子どもの難問

制作 : 野矢 茂樹  熊野純彦  清水哲郎  山内志朗  野家啓一  永井均  神崎繁  入不二基義  戸田山和久  古荘真敬  柏端達也  柴田正良  鷲田清一  雨宮民雄  鈴木泉  渡辺邦夫  土屋賢二  斎藤慶典  大庭健  中島義道  一ノ瀬正樹  伊勢田哲治  田島正樹 
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045585

感想・レビュー・書評

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  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“コンクラーベ”で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/884

    下北沢B&B 黒川安莉さんが田丸麻紀さんにプレゼンした1冊。
    『お子さんがもう少し大きくなって喋るようになると、哲学的な質問をしてくると思います。例えば、「好きになるってどういうこと?」というような、正解というのは書いてなくて、親が少し考えるような隙間もある本です。』(下北沢B&B 黒川安莉さん)

    見事、田丸麻紀さんの今読みたい本に選ばれました!

    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://harajukubookcafe.com/
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
     在原業平

     こわいもの。幽霊よりも、あどけない幼児からの「なぜ?なぜ?」攻撃。ときに本質を衝【つ】くような問いに、巧みに応じる親たちの答えを公共空間で耳にすると、思わずメモをとりたくなってしまう。

     さて、親ではなく、哲学者が、子どもから「なぜ生きてるんだろう?」「友だちって、いなくちゃいけないもの?」などと問われたら、どう答えるのだろう。そんな子どもからの「難問」1問につき、2人の哲学者がおのおのの見識から回答するという、スリリングな企画の本を読んだ。

     掲出歌は、「きれいなものはどうしてきれいなの?」という問いを担当した神崎繁が引用した歌である。美しい桜などいっそなければ…という「天の邪鬼【じゃく】」的な発想も、実は大事だよ、と説くのだ。
     まず、今の自分が、「あれではなくこれがきれいだ」と考える基準を、何らかの形で持つことこそ第一歩、と説明。その上で、「普段自分でも気づかない身近な好みの『違いと境界』に注意を向ける」見方を提案している。

     もう1人の回答者鈴木泉は、「きれいなものはいつも飾りに過ぎない」と断言しており、はっとさせられる。その上で、「美しいものや人」こそが「本当に大切なものとの出会い」をもたらすのだと、他者との、あつれきをも含めた出会いの重要さを述べている。なるほど、うなずける回答だ。

     平易な言葉で語られた、複数回答。この本は、子育て中の親に限らず、広く読まれるべき思考のレッスン書と思う。

    (2015年3月8日掲載)

  • 「好きになるってどんなこと」「死んだらどうなるの」「自分らしいってどういうこと」「人にやさしくするってどういうこと」「芸術ってなんのためにあるの」などの子供然とした問いに哲学者のおっさんたちが答える本。

    土屋賢二が真面目に回答していて感動する。山内志朗の回答が好き。

  • 四谷大塚発行の雑誌に連載されたもの。一応、中学受験を目指す小学生が対象になっているようだ。で、子ども向けにわかりやすく書かれているかというと、そんなこともない。専門用語などは使わないようにされているが、話の内容は単純ではない。どこからか、いったい何が書いてあるんだろう、これはこの質問に答えていることになるんだろうか、などと思いイライラしながら読んでいた。そうしていたら、最後から二つ目のテーマで、「哲学者って、何をする人なの?」という質問があった。たぶん、小学生はそんな質問はしないと思うけど。そこで戸田山さんはこう答えている。「テツガクシャは、まあまあ、そんなに急いで考えることないじゃん。もうちょっとゆっくりいこうよ、と言います。そしてそのことは世の中を健全に保つためにはすごく大事なことだと思います。」そう、そうだった。何でもわかりやすいのがいいわけではない。頭の中に「分からなさ」を飼っておくことが大事だったんだ、ということを思い出し、本書の本当の意味が分かったように思いました。

  • これは、多分子ども(小中~中学)向けの哲学の本なんだろうけど、そもそも、子どもってこういう本読むかな、この答え読んで納得するかな(理解できるかな)、という根源的な疑問は残る。
    ただ、いろんな哲学者が答えているので、この本の中のいくつかの答えには、納得したり、ハッとさせられたりするかもしれない。
    大人だって、こういう疑問を日頃考えたりしないものだから、自分なりに考えてみるのもいい。
    個人的には最初の「大人とは何か」という問いに対する熊野純彦の答えに激しく同意。
    大人って、大切なものを喪失し、喪失したことを受け入れた人のことだと、本当にそう思う。
    「頭が良いとはどういうことか」に対する中島義道の答えも良かった。
    また機会があったら読み返したい。

  • 一つの質問に2つの回答。
    どちらかを支持するもよし、そこから自分なりの答えを見つけるも良し。
    うだうだ考えていたことにスッキリ答えをもらえるかもしれません。

  • 【選書者コメント】素朴な疑問、されど難問に哲学者2名がわかりやすくかつ真摯に答えた1冊。2名の答えの違いっぷりをお楽しみください。

  • 科学でなんでも分かっちゃうの?悪いことってなに?自分らしいってどうゆうこと?といった子供からの素朴な疑問に、哲学者の先生たちが回答するQA集。

    ついつい目の前のことで手一杯になってしまいがちな毎日。そんな忙しない日々のなか、少し立ち止まって今の自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる本。子供の素直な「?」は大人にとっても超難問だが、一つ一つ真摯に受け止め丁寧に回答している様は、“大人対子供”ではなく、“人対人”という尊重し合った関係が見て取れる。1つの質問に対し2人の哲学者の方がそれぞれ回答しているからこそ、多様性は勿論、各々の個性が光り考えることの面白さを感じた。

    勉強しなくちゃいけないの?幸せってなんだろう?の土屋賢二氏の回答、哲学者って何をする人なの?の戸田山和久氏の回答が特に印象的。YesかNoといった明白な回答ではないものの、質問者に寄り添い一緒に考えるような柔らかい姿勢はお手本にしたい。

  •  素朴で根本的な問いかけ、それが「子どもの難問」だ。

     問われた哲学者は、それをさらに噛み砕き、問題を発している原因や本質まで丸裸にした後、受け手がうまくキャッチできるよう加減しながら、懇切丁寧に答えを投げ返す。

     わたしも「テツガクシャ」になりたい。
     そう思わせる一冊。

  • 「ぼくはいつ大人になるの?」「死んだらどうなるの?」「過去はどこに行っちゃったの?」「友だちって、いなくちゃいけないもの?」哲学者の先生、教えてください!OPAC → http://t.co/IsmKJhHkdV

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