Red

著者 :
  • 中央公論新社
3.42
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046544

感想・レビュー・書評

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  • なるほどな。塔子の一線を越えたところは共感できないけど、義父母と同居。旦那はまるで子供。おまけにセックスレスで苛つくのは凄くわかる。そんな不安定な時期にあんな人がいれば流されたくもなるし身を任せたくもなるもの。旦那も痛いぐらい子供すぎる。結局は子供なのかなぁ…この話は子供がとりもったんだけど。それで丸く収まるのかも凄く疑問。現実にはあそこまで夫婦が壊れかけて収まるのは稀だと思う。激情の赤。女の赤なのかな。

  • 何処にでもある話。けど、私には真似ができない。なんか他所のお宅の事情を覗き見したような、変なあと味です。

  • 誰に矛先を向ければいいのかわからない不快感を抱えながら読んだ。塔子のひとりで立っていられない自信のなさ。自分勝手な旦那と暮らす家。鞍田さんとの関係もなんだかなあ…。なんだかんだ小鷹くんがいちばんまともで、良いポジションだったような。恋愛関係になるとまたうまくいかない気はする。

  •  筆者にそういうことを思わせようとする意図はなかったのだろうと思うけれども、結婚も出産もしていない私には、塔子と塔子の旦那さんの関係性が一般的なものに思えて、こんなにまで自分の人生を犠牲にしないといけないのなら、こんなにまで責任だけを押し付けられるのなら、結婚なんて、出産なんてしたくないと思ってしまった。二人目の話が出るのに、女として扱われない。女として普段扱わないのに、働き出して綺麗な格好をした塔子をセックスに誘って、それが当然のように受け入れられると思っている。何もしなくても愛されると思っているその傲慢さ。家事や育児の負担を自分にかけないことを暗黙の前提とした働くことへの許可。可愛いと言うけれど一晩だって自分の子供の面倒を見られないところ。外からの女の好意は、塔子への配慮をしないで受け入れるけれど、小鷹からの、自分を無視した塔子への好意は受け入れられない狭量さ。なんて生々しい。私が普段接している男性たちからどれも感じられるそうした要素を引き延ばしたものの塊に見えて、嫌悪感だけを持った。

     それはさておき。ああ女性らしいなとすごく感じたのは、塔子の結末が、仕事人でなく(人としての充実でもなく)、女でなく(鞍田さんとの”ハッピーエンド”ではなく)、母親として終わることが、皮肉であり、希望に感じた。良い母親でいないといけない、良い妻でいないといけない、働きたい、愛されたい。そういう気持ちを抜け出した先に、何のしがらみもなく素直に愛し愛される関係に鞍田さんとなれる状況で、娘にとって彼が緊張を持って接する他人であることを察して、選択する。
     いろいろ、満たされて、捨てて、その先に母であることを選ぶというのは、それまで良い母でいないとと自分を縛り、母親との関係でも悩んでいた描写を思うと、考えさせられる。そういうものなのか、と。それでも、そこにリアリティもある。
     冒頭に書いた通り、結婚したくない出産したくないと思ってしまう作品ではあったけれど、出産して、女性として扱われたいという気持ちを満たしきれず捨てきれずに結婚し出産しても、人としての自分の気持ちを子どものためにすべて犠牲にする気になれなくても、最終的にはきっとうまくいくのかなという希望。もちろん塔子の不倫が確固たるものとして明るみになったり、小鷹とのことがこじれたりしていたら、闇しかなかったとは思うので、がけっぷちではあるけれど、ある意味で出産するときには親になる覚悟やある意味での資格・状況に自分がなかったとしても、子どもと(必ずしも子供と過ごすという意味だけでない)年月が人を親にしていくのだなと感じた。

  • 一気に読んだ。
    切ない。でもこの人はみんなに愛されてる。
    ぜいたく。

  • 結局、なんだかんだやってても元さや。
    それがちょっとモヤモヤ感を残した。
    でも塔子のような主婦に限らずなのかも。決められた枠にはめられてる時には冒険してみたくなるってことかな。
    官能的な部分はうまく、きれいに書かれていて、嫌な感じはしなかった。
    共感もし、反論したくもなり、納得もした内容にあっという間に読み終わった。読んでいる自分に夢中になれた作品だった。

