わが悲しき娼婦たちの思い出

  • 新潮社
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感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105090173

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかった。薄くてサクッと読める。77才のマルケスが書く90才の老人の娼婦たちとの回想録。それと現在の90才主人公が14才の少女に恋する物語が並走する。湿った物語かと思ったらぜーんぜん。武勇伝以外のなにものでもない。まさかのハッピーエンドに舌を巻く。老いたマルケスの願望か。嘗てのマルケスの壮大なスケールには欠けるけれど、優しさと大らかさと軽やかさのある老成したマルケスも悪くない。老いてもなおエネルギッシュ、南米人の気質ですかね。しかし最近は認知症の噂も伝わり、これが最後の作品かと思うとしみじみ寂しい。

  • 最後の方、少し目頭が熱くなった

    美しくてはかなかった

  • ある意味最高の純愛小説なのではないかと思う。“満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝にしようと考えた”という実にセンセーショナルな書き出しから始まる。九十歳の老人が十四歳のうら若き乙女に生涯初めての“恋”をする。彼女を愛するがゆえに触れられず、もどかしく、時に疑い嫉妬する。主人公が老人であることをときに忘れてしまいそうになる。人はいくつになっても恋することが出来るのだなぁと思った。これはガルシア=マルケスが川端康成の『眠れる美女』に着想を得た物語だそう。2011/583

  • とにかく一行目でガツンとくる。

  • 川端「眠れる美女」のほうが何倍もフィットする。思えばあの作品は毒そのものだった。陰そのものだった。
    かたやこちらは、陽。あっけらかんとしているというか、カラッとしている。むしろさわやか。精力。
    幻想も……恋をするとまるであの子がずっとそばにいるように思えるね、という程度。これには父母に関するイリュージョンが絡んでくるが。
    眠る少女と見る老人が、まさかあんなラストを迎え、さらにラストシーンのその後を想わせるとは!

  • ナボコフ『ロリータ』も川端「眠れる美女」どころか『百年の孤独』も『族長の秋』も読んでいない自分にはこの作品に講釈をたれる資格は全く無いのですが、76歳の作家の堂々とした手腕と、それでも主人公に映る瑞々しく若々しい景色のコントラストが印象的だった。

    最近長い感想ばかり書いているのだけれどこういう本の感想は書きづらい。バカを晒しそうで…。

  • ガルシアマルケスの本はたまに読みたくなる。
    何度も読み返したいという気はあまりしないので、その都度新しい本を読んでいたが、ついに読み切ったと思ってからずいぶんたちます。
    この本が出ていたの気が付かなかった。
    自分とは大分年齢の違う主人公だけど、恋の気持ち、音楽、結婚、生活など共通する感覚があることを感じる。
    なぜかな。

  • 確かに読後感は悪くなかったのだが、
    どうも私好みのテイストではなかったようだ。

    しかしこの読み応えはさすがだと言わざるを得ない。

    それにしてもあの婆さん、胡散臭い。

  • 日本の小説家も世界へ影響を与えていることを考えさせられる。日本の娼婦という幻影的な観念をマルケスが描き切ったところが何ともエロチックで美しい。

  • 処女と交わることを自らのの誕生日のお祝いに思いついた老境の新聞記者。
    なじみの娼館で、薬により眠らされた少女を準備してもらいますが、90の齢にして、はじめて彼は恋心を知ります。

    寝ている娘に名前を与え、本を読んで聞かせ、あまつさえ生活をともにする空想を見る…。一方、現実の彼女については娼館の主の口から伝え聞くばかりで、老人は一人よがりの愛の妄想を発展させます。

    少女を買うのは悪徳だし、老人の恋だって一方通行の孤独な想い。世の中にもどこか不穏な雰囲気が漂います。新聞記事を検閲官に揉み消され、軍部が市民に目を光らせ、主人公はほとんど無一文になってしまう…。

    それでも、死を目前に控えた年齢で人生の素晴らしさに目覚めた男の、生きる力漲る作品でした。

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