国家の品格 (新潮新書 141)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101410

感想・レビュー・書評

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  •  昔は良かったという本。品格ブーム(?)の火付け役?経済や歴史観については色々とツッコミどころのある本。とは言っても、大学3年生の頃に読んだときは、とてもすばらしい本だと思っていた。

     現在の感想としては、過去を美化し、昔に戻れというのは、成長を放棄するのと同義であると思っている。僕は、何事も過去の考えや文化を打ち破って、新しいモノがはじまると思っている。もちろん古い物がすべてダメなわけではない。古いものでもすばらしいものであれば、ちゃんと後世に何らかの形で残るはずだと考えている。なくなるにはなくなるだけの理由があるはず。

     数学や理論物理などすぐには役に立たない学問をしっかりやれるほどの厚みのある国が伸びるというような記述があるが、そうだろうか?そうではなくて、すぐには役に立たない学問をやっていても生きていけるほど豊かな国がまず最初ではないだろうか?

     これ以降の○○の品格というタイトルで便乗している本は読む気にならない。

     「○○の品格」というタイトルには、『私には「品格」を語る資格がありますよ』、『自分にはその事柄について語るにふさわしい能力と実績がありますよ』という傲慢さを感じてしまうのだ。もし仮に「品格」を語る資格がある人がいたとしたら、その人はきっと実力と謙虚さを兼ね備えた人だと思う。そしてそんな謙虚な人には「○○の品格」なんていうタイトルはつけられない気がする。

  • 読んでいて気分が悪くなった。あれも駄目これも悪いの応酬だし、著者が余りにも自分の考えに自信があるし、日本人日本人と棚に上げすぎ。著者はそういう環境にあったらしいからまだいいかもしれないが、武士道を定義すること無しにそれを広めることなど到底無理だろう。自己満足に過ぎない。
    ただ唯一褒められるところと言えば、この本が良く売れたことで、彼の言う中身のない国民が多くいるということが、身を挺して証明されたことだろう。

  • 母が持ってたので読んでみた…ら、お、おもしろい!(笑)ベストセラーになるのもわかる気がします。何が面白いってまずは語り口ですね、愉快で軽妙。すごく口語的なこともあって、読みやすいです。云ってることもとてもわかりやすい。全面的に賛成できるかどうかはともかく、一度は考えてみたい問題だな、とも思えました。日本も好きになれますよ。

  • 欧米で主流の徹底論理主義なんてクソにも及ばない。

  • 2005年に読んだ新書の中でダントツ1位。
    50冊くらい新書読んだけど、まだ、これを超える本に出会った事がない。
    <br><br>
    この本が嫌いな人の意見もわからない事わけではない。
    筆者「小学生に必須の英語を学ばせたら、日本は廃れていく」。<br>
    読者「国際化なんだから、早めに英語習得すべきじゃないの?」<br>
    筆者「英語習得の前に、まずは、国語の読み・書きに力を注ぐべきだ」<br>
    <br>
    僕は、その意見に賛成なので、この本を読んで、爽快さえ感じた。
    日本の文化が好きだからかもしれなけれど、その品格を忘れたくないと思った。
    それを思い出させてくれた良書だと思う。
    新書として、論理的に意見を述べている点も、わかりやすかった。
    <br><br>
    僕が印象に残っている行をいくつか紹介します。
    <br>・論理に頼っていては永久に判定出来ない、ということがある。
     (これは、数学者が言うからこそ、ココロの響く)
    <br>・いじめを本当に減らしたいなら、「大勢で一人をやっつけることは文句なしに卑怯である」ということを叩き込まないといけない。
     たとえ、いじめている側の子供たちが清くて正しくて美しくて、いじめられている側が性格のひん曲がった大嘘つきでも・・・
    <br>
    ・民主国家では、世論こそが正義であり、必然的にマスコミが第一権力となる。
    <br> ⇒しかし、成熟した判断の出来る国民が本当にいるのか。
    <br>
    ・祖国・郷土を愛さない奴がいたら、ぶっ飛ばす!!
    <br>
    ・情緒を大切にせよ。(日本人はもっとも情緒や形を重んずる民族である。)
    <br>
    上記に述べた筆者の意見よりも、
    日本が他の国と比べて、どう違うのか説明しているところを読んで欲しい。
    意見も確かに大切だけど、まず、日本に関する情報をこの本をを通じて、手に入れて欲しい。
    その上で、日本とどう付き合っていくかを考えて欲しいと思う。
    <br><br>
    本当にオススメの本なので、一度は絶対読んでください。

