理は自分で決める。

    桃子と不倫相手の太郎、
    桃子の尊敬する雇用主で太郎の妻でもある喜久江、
    3人の人間関係は少しずつ変化し……。

    読み切れば少しは消化不良は軽減するかも
    しれません。




  • 料理家のアシスタント桃子が、上司である料理家の夫と不倫する。
    なんだか会話が軽いというか、いまいち感情移入できず。
    妻、夫、不倫相手それぞれの視点で書かれているけど、みんな軽い笑

  • 私の趣味は人の夫を寝盗ることです。という炎上必至…というより炎上商法?というようなウケ狙いのような始まり方でした。
    メロスは激怒した。とか、トンネルを抜けると雪国でした。の正反対を狙ったような…

    面白いのですが、三者三様自分に酔っているようなナルシストな感じがして気持ち悪さも感じました。太郎の章では山田なんとかていう小説家も言ってた、などと自分自身を仄めかしていて、私の持論面白いでしょ?という作者のナルシスト感が匂ってきた。

    ただ、最後まで面白く読めた。
    最終章ですっきり整理してくれてよかった。沢口先生のことを玉木が好きだったというのは、ちょっと陳腐な気もしたけど。

  • 有名料理家とその夫、助手、の三角関係をそれぞれのモノローグで描いていく。
    3人とも、ぶってるやな奴らで、読んでてイライラした。
    最後まで読むと、ぶってることがテーマでもある感じで、3人に共感しないように書かれてたのかもしれないけど、楽しみ方がわからない小説だった…

  • なんか、下品。
    テーマが不倫だからって訳じゃなくて、
    関係性とかにも深みがなくて
    途中で読むのをやめました。
    不倫がテーマなら
    もう少し崇高な話を読みたい

  • 脇役までフルネームで書かれているのは何故だろうと思いながら読んでいたら、終盤で脇役が語部になったり、物語の中心に躍りでてくる様が鮮やかだった。
    玉木が喜久江の料理にかけられている労力に気づいている点など、さりげなく描き込まれた登場人物たちの視線がいじらしかった。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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