いとみち 三の糸

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104723058

作品紹介・あらすじ

ありがとう、さようなら。いつかまた、逢えるといいね――青春、永遠! 大志はあれど、経験は足りず。だけど、未来を決めないと――。濃厚な津軽弁と饒舌な三味線を武器に本州最北端のメイドカフェで働く「相馬いと」も、高校三年生になりました。淡い恋に、出会いと別れ。夢と希望に恐怖と勇気。人生最大の分岐点で「いと」が選んだ道とは? 青春小説の金字塔、「いとみち」三部作、ここに完結!

感想・レビュー・書評

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  • とても可愛い三部作の完結編。
    内気な女の子が青森のメイド喫茶に勤めて、がんばる話です。

    相馬いとも、高校3年生。
    進路を考える時期になりました。
    津軽メイド珈琲店での仕事も、受験の間は休むことに決まっています。
    先輩メイドだった智美は漫画家をめざして、東京へ。
    まだアシスタントが主な仕事だが、元気な様子で手紙をくれます。

    智美の妹チハルがメイド喫茶に勤めだしたのですが、明るくお喋りなところは姉に似ていても、仕事には熱が入らず、態度は失礼。
    なかなか指摘できずに悩んでいたいとですが、ある日、爆発してしまい‥?

    いとが目指す大学は何と理系で、都市工学。
    地元にはないので、東京か仙台になります。
    夏に学校見学に出かけますが、初めての東京は広すぎる上に、訛りのきついいとの言うことは相手に通じないので、大ショック。
    青森の商店街をもっとにぎやかにしたいというのが、いとの思い描く未来。

    写真部の後輩の石郷鯉太郎とは、ほのかに思い合う仲。
    本人は焦ったり困ったりしていますが微笑ましい関係。
    家を出ることをためらういとを安心させようと、80近い祖母は津軽三味線の全国コンクールへ。
    ネットで評判をとることになります。

    みんないい人ばかりで、生意気なチハルもすぐに反省。
    それぞれに進路を見出していきます。
    いとも自分では進歩がない気がしていたのに、後輩に教えられることがたくさんある古株になっていることに気づきます。
    内気で口下手でドジっ子でも、いったん三味線を持つと大胆に表現するいとちゃん。
    もともと内面には情熱があるんですね。
    笑いながら楽しく読めて、気持ちよく読み終われました。
    続編も書けそうな気がしますね!

  • いい小説だった。ステキな三部作だった。

    進路、受験、別れ、恋、そして想いを紡いでいく新しい出会い。
    いとっちの成長が微笑ましい。
    泣き虫は変わらなかったけどw

    人は人に出会い、本気でぶつかっていくことで成長していきますね。

    越谷オサムさん、好きな小説家です。

  • いとみち第3作目にして完結。受験真っ只中のいとが、進路に恋に、そしてメイド喫茶の後輩に悩み…という話だけど、いとみちらしく、全体的にふわっとした空気。なので読み手としても穏やかに読める。
    あんなにぽわんとした子が、こうしてしっかり進路を決めてその道に進もうと頑張っている姿を見ると(読むと)、感慨深いものがある。
    いい終わりだった。この先も頑張れ、いとちゃん!

  • 祖母ゆずりのどぎつい津軽弁を話す青森の田舎少女、いとの物語第三弾だ。
    メイド喫茶でのアルバイトでもいつのまにやら「先輩」になり成長したいとが自身の将来を見据え、迷いながらも前に進むけなげな姿を描いている。
    人と人がぶつかって簡単に和解したり認め合ったりしてしまう部分は軽すぎる気もしたけれどその軽快さや悪意のなさがこのシリーズのいいところかも。
    悪人が登場しない優しい青春小説だ。

  • 三の糸で終わりだろうか・・・・思わず泣いちゃったんですが~相馬いとは高校三年になり,衰退する青森市を何とかしようと都市工学を学ぼうと決心し,元エースメイドで現漫画家のアパートを訪問するが流石に東京は敷居が高く,仙台の国立大が身の丈にあっていそうだが学力が見合わない。2年後輩で智美の妹・チハルは生意気で手抜きのアルバイトで,遂にキレてしまった。秋,後輩の鯉太郎に数学を教えていて,間違って持ってきてしまった答案に気が付いて,大鰐で泊まることになってしまった夜,いとは鯉太郎に,思わず好きだと云ってしまった。冬始めのセンター試験はまずまずの出来だったが,私立大入試に失敗し,背水の陣の国立大に合格した。弘前のメイドカフェも上手く行きそうな気がする。ライブを披露する三味線奏者の後継も見つかった~ いとちゃんが可愛くって,仙台に行きたくなっちゃった。いちみち三部作はこれでお終い。残念だね。ずいぶん,泣かされてしまった。可愛くて・・・・。締めが蛇足だったのが残念

