冷蔵庫を抱きしめて

著者 :
  • 新潮社
3.42
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本棚登録 : 798
感想 : 147
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104689064

感想・レビュー・書評

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  • 2018/4/20読了

  • ヒット・アンド・アウェイ/冷蔵庫を抱きしめて/アナザーフェイス/顔も見たくないのに/マスク/カメレオンの地色/それは言わない約束でしょう/エンドロールは最後まで

    8編。
    DV、拒食&過食、ネット上の虚飾人格、異性運に透かされる自己投影、心理的防具としてのマスクへの過剰依存、ひとの顔色ばかり窺う弱さ、本音と建前、結婚というひとりではできない選択、、、

    現代社会の身近なダークサイドにすり寄るかんじの短編集。
    読後爽快にはなれないが、どれもこれも、ちょっと他人事ではないので、なんだか凹む、そんな1冊。30-50代向けかな。みんな生きるのは楽じゃないねえ。

  • う~~ん、可も無く不可も無く。
    荻原さんにしてはちょっと軽いかな。いえ、題材は結構重いのですが、何となくさらりと撫でている感じ。
    最初の「ヒット・アンド・アウェイ」はスカッとして良い感じなのですが、「アナザーフェイス」はいまいち怖さが足りない。「マスク」や「それは言わない約束でしょう」は発想は面白いのだけど、最後の締めが甘いか。。
    読んで楽しめるのですが、後に残るものが少なく、数日したら忘れてしまいそうな気がします。

  • 短編集。
    あまり面白くないものも多かった。
    最後の「エンドロールは最後まで」は、何度か想像を裏切られて、なかなかいい結末で、よかった。

  • スッと胸がすくような物語から、
    背筋がゾゾゾ・・・と来るものまで
    どの物語も外れ無しの傑作短編集です。
    中でも一番好きだったのは、
    『エンドロールは最後まで』
    どうせ思い通りにならない人生ならば
    たとえ裏切られようが、騙されようが
    自分の信じた道を行くしかない。
    慎重そうで実は大胆な主人公の千帆の行く末に思いを馳せ、その後の幸せを願いつつ本を閉じました。

  • 荻原浩の短編集。シリアスものか、それともコメディものか…と読み進めていったら、両方だった。ま、短編集だったら偏るよりまんべんなく両方の雰囲気で攻めるよね。

    ヒット・アンド・アウェイ
    恋人にDVされているバツイチ子持ち主婦。
    自分だけならばまだしも、子供にまで手をあげ始めた。
    ボクシングジムの門を叩き、トレーニングに明け暮れる。
    最初はぽすぽすとしか打てなかったパンチも、徐々にサマになり、コーチからプロの誘いまで受けるようになる。
    ある日、DV男に復讐するチャンスが訪れる。叩きのめしていると、コーチとセコンドが応援に駆けつけてくれる。

    冷蔵庫を抱きしめて
    私も最近冷蔵庫を抱きしめた。数回電源を入れても入らなかった冷蔵庫が、動いたとき、抱きしめた。
    その経験から、この本のタイトルを見て図書館で借りる。
    この話は、前に拒食症と過食症を繰り返していた少女がそれを克服し、結婚をして、夫との食の好みの違いが気になりだしてからまた拒食と過食が始まる。
    しかし、夫の優しい行動に心がほぐれていき、きっと直っていくのだろうな~というお話でした。

    アナザーフェイス
    ドッペルゲンガー的なお話。
    ドラえもんの影切ばさみだ。

    顔も見たくなくないのに
    芸人崩れのぺっぽこ彼氏だと思っていたのに、別れてからテレビに出るわ、広告に起用されるわ、顔を見たくないのに目に入ってくる。
    しかし、落ち目になってきた彼氏が寄りを戻そう、ずっと一緒に居よう…と言ってきて、一瞬ハッとするのだが、『いっしょにコンビを組もう』という事だった。
    でも、それはちょっと惜しいと思ってしまう麻衣だった。

    マスク
    ある時、マスクをしだしたら急に生きるのが楽になってきた。花粉症と偽り、いつでもどこでもマスクと眼鏡を外さなかった。花粉症が終わってからも外さなかったので周りから白い目で見られてしまい、とうとう会社を辞めることになってしまった。
    その後、着ぐるみ人形の中に入る仕事を始めると、今度は自分を見てほしい!という欲求に駆られてくるようになる。元の生活に戻っていくのかな。

