ヴォイド・シェイパ

著者 :
  • 中央公論新社
3.89
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本棚登録 : 1331
感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120042270

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーも好きだけど、たまに書くこういった物語も素晴らしい。この人には自分の描いている情景がきちんと筋道立って見えていて、それを詳細に観察して適切な表現を選びぬいて書いてるように思う。既成の表現や話の運びかたに流されることなく。

    特にこの部分が好き。
    ――考えても結論は出ないが、考え続けているうちに、何故か少しだけ安心できることがある。子供のときから、これを繰り返してきた。寂しさ、悲しさ、悔しさ、憎さ、すべてを、考え尽くすことで和らげてきたのだ。

  • 独特の生死観。
    私には抱えきれない重みがあって、心が苦しくなる。
    けど、空気みたい軽く、夜明けの霧みたいに優しすぎる、そんな感覚を残す。

  • 今までの作品から考えると意表をつく
    放浪する侍の物語。
    純粋無垢な意思が人の生き死が渦巻く世界を
    飄々と彷徨う姿が実験を思わせる。続きに期待。

  •  森博嗣さんの新シリーズは、これまたとても静かな時間を語っています。
    より深いところまで入り込んだ思索は、今後も期待大です。

  • 空(くう)を形作るもの。森博嗣さんが書きたいことは、おそらくそのままには書けないこと。それを書こうとする取り組みなので、その分難しいように見える。スカイクロラのように、一周することで見える世界に期待したい。

  • 途中からよくわからなくなったというのが本音★
    忘れないようにとりあえず──あらすじ、主題、戦闘などについて──

    主人公はゼンという純朴な若武者で、過ぎたことを理屈っぽく考えるのが癖な田舎者です。
    あることが起こったために彼が山から下りて旅に出、育て親兼師匠カシュウゆかりの地をぶらつく、
    あらすじを簡単に説明するとこの通りです。
    物語はゼンの一人称で進みます。
    その過程での主人公の思考を読んでいると般若心経を読んでいる気分になります。

  • Vシリーズでも思ったけど、舞台の時代を気づかぬうちに考えさせないような構成が技法として素晴らしい

  • これはちょっと・・・
    すごすぎて感想も書けない。

    死ぬまでに何度も読み返すであろう作品。

  • 装丁からスカイ・クロラ系列と思っていたら新シリーズだった.侍の話とはこの作者にしては珍しいと思ったけど,やってることはだいたいいつもの感じ.

  • スカイ・クロラを和風にした感じ?
    割と新しいのになんで絵が出ないんだろう。

  • 久しぶりに森ミステリ(?)を読んでみましたが・・・
    これはやっぱり、僧侶二人が凄腕であることが謎だったのかな?

    人とは、生死とは、無とは何か、といったテーマでした。個人的には好きなリズムでしたが、少し物足りなさを感じたりもしました。

  • (森博嗣著/中央公論新社/1800円+税)ブックデザインは鈴木成一デザイン室。
    http://www.chuko.co.jp/tanko/2011/04/004227.html

    森博嗣の新シリーズだが、同著者の『スカイ・クロラ』シリーズの後継と思えるブックデザイン。透明フィルムがカバーになり、写真とも絵とも思える表紙がそこから覗く。前シリーズは「空」の写真だったが、今回は山脈だ(それは内容を読めば納得)。それが表紙から見返しにまで続くのがまたいい(見返しのチリ部分が、見返しの山脈と微妙に繋がっていないのが残念ではあるが、しょうがないか)。静謐ででも強い。帯がある状態だと表紙にも背にもタイトルが見えないのが、書店では逆に目立つ。それにしても帯に箔押しが使えるのはうらやましい。

  •  子供の頃からずっと、山の中で剣の修業をしていたゼンくんが、師匠の死を機に武者修行に出るはなし。強さとは何かを延々悩む様子は、このところのバガボンドの雰囲気に近い。

     前のシリーズのスカイクロラが「空(スカイ)」をテーマにしてて、今回が「空(ヴォイド)」をテーマにしてるのか。「空(くう)を研ぐもの」みたいな意味になるのかな。いいタイトルだ。

  • 名も知らぬ、里も知らぬ、親も知らぬ。

    ただあるのは、『ゼン』と呼ばれる自分と
    剣術の師・スズカ カシュウとの山での暮らしだけ。

    己の一切を知らぬ、ひとりの若き侍が
    この世でただひとり、『ゼン』の素性を知る
    師・カシュウ、その人の死を見届けたのち
    人里で暮らす人々との出会い、そして剣を振ることを通じて
    生きるとは、強さとは、を問いかける物語。


