反・幸福論 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.44
  • (19)
  • (45)
  • (47)
  • (17)
  • (4)
本棚登録 : 463
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104503

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 五木寛之「下山の思想」の延長線上にある本。
    現代日本人の幸福観を宗教、思想から解き明かす。

    面白かったのが、「第五章 人間蛆虫の幸福論」。蛆虫と書いて、ウジ虫と読む。これが、あの福沢諭吉のことばだというのだからビックリ。

    「宇宙という広大な視点から自らを見れば、人間などは無知無力で見る影もない蛆虫のごときもので、・・・だが、この世に生まれた以上は、蛆虫とはいえそれなりの覚悟が必要である」

    あの一万円札のおじさんが自らを蛆虫と称し、蛆虫なりに生きていくことの必要性を説いている。そうか、万券ですら蛆虫なんだ。だったら、オイラは小蝿ぐらいか。何だか気分が楽になるね。小蝿なりに生きればいーじゃないか。


    ポジティブシンキングや、他人と比較する幸福の不幸さなど、面白いところはいくつもあるのだが。特に秀逸なのが、先述の第五章。ここだけでも買う価値あり。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:304//Sa14

  • いつわりの平和ボケをしている日本社会に対し、ギリシャ・西洋哲学、日本人の仏教観から深く掘り下げられた論理で、真の幸福とはなんぞやを問いかけた著作である。

    プラトンとアリストテレスの言説の違い、ニーチェ、ハイデガーの言わんとしたこと。

    法然の宗教革命の覚悟、鈴木大拙の考え方。

    すべて、目から鱗でした。

  • 人は幸福にならなければならないという脅迫観念に異議を唱える。功利主義・権利主義・公共主義から無縁社会を論じ、家族論、宗教論、技術論、政治論を説く。読んでいて、疑問を感じざるを得ないところが多い。この感じ方の差に世代間を感じざるを得ない。

    世の人が「利益」「権利」による幸福を目指しているかというと、そうではないと思う。
    「利益」「権利」に縛られない幸福というのが、最近流行の「絆(俺はこの言い方嫌いだけど)」であり、社会のつながりを認識することで幸福を感じる人も多いと思う。社会的起業、ボランティア、などなど。

    「利益」「権利」にとらわれた前の世代の反動が今の世代なのではないか。世代間の価値観の違いについては島田裕巳「人はひとりで死ぬ」に詳しい。これが一番しっくりくる。

全59件中 51 - 59件を表示

著者プロフィール

経済学者、京都大学大学院教授

「2011年 『大澤真幸THINKING「O」第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐伯啓思の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
三浦 しをん
シーナ・アイエン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×