- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120040719
感想・レビュー・書評
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古里をはなれたほうが気づくことも多い
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大学の図書館で目についたので読んだ。
訳者が村上春樹なのと、春樹さんの作中でよくフィッツジェラルドが挙げられてたからでもある。
僕が訳文に慣れてないからか、すらすら読めずストレス感じたが、色彩が豊かに感じられるし、文章は綺麗と言えば綺麗だった。特に気に入った編は、もう返したので題はわからないが、ダイヤモンドにまつわるあるお金持ちの編で、一気に引き込まれて楽しめた。
グレート・ギャッツビィも機会があれば読んでみたい。 -
村上春樹訳のフィッツジェラルド作品だと思って期待したのですがグレートギャツビー以前の萌芽といえる作品ばかりでよほどのフィッツジェラルド好きでなければどうか・・・と思うものばかりでした
各作品ごとに村上春樹の挿入文があって事情をしれたのはいいんだけど -
かの「グレイト・ギャツビィ」がグレイトだと思えなかった私、今回こそはと思ったけれど、やっぱ、フィッツジェラルドは誰もかもが認める天才、てわけじゃあないんだと思う。あの言葉選び話運びたゆたってる空気がバチコイはまる人にはたまらない、のだろうけども、村上春樹さんが崇拝するほど私は今回も魔力を浴びることはできなかった。それは多分私のレベルのせいだとじゅうじゅう承知ではあるんだけど。まあ、世間的にも評価されずに埋もれていた短篇を村上さんが拾い上げて翻訳短編集にしたもので、決して珠玉の名作を紹介するという体ではないんだけども、さいしょから。「冬の夢」 「メイデー」 「罪の赦し」 「リッツくらい大きなダイアモンド」 「ベイビー・パーティ」さいしょの二つはグレイトギャツビィの空気に似てる。文学の通たるひとたちがここに埋め込まれた教義を大事そうに掘り起こして議論とかしそうなかんじ。男女のいばら感がぱさぱさしてるねー。ベイビーパーリィに至ってはどうなのこれが巻末を飾りますか。人の親としてイーディス母子の常識のなさに憤りがまだ消えないんだけど。結婚にも育児にも幻滅の点数を増やすような作品だ。文中の台詞をそのままつぶやきたくなるね「なんだかバカバカしくなった。」んー私どうしても、苦手だなあフィッツジェラルド。
唯一「リッツくらい~」は いままでのフィッツジェラルドの低体温なぱさぱさ感のイメージ、声を張る人が誰もいないげな印象を裏切る、ファンタジー&スペクタクルみたいな、奇想天外の設定がすきだった。最後に破滅がやってきても(ジョンにとっては救いでもあったけども)暗くならないラストもいい。キスミンとジョンのその後の続編がもしあるならぜひ読みたい。
こんなところがもしどこかにあるならと想像するのも盛り上がる。うーん、まあ、全体としては、村上春樹“訳しおろし” 装丁を手がけたのは和田誠、埋もれていたフィッツジェラルドの短篇集、という贅沢な1冊なんですけどね。さいきんまたIQ84でぐんと存在感と価値をあげた村上さんが渾身の愛情で訳を仕上げた一冊であることは確か。ファンなら読むべし。