ん: 日本語最後の謎に挑む (新潮新書 349)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103490

感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
    はじめに [003-006]
    目次 [007-010]

    第一章 「ん」の不思議 011
    「ん」は五十音の外/「ん」のつく言葉/フランス人は「んー」が嫌い/「n」と「m」/ニホンゴはムズカシイ!/日本語のルール/「ん」と書いてあっても/上代の書き分け/「ん」はなかった

    第二章 「ん」の起源 028
    『古事記』に「ん」はない/日本語を漢字で書く方法/万葉仮名の借音と借訓/万葉仮名の発音とローマ字表記/漢音を習え!/「反切」で表す音/細かい音の区別/『韻鏡』と万葉仮名/三種類の「ン」音/「ン」をどう書くか

    第三章 「ん」と空海 060
    中国にも「ン」はなかった/空海が持ち帰った真言/空海と言葉/言語は「実」である/空海とサンスクリット語/「ン」と「吽」の謎に迫る

    第四章 天台宗と「ん」 077
    空海から最澄へ/悟りへの悩み/最澄という秀才/密教に帰依する/『蘇悉地経』/慈覚大師円仁/石山寺へ/『往生要集』から『平家物語』へ

    第五章 サンスクリット語から庶民の言語へ 094
    サンスクリット語が開く世界/安然のサンスクリット語研究/明覚が見つけた撥音

    第六章 声に出して来た「ん」 103
    『土佐日記』の「ん」/「ん」は下品/「ん」は捨てて書く/「ん」は濁音の仲間である/丹波の小雪/庶民に広がる「ん」/宣教師が写した「ん」/「ん」が連発される訓読/「ふどし」は「ふんどし」/江戸の人々の唸り声/「ん廻し」という言葉遊び

    第七章 「ん」の謎に挑む 130
    「やごとなし」の大喧嘩/史上最大の論争/「ん」の誕生以前/礪波今道の説だった/本居宣長の研究推進/『男信』という名著/関政方による「ん」の研究

    第八章 「ん」の文字はどこから現れたか 154
    大矢透博士の研究/〈カタカナ〉の「ン」の謎/〈ひらがな〉の「ん」の初出/空海の「吽」という世界

    第九章 明治以降の「ん」研究 164
    露伴の『音幻論』/有坂秀世という天才/十種類の「ン」

    第十章 「ん」が支える日本の文化 177
    「穢れ」を嫌う/和歌は「清」の文化/「ん」は薄明の世界/「鳶が鷹を生む」をどう読むか/「あ・うん」の思想

    あとがき(二〇一〇年一月吉日 山口瑶司) [187-188]
    参考文献一覧 [189-190]

  •  五十音の中で確立したのがもっとも遅い「ん」。古文書では発音しても表記しなかったり,別の字で表したりしていて,「ん」はかなり謎に包まれている。明快に解いてくれるかと期待して読んだが,釈然としない。
     文献でわかる一応の事実は次のごとし。 11世紀までは「ン」はなくて,唇内撥音(m)は「ム」,舌内撥音(n)は「ニ」,喉内撥音(ng)は「イ」が使われた。 ひらがなの「ん」は初出が12世紀だが,現在と同じように撥音を表すために使われたかどうかははっきりしない。
     本書では空海とか最澄とか本居宣長とか幸田露伴とかいろいろ出てくるが,結局「ん」についてはよくわからないということがぼんやりながらわかった程度だった。筆者の「ん」への思い入れもよくわからない。
    「もしも、日本語に『ん』がなくなったとしたら、我々はおそらく日本語のリズムを失い、日本語が持つ『情緒』と『システム』を繋ぐ糸を断ち切り、日本のしっとりとして深い文化を、根底から崩壊させることになるのではあるまいか。…『ん』は、じつは言語としての問題以上に、より根源的な日本の精神や文化を支える大きな礎石だったのである。」(p.186)と本書は結ばれるが,なんでそうなるのか,まったく理解しがたい。なんじゃそりゃって感じ。

  • ≪目次≫
    第1章  「ん」の不思議
    第2章  「ん」の起源
    第3章  「ん」と空海
    第4章  天台宗と「ん」
    第5章  サンスクリット語から庶民の言語へ
    第6章  声に出してきた「ん」
    第7章  「ん」」の謎に挑む
    第8章  「ん」の文字はどこから現れたか
    第9章  明治以降の「ん」研究
    第10章 「ん」が支える日本の文化

    ≪内容≫
    「ん」は平安期にサンスクリット語の仏教の経典を読むところから生まれ、平安末期から表記にも現れるようになった。
    それ以前は、「m」「n」など発音上はあったが、表記できなかった(しなかった)という。
    また、表記は「レ」点の様なところから生まれたらしい…

  • 読みにくい。本当に研究者が書いた文章なのか。章分けを見直し、各節ごとに説明の主題を絞り、意味を明確にすべし。

  • ん~。。難しかった。

    国文学の歴史、日本語の歴史のついてなかなかしっかり書かれていたと思います。
    途中から難しくて更々流してしまいました。

    興味だけで買ってみましたが意外にしんどかった。

  • 五十音外にある「ん」。
    古代には表記されなかった「ん」。
    その謎の解明に。。。

    と思って読みましたが、「ん?」という感じ。

    ただ、真言での「阿」「吽」のくだりが、しっくり来たかな。

  • タイトル通り、日本語最後の謎である「ん」について説いた本。
    あらゆる歴史的角度から紐解いているが、途中、話が逸れ過ぎているような気がした。
    確かに、そこも書かなくてはいけないけれど、もう少しコンパクトにまとめて欲しかった。
    序盤である程度の謎を解明してしまっているので、後半は飽きた。

  • いわゆる読み物を期待して買いましたが、結構マジメな本でした。おかげで「ん」の成り立ちについては、普通の人よりかなり詳しくなった自信はありますが、話が固すぎて日常会話で使うのはムリです。

  • 目の付けどころは素晴らしいのだけれど、読み物としてはどうなんだろう?私には難し過ぎて、読んだそばから忘れてしまいます。全体的なニュアンスの感想を一言。「やっぱり日本語って難しい言語なんですね」

  • 昔西遊記を読んだ際にインド⇒中国の仏教伝来の話はがっぷり
    四つで取り組んだので、「ん」を創造段階は無理なく読めました。
    (空海の知識は「漫画にほんの歴史」レベルだけど)

    ただ、江戸時代以降の話はイマイチ。
    著者は中国文献の研究者であるようなので、引用ばかりで考察の
    浅い江戸時代の国文学の件はいらなかったと思う。

    仏教の本質を伝えるために「ん」が創造された、という事実は
    かなり熱いです。
    私自身は宗教っ気0だけど、絵を観るにも本を読むにも一定の
    宗教の理解は必要だなあ、と再認識しました。

著者プロフィール

1963年、長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学文学部中国文学科教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。専門は、文献学、書誌学、日本語史など。著書に『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)『文豪の凄い語彙力』(さくら舎)ほか多数。

「2020年 『語感力事典 日常会話からネーミングまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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