キミトピア

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104580064

感想・レビュー・書評

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  • 短編集

  • もうなんか、どうしていいかわかんないくらいにおもしろかった。
    どの作品もほんとうに凄みがあって、はっとすることだらけだった。
    ずっと読んでいたい作品集だった。

  • 「真夜中のブラブラ蜂」「美味しいシャワーヘッド」は、なんか舞城作品のなかでも新しい感じがした。犬に噛まれて田原俊彦歌いだすシーンは電車の中で笑いをこらえるのが大変だった。チイちゃんのくだりはぞっとした。あと特に好きなのは「やさしナリン」「添木添太郎」「あまりぼっち」。特に「添木添太郎」はよかった。やっぱり青春時代の痛みとか選択のやるせなさを描くの上手いと思う。

  • 最初やさしナリン以外はまらんかったけど三回目くらいですごいはまった。ンポ先輩もあまりぼっちも定期的に読んで克己したいところ ブラブラ蜂と添木は悲しみの描写がリアルすぎてつらい シャワーヘッドはよくわからない・・・また読もう

  • 「真夜中のブラブラ蜂」の腑に落ちるような落ちないような感じがとても舞城らしい。改めてフィクションは普遍性のあるものを特殊な形で提出するものなのだなあと感じた一編。

  • 良い

    ニンニン

  • 表題・個々の題名が良い。

    【やさしナリン】
    人の不幸に対してパニックになってしまい、自分の安全が確保できないほど相手に親切にしてしまう。(お金をあげてしまったりなど)
    そしてそれに対して「人に優しくすることの何がいけないの?」とう態度を取る夫。

    【添木添太郎】
    「神に愛された子」の周りにいると、自然と彼女を助けるように「何か」に利用されてしまう

    【すっとこどっこいしょ。】
    将来を決められなくて、何にでもなれるように理系も文系も勉強したりしている高校生の主人公。
    人生は目標を決められなくても進んで、そのために新しい選択肢が出たりすることもある。友達の彼女の浮気を問いただしたら腹をさされ、それがきっかけで出会う人もいるように。
    「なめた高校生」のアピールがすごくて、主人公を全く好きになれない。

    【ンポ先輩】
    ショックで心に空白ができる。その「空白」が主人を乗っ取って、自分は何者なのかと親しい人につきまとう。

    【あまりぼっち】
    毎日、「昨日の自分」が自分を訪ねてくるようになる。
    何もする気が起きなかった主人公だが、明日もやってくる「これからの自分がつくる昨日の自分」の存在の為に、生きて働いて行こうと思うようになる。

    【真夜中のブラブラ蜂】
    子供が独立したのを機に、夫から「グダグダしてるの見るのもやだから、なんか始めてみれば?」」と言われて始めウォーキング。
    次第に「単にブラブラしたいんだ」と気付き、ついには離婚して世界中をブラブラするようになる話。
    アメリカで偶然(子供に言わせればブラブラの運命めいた理由)出会った事件の犯人の描写が怖い。
    複数の60代男性の血まみれのチアリーダー姿。

    【美味しいシャワーヘッド】
    まあいいや、どうでもいいや、みたいな適当な態度では見失うものや見過ごしてしまうことが多すぎるのだ。
    気を付けるというのは、言葉通り、気を張って相手に、対象に、寄り添うということだ。
    そうせずにいて見失い取り戻すこともできない、それが自分のそばにあったということを知ることもできない

  • 第148回芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」を収録した中短編集。
    舞城王太郎さんの作品は初体験。かなりクセのある文体の作家さんだというのは聞いていて、初めてならこれがお薦めと何人から言われたので手に取りましたが……うーん、文体よりも物語にクセがあるなぁ。

    7編の物語とも物語が向かう方向に意外性があって、言葉の選び方一つ一つが特徴的。現実の世界で、あまりウチの周りにいないタイプの登場人物でその違和感が時々、イラッとさせられます。

    「やさしナリン」は夫婦の物語。人の可哀想に異常に反応してしまう夫とその妹に振り回されながら、関係を再構築していく過程が伺えます。
    「やさしナリン」という言葉の選び方が単純に凄いなぁと思いつつ、突き放した見方に同調仕切れず消化不良。

    「すっとこどっこいしょ。」「ンポ先輩」「真夜中のブラブラ蝶」は登場人物に受け入れづらい方が登場するので、読んでいると結構苦痛。

    一番好きなのは「あまりぼっち」かなぁ。
    ある日突然、自分の目の前に現れる"昨日の自分"。別居中の妻子の元に向かうも、その日の晩には"昨日の自分"は消えてしまう。
    SFな設定ですが、他人に興味のない今の自分と、消えてしまう不安を抱えた昨日の自分との対比が面白いですね。

  • キミトピア、というタイトルはなんかぞくっとくるものがあってどうかと思いますが。7編の中・長編入りの作品集。
    初めて舞城王太郎読んだの阿修羅ガールが文庫化した直後で阿修羅ガールで初めて読んだんだけど、舞城王太郎は女の人のような気がする。どうなんでしょ。

    舞城作品は比較的メタファーががっつりしているんだけど、結構後半までそれがうまいこと隠されたりしていて、それが解けたときの快感が強い。
    主題もはっきりしている。
    「やさしナリン」ではかわいそうな人を見るとなんとかしなきゃ!というスイッチが入って冷静なときにはできる判断がどうにもうまくいかずに暴走してしまう兄妹を兄の嫁視点で描いている。
    そのかわいそうな人をみたときに出てくるドーパミンみたいのに主人公は「やさしナリン」という名前をつけてわかりやすくする。言葉ってほんとうにすごくて、そうなると読んでる側(私)もやさしナリンに思い当たるフシが続々と湧き出てきたりする。

    「やさしナリン」だけじゃないけど、この作品集は言葉の繊細さといものがひとつの大きなテーマだったのかな、とも思う。
    「美味しいシャワーヘッド」は、「好き好き~」の柿生がやったことと同じようなことを樽歩がやり、もっと大きな枠で主人公が読者に対してやる。
    「あまりぼっち」読んでちょっと働かねばと思った。ヴェイユを読んでても思ったことだけど。

  • 久しぶりの舞城さんでしたが楽しめましたね! 確かに今まで通り、読みにくい文体・文章なんですけれども、内容そのものはそこまで癖の強いものではなく、僕の好みに合致するものでした…

    ヽ(・ω・)/ズコー

    それにしてもやたらチンチンやらマンマンを出したがりますね舞城さんは…まあ、いいんですけれども…それと若干、2ちゃんねらみたいなノリがあることが気になります…<<天の声>>というサイトは確か「阿修羅ガール」にも出てきたような…まあ、ノリなんでしょうけれども、他作品とのリンクもあります。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    今回は短編集でしたけれども、今後はがっつり長編を読んでみたいですねぇ…特にデビュー作の「煙か土か食い物」の続編を読んでみたいです…切に希望します!

    というわけでさよなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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著者プロフィール

1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』など著書多数。2012年『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳、短編映画『BREAK』や短編アニメ『龍の歯医者』『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などを手掛けている。

「2015年 『深夜百太郎 入口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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