- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104061112
感想・レビュー・書評
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「家」は「女」でもっている、ということかな。空虚を埋めるものがなぜゴミなのかはわからないけれど、それは当のゴミ屋敷の人にもわからないのでしょう。
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最後2ページくらいがよかった。それまでは、心の葛藤の描写が続いたり、すこし読むのがしんどいなー、と感じていたのですが、最後、急な展開があり、それによって一気に頭がクリアになる感じでいいクライマックスだったなー、と思います。終わりの方までは、なんだか悲しくなる話だったのだけれど、救いのある話でよかった。
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モノの価値を見直すヒントに 。
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新潮2009年10月に書評されていた本
文学界2009年12月に書評されていた本 -
ゴミ屋敷が題材になった小説というのに驚き興味津々で読んだ。三つの章から成り、第1章でゴミ屋敷のどうしようもなさが容赦なく描かれる。周りの迷惑、見せ物のような異形の存在。なんでこんな状況になるの?嫌悪感を持ちながら読み進んだ。第2章でゴミ屋敷住人である忠市の人生、家族が淡々とした筆致で描かれていく。戦後から高度成長期、農村が住宅地となり日本人の生活、意識が変わる様子がリアルで、その流れにうまくのれない忠市が哀れだ。降り掛かった不幸を癒すすべもなく、無自覚なまま、考えることもやめ、過去も未来も無く生きる忠市。社会と離れ、殺伐とした頑な心がひしひと伝わり、ずっと胸がどきどきしていた。時代や運命の大きな動きに気がつくこともない哀しい存在。全くの人ごとと切り捨てることはできなかった。それでも尚もどかしく、無知が嘆かわしい。こんな特殊な状況の人物を書きながら、この作者は人間を、そして人生を示し、心を揺さぶらせてくれた。えげつない物事が描かれていても、文章は格調高い。半生の中でこんな日々を過ごすために望んできたはずもないのに、ゴミ屋敷の主となるなんて。第3章を読み☆5つにしました。涙が止まらなかった。読んでよかった。