    カメレオンの地色
    ゴミを捨てられない女、梨代。ゴミの見張り人が居て、なかなか捨てられないのだ。だから部屋の中がゴミだらけだったのだが、お目当てのマカベさんが梨代の部屋へ遊びに来ると言うのだからさあ大変。時間を気にしながら片付ける。その時に「やれば、終わる」という言葉を思い出す。それと同時に中学時代のいじめも思い出した。自分の彼氏が、いじめられている子をかばってから彼氏がいじめにあうようになる。でも二人だったから乗り越えられた。
    高校は彼の父親の転勤のため、離れ離れになってしまってそれっきり。彼の夢は役者になること。
    梨代はマカベさんの事より、彼の事が気になってしかたなくなる。マカベさんとの約束を断り、彼の行方をネットで探し始める。『出てこい、遼介』とつぶやきながら。

    それは言わない約束でしょう
    デパートに勤めている礼一は接客中に余計なことを口に出してクレームの嵐。自分では気づかないうちに口に出していることを最初のうちは気づかなかったのだが、周りの反応から気づき始める。
    自分の親が口の悪い八百屋をやっていて、それを見てきて育ってきた礼一。ショックから八百屋を継ごうかと悩んだが、父親が八百屋を辞めると聞く。
    また違う店舗へ転勤になる礼一。そこでは、素直に似合わないものは似合わない、こちらのほうがお似合いですとツンデレな接客をするようになる。クレームも相変わらず来るのだが、お客様もつくようになる。

    エンドロールは最後まで
    結婚はしないと覚悟を決めた途端に、映画を通じて出会いがある。
    白衣を着て医療関係に居るから、医者だと勘違いして付き合い始める千帆と裕二。裕二の背中にはたばこの根性焼の跡があった。親からの虐待だった。そのことがあって実家の話は決してしなかった。自分の話はなかなか話さない裕二に不信感を覚える千帆は、免許証などを内緒で確かめる。確実に裕二は裕二なのだが、医者ではなく救急救命士だった。前々からアフリカの医療に興味のある裕二はアフリカに行くつもりだった。お金を貸していた千帆は一緒にアフリカに行く!と言い出す。裕二はもちろんだとも。と。
    外資系会社に勤めている千帆は、アフリカで裕二を支えていく決心をする。

  • 「世にも奇妙な物語」風の短編集。
    主人公が抱える悩みに奇妙な世界を折り込ませながらの展開。総じてポジティプな結末に、読了感が心地よかった。
    個人的には、「ヒット・アンド・アウェイ」「カメレオンの地色」が好み。

  • 【ヒット・ランド・アウェイ】
    2歳の娘をDV男から守るために決意を下すシングルマザーの話。別れるためには相手より強くならないと相手は見下し続けて来て別れることもしない。そのためにボクシングに通ってDV男より強くなる。強い女性になろうと考えさせられた。
    【冷蔵庫を抱きしめて】
    食の好みが合わない夫婦っていうのは大変だなっていう感想。摂食障害とか過食症になっても支えてくれる相手がいるっていうのは素敵なことだ。
    【アナザーフェイス】
    この話の意図がなんなのかよくわからない。霊の話?ドッペルゲンガー?
    【マスク】
    マスクをつけ始めてから自分をどんどん隠そうとしていってしまう人の話。最後はひっくり返って顔を出したいとなる。そこまでの過程がそうくるかという展開。
    【カメレオンの地色】
    自分と付き合った男性の好みに合わせて自分も洋服とかの系統を変えてしまうカメレオンのような女の話。部屋はゴミ屋敷で片付けているうちに思い出の品が出てきて今までの元彼を思い出して行く。結局最後はインターネットにすがって最初の元彼を探すことにこだわってしまう。
    【それは言わない約束でしょう】
    心の中で呟いた言葉を実際に口で出てしまい様々な人を怒らせてしまう。その症状を治したく試行錯誤を続ける主人公だが、最終的にそこを逆手にとって個性として活かして毒舌なデパート社員として生きて行く。
    【エンドロールは最後まで】
    結婚しないと決めたのに…。決意した後出会った男性と良い感じになるもののあらゆる疑惑があがる。その彼との恋関係は今後どうなるのか。

    今よくある様々な心の病気に面白いストーリーでどれも描かれていてとても面白かった。短編集だけど短編集とは思えない内容の濃さだったと思う。

  • 「あなたの心、開放します。現代人のライトだけど
    軽くはない心の病気にシニカルに真剣に迫る短編集」
    ヒットアンドアウェイが1番好き
    心がスカッとする

    2016.11

  • 短編で読みやすい。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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