「こころ」は本当に名作か: 正直者の名作案内 (新潮新書 308)

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103087

感想・レビュー・書評

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  • 読書が万人のものというのはたかがここ百年のことであって、名作と呼ばれるもも全てが誰もが楽しめるものではない。
    この主張は分かる。

    が、論考を進める上で著者が面白いと感じる作品の面白さは主観の域を超えていないように読める。

    ある程度の読書経験や習慣がある人にはいいが、層でない人には怠惰な態度や読解力の至らなさの言い訳、隠れ蓑になってしまうのではないか。

  • ブックオフで買って、速攻ブックオフに売り払った。

    はしがきを読みだすと、「いわば」(だったと思う)があり、その数行後に「いわば」がまた使われている。

    同じ言葉の連発に受けた印象は「文章雑だなー」。

    読む気がしなくなり、文学作品を著者の視点から批評する内容なので、どの作品のどのようにいいのかをちょっとチェックすればいいやとわりきった。

    で、著者が一番いいと論じているのは「源氏物語」だ。理由は「とにかくいい」

    だけである。

    どのようにいいのかを読者は知りたいんだよ!

    もういいや、この本読まなくて。

    いや、待てよ。本書のタイトルの「こころ」はどうなんだ?高校の教科書にもある日本文学における大作品をどう斬っているんだ?

    要約「みんながいいって言うのが気に入らないからけなしたい」

    マジかよ。天邪鬼なだけかよ。

    そんな本書から得られたこともある。

    「文学作品の評価は普遍的なものではない」

    ってこと。昔に駄作といわれていても、現在では評価の高い作品もあるし、現在評価の高い、人気のある作品でも未来では駄作といわれることもあるかもしれない。

    読む人の価値観がちがえば、その作品の評価も変わってくるってことです。

    絵画の世界でゴッホの描いた絵は生前全く評価されていなかったけど、今は高額の値がついている。それと同じことが文学にもいえるんですね。

    いや、芸術的なものだけじゃなく、もの、人の評価は全て普遍的じゃないんだな。

  • 名作かどうかは、人による、というのが結論か。名作だと言われていても、読んで不快になるだけだと感じる本もよくあるし。感じ方はそれぞれ。でも名作と言われるからには何か理由があるはずだ、とも思う。

  • 古典が名作かどうかの評価基準はテーマが普遍的かどうかだろう。
    だから主観で面白いと感じられなければ普遍的ではなく、名作とはいえないという理屈は一理ある。
    しかしその主観に普遍性を感じ取る力がなければ評価は間違ってしまうだろう。
    個々の評価の説明に説得力がない。

    要はチラシの裏にでも書いとけってこった。

著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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