  • この本ぐらい思想ははっきりと言った方が面白い。国際化の時代だからこそ、この本が言おうとしている日本的な情緒を重んじる精神は少なからず必要だと思う。ナショナリズムではなく、作者の言う“祖国愛”を僕は持っていたい。欧米諸国への興味も強いが、その半面で日本文化を誇る気持ちもやはり忘れたくない。日本に限らず、母国への愛とそれゆえの批判がなければ、その国の品格は失われるのではないか……

  • 論理というのが最上級の概念だと思ってる人はいませんか?それは下品ですよ。
    植民地主義も、当時は、「劣等な人種を優れた人種が統治してあげるのは、文明の神聖なる指名」と立派な論理を展開している。人間は、論理が通っていれば、残酷なこともできてしまう。
    共産主義も、論理的にすばらしかったが、人間という「種」に適さなかった。
    会社の中で無能なものかクビにしていくのは、会社の論理であるうちは結構だが、それが、国家自体がそうなってしまったら明らかに間違いだ。1:重要なことは、論理では、説明できない。論理には出発点が必要:例えば、彼女
    が一番好きだって根拠ないでしょ?複雑性原理
    2:論理は、コペルニクスが非難されたように、ある歴史的パラダイムに依拠してる
    に過ぎない。つまり理性の限界がある。パラダイム的不完全性

    こんな無根拠の上に我々は秩序を作らねばならんのだよ!
    ではどうしではどうしたいいのか?
    論理とか合理化を否定する必要はない、ただこれを「剛力」とするなら、「柔力」と
    なる両輪があっていいだろう。ここがしっかりしないと文明が進歩しても、文化は退化する。
    ある人は真善美という。
    ある人は「情緒」と「形(行動基準)」という。弱いものをいじめるなとか、後ろか切るなとか。
    ある人は「宗教」や「武士道精神」に見て取るのだろう。たいいのか?

  • 私は「日本人の誇り」を取り戻すために本を読んでいない。
    「あ、主人公のこの気持ち凄くわかる」とか、「あの時何となく感じたことを言語化してくれてる」とか、そういう極めて個人的な感動体験を味わわせてくれる瞬間が読書の醍醐味であると思う。

    しかし本著は違う。読者は“日本人”という馬鹿でかい括りの中に問答無用で放り込まれ、「日本は素晴らしい」「外国はクソ」「武士道精神こそ至高」だのと、とかく日本礼賛の嵐に遭遇することになる。そりゃこんだけ褒められれば日本人として悪い気はしないだろう。しかしそこに読書が持つ自由さ、開放感は微塵もない。

    別に保守思想が悪いと言っているのではなくて、自分に都合の良い話だけを歴史の中からチェリーピッキングし、それをさもたった一つの真実であるかのようにのたまうその態度が不誠実なのである。結論ははじめから「日本こそ最高なのだ」と決まっており、その論を証明(笑)する為だけにテキトーに話を引っ張ってきて読者を騙るその恐るべき傲慢さ、最後に「世界を救うのは日本」とほざく厚顔無恥さにこっちが恥ずかしくなる。

    こういうゴミ本がベストセラーになってしまう日本社会が衰退の一途を辿るのも当然だろう。

  • Audible。きっかけは、佐藤優氏の『読書の技法』に出てきたので気になって。ずいぶん前からタイトルは耳にしていて気になっていたのもあり。

    受け入れられない部分もあった。違和感を感じたのはなぜだろう。そこが私自身の中で言語化できなくてモヤモヤする。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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