地球の履歴書 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
4.11
  • (30)
  • (34)
  • (16)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 416
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037764

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 学校の授業がこんな切り口だったら、さぞ楽しかっただろうな。
    読み進めるほどに、なんだか自分がすごい発見をしたような興奮を覚える。
    特に、第4章の深海底での巨大な火山活動。
    海底に突如巨大な裂け目が幾つも生じ溶岩が溢れ出す。マグマが尽きることなく100万年にわたって溢れ続けた。。。想像するだけで恐ろしいけれど、神にでもなって見守り続けたい。
    一度は耳にする『白亜期』のすごさも見逃せない。今の私たちの生活は、この白亜期があるからこそ。
    塩のすごさも地球の歴史でよく分かる。

    何度でも読み返したい一冊。

  • 読みやすくておもしろい。期待通り。

    戦争によって失われたものの大きさを本当にもったいないと思う。

  • これはエッセイ集であって、教科書的なものではない。だから気軽に読める。塩の話が興味深かった。

  • 地球の成り立ちから、主に海や地殻の事がとても分かりやすくまとめられている。
    例えば、
    その昔(約二万年前)、海面は今よりも130メートルも下にあったようだ。海底で見つかる遺跡のような巨大な石なども、実は当時の人々の営みが海面上昇により沈んだものなのかもしれない。また当時は黒海も干上がっており、その後約9400年ほど前に、海面上昇に伴いボスポラス海峡から黒海に海水が流れ込んで、周辺の人々にとっては恐ろしい洪水となり、これがノアの洪水の起源ではないかという話も、非常に説得力がある。
    他にも、海水はなぜ塩分を含んでいるのか、有馬温泉は火山が無いのになぜ温泉なのか、など、面白そうな話がたくさん出てくる。

  • 『チェンジング・ブルー』を書いた大河内さんのやや軽めの地球物理学の解説本。まえがきに、「科学者が科学を題材にした随筆、あるいはエッセーと呼ばれるものを書くことには、実は少なからず抵抗がある。限られた時間をどのように過ごすべきかと考えた時、これが本当に正しい選択なのか?というジレンマに直面するからだ」と書く。アウトリーチ活動というらしいが、こういった著作が学者としての査定に影響することはないそうだ。それでも一般の人に科学に触れてもらえればと考えているとのことのようだ。池谷裕二さんも『単純な脳、複雑な「私」』で同じようなことを書かれていた。本を読む方としては、感謝をして読むべきなのかもしれない。そして何かを得らればよりよしとする。

    本書で扱われるテーマは地球物理学と呼ばれる分野からとられている。「海」「海底」「白亜紀の地球」「南極」「海面の上下」「塩」「地中」などが、億年単位の長期間の地球の歴史の中で語られる。個人的感想としては、より科学的な側面が強く、それがゆえ著者の意志が込められていた『チェンジング・ブルー』の方が面白かった。ただ、極地探検の現実(アムンセンやスコットの名前は小学生以来かもしれない)や海面の上下による東京の地形などは知らなかったことを知ることができるという楽しさがあった。そして、何より読みやすい。そこには、読みやすくしよう、読者にきちんと伝えようという意志が感じられる。おそらく結構時間がかかっているんではないのかと思う。だからこそ、まえがきにそういうことを書いてしまうんだろうなと。


    ---
    『チェンジング・ブルー――気候変動の謎に迫る』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032803
    『単純な脳、複雑な「私」』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4255004323

  • チェンジング・ブルーの著者の最新刊。
    雑誌の連載をまとめた8つのエッセイからなる。それ故、タイトルは後からつけたものだろう。「地球の履歴書」というテーマで書かれたものではない。
    地球の不思議さ、地球科学の知識、科学史、時には文化・芸術までを織り交ぜて綴られ、科学の素晴らしさ、地球の不思議さに驚嘆しながらあっという間に読み進んだ、
    専門的な内容を、かくも読者を引き付けて著す筆力は素晴らしい。著作はご専門ではないのだろうが、次作以降も楽しみだ。

  • 地球について知らないことを丁寧に教えてくれる好著だ.地表の7割を占める海については分かっていないことが非常に多いことを前半で述べている.海底に巨大な火山がある由.白亜紀が現代社会を支える資源を生み出した時代であったと強調しているが,正鵠を射ている.最新情報を含めた知見を分かりやすく解説しているのは,地球に関する著者の理解度が深いからだと感じた.

  • 科学史と歴史から読み解く自然科学。
    地球の成り立ちや自然現象を、日本書紀などの歴史書に書かれているエピソードや科学者たちの発見から読み解いて掘り下げていくという、まことに面白い視点の本でした。
    科学も発展には懐疑的な方だけど、地球を破壊するのも科学の発展なら、破壊から食い止めるのも科学の力なのかもしれない、と感じさせてくれる一冊。

  • ソナー、ニオス湖、南極、塩。
    地球の歴史を科学の進化と共に歩む書。

全39件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

大河内直彦 1966年京都市生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。その後、京都大学、北海道大学、米国ウッズホール海洋研究所など流浪の時代を経て海洋研究開発機構へ。現在、生物地球化学研究分野分野長を務めている。

「2023年 『石油のものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大河内直彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
パオロ・マッツァ...
スティーブン・ピ...
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×