    淡々と詩的に展開されるゼンの心は
    装丁の山々の風景と重なりあうように、静かに、広がる。

    朝靄にかすむ山肌のごとく、ゼンの世界は白くゆらめき
    カシュウの教えに迷い、やがてその"もや"は『無』に集約されていく。

    生と死、光と闇、勝つことと負けること・・
    対極にあって、はじめからなにも無い。
    この世はカタチあって、カタチのないに等しいもの。


    生きることの価値を問いかける、哲学書のようでもあり
    ただ静かに語られ、柔らかく昇華し、読後にはすでに無に帰すような物語。

    森ファンとしては、シリーズ化があるのかも気になるところ。

  • 名前はよく聞いていたけれど、何となく避けていた森さん。
    先輩に勧められて読んでみました。

    ざっくり言うとお侍さんのお話。
    勝手に美少年象を作り上げてしまうような、いい感じの文章と人物。
    お侍さんが出てくるくらいだから時代的にはずっと前なんでしょうが
    小難しい物言いもなく、すんなり読めました。

    「死」と「生」とか、生きる意味について、みたいなことがテーマなのかしら。
    最終的にテーマメインで、登場人物たちそっちのけで
    作者の思想をまとめてみて終了。みたいな感じだったのが
    すこしがっかりでした。

  • 新シリーズです。
    今までのシリーズの中でもかなり読みやすい部類に入るかな。
    でも、サラッと読むわけではなく、ゆっくり読みました。
    森さんの作品はにおいが無い物が多い。
    これもそうだと思う。
    でも、何か良い音がする。

    最近の作品は若干、軽過ぎの感はあったけど
    本作は良かったと思います。
    何かキレイ。

  • The Void Shaper

    人は無だ。
    なにもかもない。
    ないものばかりが、自分を取り囲む。


    いかに隠すか。
    本当に強い者は、見えない。

  • 武士版スカイクロラシリーズみたいな感じ。時代ものではあるが、複雑な時代背景もなく登場人物もカタカナ表記なので堅苦しさを感じない。死生観についてひっそりと語りかけてくる作品。

  • 静けさを感じる

  • スカイクロラシリーズに似た雰囲気はあるが
    時代背景などは全く異なる。
    生や死、善と悪、相対するものだが
    本当にそうなのだろうか?と疑問を投げかけてる作品。
    自分の価値観を考えさせられた。

  • いいなあ。
    深くて、生きることを純粋に考えさせられます。

    森博嗣はミステリィのイメージでしたが、こんなのもいいです。
    この続きが楽しみです。

  • 初めての、森作品。
    読み終わった時には、無とは・・情とは・・
    などど、重苦しい気持ちになりました。
    久方に、若かりし頃の自分の考え方を思い出し、
    ゼンの考え方についても、思案していました。
    刀で対峙するときの表現も、圧巻です!!

  • 「武士道」。

    師匠である「カシュウ」の死を機に、これまで暮らしてきた山を下りる「ゼン」。師匠以外の人間との触れ合いが皆無であったゼンが、多くの人との出会いの中で、生きる意味を見出していく。

    死とは何か?人間の価値とは?
    考えさせられる作品です。

  • 発売されたとき、森先生まさかの時代劇!と驚いた。でもどこを読んでもやっぱり森博嗣だった。
    人里はなれた山奥でひそりと暮らしていた天才的剣士が師匠を失い山を降り、さまざまな人と接することにより「生きること」の意味を知っていく、その「人」としての成長が美しい。
    剣を交える場面はまさに静謐。
    新渡戸稲造の「武士道」も読まねばなるまいの。

  • ゼンという主人公。武士道。刀。

    というキーワードは先に知ってしまっていたのですが読んでみるとなんだか不思議なかんじ

    森さんがあんまり書きそうになかった世界だからかもしれない

    ゼンの長々とした思考。ポエムのようなつづりの戦闘。どこへ向かうのか漠然とした旅。


    まだ続くのでしょうか?


    装丁がきれいですね。スカイクロラと同じ鈴木成一さんが手がけた装丁です。

  • 装丁からすると一見「スカイ・クロラ」のシリーズのようですが、なんと武士道の話! 時代物です。森センセイが時代物とはびっくりだね! 多分江戸時代かと思われます。
    ゼンという若侍が主人公です。剣豪に山奥で超ストイックに育てられたゼンは、師匠の死をきっかけに山を降ります。初めて世間と触れあった彼は、様々な人と交流を結んだり、また戦ったりしながら、進むべき剣の道を見極め始めます……という話。
    道筋を見つけたところで終わってるんですが、果たして続くのでしょうか、コレ!?;;

  • 生と死、善、悪など
    価値感について考えさせられる内容だった。
    結局は主人公と同じく堂々巡りになるけど・・・
    山や人の風景や、事柄、心の流れを素直に辿れ、
    主人公が真剣に目や頭を使うシーンは改行が多く
    まるで自分が見て考えているように錯覚するときもあった。
    読みやすい。

  • 森博嗣にしては珍しい時代設定だなぁと思いました。
    でも中身はやっぱり森博嗣。
    生きる意味にひとつの答えがありました。

  • 静かで、澄んだ空気のような雰囲気の物語。

  • 人里離れた山奥で、剣の達人に育てられた若い侍が、師の死によって山から下りてから過ごす数日間が描かれている。
    侍が出会った人々と交わす会話のなかや、侍の思考のなかに、ん?とひっかかる言葉がいくつも出てくる。もう少しゆっくり深く考えてみたら、何かおもしろそうな…。
    時間のあるときに何度も読み返してみたい本かな。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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