がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106323

作品紹介・あらすじ

「放置するべき」は大噓です。冷静かつ科学的に「近藤誠理論」の噓を見破り、誤りを徹底批判。外科医・腫瘍内科医である著者が、患者と家族が知っておくべき最新の医学知識を平易に解説する。

感想・レビュー・書評

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  • ガンとの闘い方について医師の立場から述べた一冊。

    書いてあることは至極真っ当な内容だったが、前半の近藤誠批判は良いとして、後半も他の医師の批判が目立った。

  • 少し前に読んだ「がん治療の95%は間違い (幻冬舎新書)」(http://mogura7.zenno.info/~et/wordpress/?p=3125)はカルチャーショックだったんですが、その時の読感に記した、反論本も読んでみよう!(そのものズバリ)で、購入した本。

    ただ構成を間違えているんじゃないかというのが、まずもっての感想。

    第1章で、いきなり「近藤医師を徹底批判する」となっており、

    「一例のみを根拠として全てのがんに当てはまる」的な近藤さんの見立てを随所で批判なさっているが、近藤本のどこそこのデータが可怪しいので全てが間違っている!としている批判そのものが、裏返しのような印象が拭えない。

    近藤理論が胡散臭いという先入観で読む人には本書の構成は問題ないかもしれないが、近藤シンパが読むと途中で投げ出したくなってしまうんではないかなぁ。これが最終章あたりにあったんであれば、もう少し素直に読めたと思う。


    まぁ、自分は近藤シンパとまではいかないので、ぐっと我慢して最後まで読んだんですが、確かに世の中全体で見れば、適切ながん治療で治った例がたくさんあるので、近藤理論は極端だったねとなるわなぁ・・・というか、自分が読んだ近藤本のタイトルにあった数字が、100%でなく95%であったということは、特別セールの値引き率と同じようなものだという前提で解釈はしていたんですけどね。

    しかし、近藤さん以外の、(流行りの)免疫力や自然治癒力のほとんどが、学会でちゃんと取り組んでいるもの以外は全てがまやかしだと断じているような権威主義的な匂いがプンプンの書き方なので、読み物(お話)としては、近藤さんに軍配が上がって、医学としての信頼性は悔しいけど本書に置くしか無いかなぁ・・・というのが自分なりの結論。

    (2016/4/19)

  • 著者の大場大氏は、金沢大学医学部卒、東京大学医学部付属病院などを経て、自らクリニックを開業する外科医・腫瘍内科医。
    本書では、前段で近藤誠理論に対する批判を、後段で癌との闘い方の持論を展開している。
    著者が主張する癌との闘い方は、日本の医学界の本流に近いものと想像するが、概ね以下のようなものである。
    ◆近年では、各種の癌について「世界中のどこの先進国へ行っても通用する、推奨レベルのもっとも高い「最善治療」」のことを指す「標準治療」が確立しており、その「標準治療」を安全に受けられる環境を探すことが第一。
    ◆それぞれの癌は、癌本体の状況、リンパ節転移の状況、遠隔転移の状況の3因子により、進行ステージ(完治の確率)が判断され、癌の種類や進行ステージにより、「標準治療」の方法(手術、抗癌剤、放射線治療等)が決まる。
    ◆但し、癌治療には唯一の正解は存在しないため、患者自身が人生に対する明確な価値観を持つこと、自身の癌について理解しようとする積極的な姿勢を持つこと、何を目指すための治療なのかを理解すること、とりわけ「標準治療」についての基本的な知識程度は備えておくことが重要である。
    ◆「先端医療」、「先進医療」、「免疫療法」、メディアの報道等には、科学的な根拠が証明されていないものが少なくなく、ひとりひとりが健全な思考を働かせて、癌と向き合うべきである。
    また、近藤誠理論批判の部分では、近藤医師が取り上げる根拠・データ等の不適切性を具体的に指摘すると同時に、近藤医師のそもそもの“思考のクセ”として、①敵を設定する、②自説にとって都合のいい根拠ばかりを集める、③少数のケースを一般法則にすりかえるという特徴を挙げている。
    しかし、「患者自身が、自身の病状を出来る限り理解し、自らの人生の価値観に基づいて、治療法を判断するべき」という点においては、近藤医師も大場医師も共通しているのである。
    いざ病気(癌に限らない)になったときに最終判断をするのは自分である。そうしたときに、医者や病院の言いなりにならずに、自分自身で判断できるよう、様々な考え方(近藤誠理論だろうが反近藤理論だろうが)を知っておくことは無駄ではないだろう。
    (2015年10月了)

  • この本のよいところは、近藤医師に対する批判だけで終わらずに、自分自身のがん治療についての意見をしっかり書いているところです。
    近藤医師の本を読んだ時には、この本や勝俣範之医師や村田幸生医師の本を合わせて読むことをお勧めします。
    そうすると偏らない視点で自分の受けたい治療を考えることができると思います。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-12084726747.html

  • 徹底したニセ医学叩き。このあと、すぐに文芸春秋に川島なお美についての話が出ていて、文芸春秋もよくやるなと思っていた。

  • 先日、近藤誠の著作を反面教師的に読んでみた。この男の商売の片棒を担いでしまったと思うと今でも気が引けるけど…

    今回の本は近藤誠のトンデモ説を真正面から批判している。しごく真っ当な内容なんだけど、近藤誠の言葉を信じ切っちゃってる人にとっては耳障りになるんだろうか。

    近藤誠の論調は(論という言葉も使えないくらい論理的に破たんしているけど)、いたずらに医療不信を招くことを意図して、自分に都合のいいことを並べているだけで、一般の人には本当に鵜呑みにしてほしくないと思っている。いくら表現の自由とか言論の自由とかっていっても、がんという人の生死にかかわる内容なんだから、なんとか手を打ってもらいたい。

    本書は問題を一つずつ丁寧に扱ってくれているから、近藤誠の話のおかしさが理解できるはず。若干専門用語が多い気もするけど、そこは丁寧に読んでもらいたい。

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著者プロフィール

1972年、石川県生まれ。外科医、腫瘍内科医。医学博士。
金沢大学医学部卒業。がん研有明病院等を経て、東京大学医学部附属病院肝胆膵外科助教。
2015年退職し、セカンド・オピニオン外来を主とした「東京オンコロジークリニック」を開設。
著書『がんとの賢い闘い方―「近藤誠理論」徹底批判』(新潮新書)『東大病院を辞めたから言える「がん」の話』(PHP新書)

「2016年 『脱・近藤誠理論のがん思考力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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