  • いとちゃんはとっても強くて魅力的な子に成長しましたな。
    それが読んでいて一番嬉しいことだった。

    エディ・ヴァン・ヘイレン青森凱旋とか
    鯉太郎くんちの危ない一夜(?)とか
    素敵なエピソードがいっぱい。
    特にいとちゃんがチハルを怒鳴りつけたところは爽快だった。
    かっちり結果を見せてほしいところと
    曖昧なまま終わってほしいところのバランスが理想通り。
    このまま終わっちゃっても外伝が続いてもいいような終わり方だった。

    もし続きがあるんだったら
    いとちゃんが都市工学をばっちり学んで
    青森に帰ってきてからの話が読みたいなぁと思う。

  • 大きな事件とかは余り起こらない物語で、これが他にはない読んでいて安心できる効果を出しているようだ
    今回は魅力的な登場人物が多く出てきたり、主人公の成長も感じられたりと伸びやかな進展が心地よかった
    最終話ということで、「いとみちロス」な感じもする

  •  ちょっと時間かかったけど、ようやっと読了。前作読んだ後に津軽地方に行ったのでより新鮮に感じた。
     周りのみんなの変化と、いとの成長の集大成。おばあちゃんがまさかのだったのがびっくりだけど、いとの周りにはいい人が多くてよかったなって。
     そしてまた青森に行きたくなってしまった。

  • 「いとみち」三部作読了~。
    何度も読み返したいシーンがあって、大好きな作品になりました。津軽弁をコンプレックスにもった引っ込み思案な主人公が、月日を重ねていくごとに、どんどん成長していくさまを、主人公を応援する気持ちで見守った。
    「後輩」を見事に叱り飛ばし、ともにがんばろうっていうシーンも、部活の後輩をやはり叱咤しどさくさにまぎれて告白しつつ(笑)、でもかっこいいなー、と拍手。いとちゃんのいいところは、そうやって「上から」ものを申す立場になっても、決して「下」にいたときの自分の気持ちを忘れずに、相手の立場になって寄り添えるところだと思う。
    それが大事なんだなと。

    それにしても、この巻のハイライトシーンをあげれば、ともかく「ばば」につきます。三味線の全国大会、それも技量を競い合うA級にはじめて出場して、(出場動機が泣かされる。わたし自身がおばあちゃんこだったので)・・・ってそこの演奏シーンの文章はもう何度読んだことか。かっこいー。そして、ラストの、あの、あのドッキリ・・・!
    いやー、これはもう、姉妹店の繁盛もまちがいなしだ。

    いとちゃんたちの前途を祝したい。
    きれいな気持ちで、読了。

  • 素敵な話だった(*´-`)高校一年生で、新米メイドだった いとちゃんも遂に三年生になり、先輩メイドに!さらには写真部の後輩 鯉太郎との恋(*^^*)大学受験の時はハラハラ(゜_゜;)力が入って合格発表までは一気に読んだ!でも、そこから最後までは終わって欲しくない気持ちもあって、じっくりと(^-^)いとちゃんの成長も凄いけれど、お婆ちゃんのハツヱさんも進化し続けてるよo(^o^)oみんなが幸せになる良い終わりだった(^^)あっ!山本先生はまた三年間、津軽メイド珈琲店の常連客に戻れないから少し不幸?(^^;)この作品で青森がますます好きになった♪ヽ(´▽`)/

  • 大団円。
    人見知りで臆病だったいとも、だいぶ変わったね!
    後輩を怒鳴る日がくるなんて。

    大学編や、その後のお話もいつか出ればいいな。
    でも、三味線は三の糸までしかないか。

  • 「いとみち」三部作完結編

    良かったなぁ、いとちゃん
    人との向き合い方に惹かれます

  • いとみちシリーズ3部作、堂々の完結おめでとうございます。絵に描いたような大団円はこのシリーズにお似合いと言えましょう。どこかの局でTVドラマ化してくれないかな。

  • いとっちの高校生活最後の1年間が季節ごとに章立てしてある。それぞれの季節のエピソードは、1つに絞られた短い時間が濃密に書かれていて、心に残る。
    受験勉強とメイド喫茶の両立、淡い恋、そして自分の成長への気づきというテーマが、丁寧に書かれていて、爽やかな読後感だ。
    前2作ほど起伏に富んでいないが、それがいいね。

  • 婆様!!!!

