冷蔵庫を抱きしめて

著者 :
  • 新潮社
3.42
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本棚登録 : 798
感想 : 147
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104689064

感想・レビュー・書評

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  • 「筆頭展開アンド・アウェイ」「冷蔵庫を抱きしめて」「アナザーフェイス」「顔も見たくないのに」「マスク」「カメレオンの地色」「それは言わない約束でしょう」「エンドロールは最後まで」の8篇。

    どれも結構面白かった。

  • 短編小説集。どの短編もそれだけで独立して成り立っている。その一方、対になってネガポジ反転させたような内容の短編が多い。例えば、冒頭の「ヒット・アンド・アウェイ」と「冷蔵庫を抱きしめて」は理解のないパートナーと理解あるパートナーを持つ女性の話だ。顔を見る、見られるという相対する事象を扱った短編もある。

    短編集でありながら、統一感があるようにも思う。それは、軸になる登場人物が何かを「隠している」せいだろう。ある者は隠していたことがバレ、ある者は開き直ったり、受け入れられたり、隠し事と心中したりする。

    一番惹かれたのは「ヒット・アンド・アウェイ」。DVを受けていた女性がジムでボクシングを習って男に反撃する話だ。要約すると一行で済んでしまう。女性がジムに通い始めた時点で、オチの想像はついた。にも拘わらず、いやだからこそ期待を裏切らないオチの「やってやったぞ!」というカタルシス、爽快感が気持ち良かった。

  • 相性がピッタリな夫との幸せな新婚生活のはずが、些細な食習慣のズレから過去の摂食障害を再発させてしまう『直子』。-誰かこれに鍵をかけてくれればいいのに-表題作を含む悩める男女の短編集。

    恋愛、ホラー、心の病など様々なテイストの短編八編。ただどの話にも多かれ少なかれ『食』が入っているかな。
    スッキリしたハッピーエンドはなかったけど、希望のありそうなラストが多かったので後味はそれほど悪くはない。表題もそうだが、密かにボクシングを習ってDV男に対抗する「ヒット・アンド・アウェイ」はスカッとした。
    ただやっぱり手放しのハッピーエンドが読みたくなって、ラストの「エンドロールは最後まで」の主人公には幸せになってほしいと切望したのだけれど・・・だが、どっちに転んでも、きっと彼女は後悔はしないだろうと感じた。
    主人公が男性も女性のものもあったが、特に、男性作家さんでありながら女性目線に違和感を覚えさせないのはさすがだと思う。

  • 短編集だけど 掴まれた
    最初が男運の悪い女性が ふとボクシングに取り組む
    DVに対応するためだけど ニヤリとしてしまう
    最後は 結婚しないと決めた女性が
    偶然ナンパされて その男性と付き合い始める
    男を疑いつつ 付き合った結末が
    楽しめる本でした。丸

  • 病名をつけることができるかもしれないけれど、対人関係や仕事、或いは自分自身との折り合いに生きづらさを感じている人たちの短編集と言えるかな。好みとしてはもっと重たい方が。

  • 最後の作品でちょっと救われた

  • ん〜不思議な短編集。

  • 1編が15分程で読める、あっさりめの短編集。題材はその辺によくある日常風景の一つで、なのに「そうくるか」という鮮やかな展開が面白い。展開が分かっても特に面白く読み返せたのは「ヒット・アンド・アウェイ」と「カメレオンの地色」の2編。人が守りたいもの、尊いものが、それと露骨に示さずに話の内容から伝わってくる。
    爽快、共感、皮肉、各話から感じる味が様々で、1冊で何度も美味しい短編集だった。

  • 「ヒット・アンド・アウェイ」が始まり方が嘘のように気持ちの良い終わり方で良かった。ほっとした。「それは言わない約束でしょう」の心療内科医師や、「エンドロールは最後まで」の心療内科の診察券を持つ男性には戸惑って、でももやもやするより引き込まれた。どの話もどこか軽やかで楽しめた。奥田英朗さんの伊良部先生シリーズを連想したりした。

  • 現代人の心の闇を描いた短編集。特に女性主人公の作品の描写が自然で、この作家は女性か?と一瞬思ってしまった。他の作品も読んでみたい。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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