  • いかにも本作らしい終わり方。

    内容は短編集になっているため、区切りよく読める。

    あまりにもあっさりしすぎな感じもあるのだが。

  • 良かったです。一巻の時はまあまあの作品だと思ったけど、巻を追うごとに面白くなりました。地域への愛が深くて良いです。映画DVDも買ってしまいました。

  • 相変わらず賑やかなキャラたちが紙面一杯を走り回り、これぞ正真正銘のエンタメ小説。
    2巻では出番の少なかったハツヱばあちゃんも大活躍。
    それぞれが次のステップに向かって歩き始め、これでシリーズ完結。
    ちょうど良いエンディングです。

  • 女子高生いとが人見知り克服のために始めたメイド喫茶でのアルバイトをきっかけに始まる物語第三弾。
    読んでてほっこりします。
    派手な出来事や事件があるわけじゃないけど、それでいいんだなって思いました。

  • ひっ込み思案で、ひととうまく話すこともできなかったのに、メイド(三味線もやります)として働いていくうちに少しずつ成長してきたいとちゃんの受験と卒業。ほんっと成長したなー。この巻では、メイド&三味線はあまりないのね……と思っていたら、ラストにきたわ!いとちゃんかっこいー!自分の勉強したいこともちゃんと見つけられたいとちゃんのこの先に幸あれ。

  • 高3まで終わってしまった。
    もっともっと続いてほしい。

  • ばばの活躍もあるし3部作で一番好きだけど、1,2があってこそだからね。全編通して、★6つや7つがあるならつけたいくらい(笑)

    登場人物の成長と、次のステージに力強く足を踏み出していくであろう前向きさを感じるラスト。この心地よい読後感は著者作品の大きな魅力だと思う。

  • いとちゃんも成長し高校生最後の年。進路が気になります。下級生の気になる男子もいます。津軽弁の抜けないメイドカフェの仕事でも、後輩の仕事ぶりに注意をする場面もあったり、変わり目です。いとちゃんのおばあちゃんは相変わらずどころか、益々冴え渡る津軽三味線の名手ぶりを発揮して、ネット上の有名人!…何ていう部分は今どきの事情だなと変に感心しました。さて、いとちゃんのこれからは…

  • 軽快な青春小説で好きです

  • いよいよ完結、三の糸。
    固い絆で結ばれた二の糸から
    それぞれの旅立ちへ。

    いとっちの成長ぶりが楽しめました。

    鯉太郎くん、いい子だしぃ。お似合いお似合い。

    家族に愛されて、友達に恵まれて、
    大人たちにも恵まれて
    この三年間は
    いとっちの大人になるための強い糸になるんだろう。

    津軽弁も脳内では完璧に再生できた。。と思う。

    三味線の上手な女子大生編、出ないかなぁ。

  • 150711 中央図書館
    旧制二高のリケジョですか?

  • ついに完結編。自分の行く道をみつけたいとちゃん。第1作のころと比べるとものすごーく変わったね。

  • とうとう高校卒業。進路もはっきり目的を持って大学受験することになったいとちゃん。
    カフェでは後輩もできたし、後輩を教育するまでになりました。すばらしい成長です。気になる鯉太郎くんの家庭もでてきます。親の思い、友達の思い、仕事している仲間のおもいが重なり合って、いとちゃんを最後に送り出します。おめでとう!いとちゃん。
    中学、高校生みんなに読んでもらいたいなぁ。

  • 読んで良かった。激怒が良かった。旅立ちの場面も良かった。あー。泣いたー。

  • 学びたいと思ったときのよろこび、受験のくるしさ、故郷と支えてくれた人たちとはなれるさみしさ、どれもまっすぐに伝わってくる。この本を読んで励まされる高校生も多いのではないだろうか。
    最後の三味線バトルの描写は秀逸!

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。2004年、『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『いとみち』『陽だまりの彼女』等がある。

「2021年 『まれびとパレード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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