    • morikoh3070さん
      元サヤでモヤモヤという点共感です。男が書くと都合のいい女が出てきますが、女が書くと都合よく消えていく男が出てくるということでしょうか?
      元サヤでモヤモヤという点共感です。男が書くと都合のいい女が出てきますが、女が書くと都合よく消えていく男が出てくるということでしょうか?
      2015/08/27
  • 久々の島本さん。

    母になった塔子は二十歳の時に不倫していた鞍田と友人の結婚式で再会する。

    鞍田は妻と離婚し独身に。
    当時と立場が変わった状態でふたりは惹かれ合い再度関係を持つ。


    塔子と鞍田二人のシーンは息を飲むほど、綺麗だった。


    夫とは表面上はうまくいってるけど、少し分かり合えない部分もあり同居によるストレスも感じつつ、娘を育てていた塔子が鞍田と再会してまた働き始めて、自分が仕事を好きだったと気づく。


    不倫はもちろんいけないことだし、娘の翠に対して罪悪感を抱いているけど、欲望のようなものは止められず。

    母や妻というカテゴリーから逸脱していく塔子。


    逸脱することを恐れていたのに、深みにはまっていく。


    タイトルのRedは、まさしく"女"の色って感じがする。


    母や妻でなく。


    塔子はやっぱり家庭を捨てられずに鞍田を切ったけれど
    それでも好きな人は鞍田だったんだろうな。


    好きな人と家庭を築けないのは辛いけど
    恋と結婚はまた別なんだな。

  • 漸く読んだ
    3時間ほどで読了

    新しいなあ、と思った
    自分の経験からか序盤何度も挫折しかけて一息ついてはめくり、また一息ついては、の繰返し

    不倫とはこうだよなあ
    始まりなんてあってないようなもんだからか終わりも見えやしない
    自分で納得する終わりを見つけない限り、ずっと中途半端なところでもがいて葛藤して苦しい

    うまくいこうがいかまいが、失うものの方が多くて、得るもんなんて刹那的な形の無いもの

    とりあえず、塔子は何故真と結婚までいけたのかな
    あのぼっちゃんと、何で結婚まで辿り着いたの?感満載の苛つくマザコン男だったな
    悪い男ではないのは分かったけれど、やはり結婚はめんどくさい家と家同士の柵やらなんやらが付いて回るもんだと思った
    その辺、真と言う夫との関係や真自身に矛盾を感じた

    鞍田さんについては……
    どうしても自分の昔のこと考えて終始苛々して疑念あったし、もやもやもやもや……塔子の気持ちに共感する部分は多々あった
    「こわい」、とかそういう心境

    つくづくわたしは終わりに出来てなくて、そこから逃げ出せてないと思った

    呪いの件、娘の翠にはあんな形で降りかかるのね
    不可抗力、たけどもそこでまた輪廻するんだなーと

    鞍田さんを重ねてしまい、思いの外こわい思いして読んだわ
    そして読後無駄に涙出そうだったわ
    哀しいし淋しい結果に終わるのね
    淋しいね、鞍田さん

    小鷹に関しては、持ったイメージを覆すキャラと分かって心底安心したわ
    良かった、あんな男で
    本当の馬鹿かと思いきや、実は登場人物の中で一番まとも、だったんじゃ?とイメージ激変

    事前に不倫の話とは知っていたけれど、ここまで露骨な表現あるとは知らず島本さんは大人の女性なのだなあ、と面食らったのは大変失礼なお話ですね、すみません←
    島本さんと同年代で昔から読んでいたので……わたしもそりゃ歳取るよね、うん
    とりあえず、内容や描写が新鮮で、「へえ、」と間抜けな感想が第一だった作品でした
    次回作も勿論期待です

    佐藤さんの本でも読もうかなー

  • 結婚して子供が生まれたら、女性というより母性が強く出るものか?
    夫には母ではなく女として扱ってもらいたい。そうよね。
    あなたのお母さんじゃないもの。
    そこへ、ちゃんと自分のことを認めてくれる人が現れたら頼りにしちゃう。
    日常にときどきの刺激、必要かも。

  • 最初は欲求不満の主婦の不倫の話かな、と思ったけど最後はなんだかとても切ない思いで読み終わった。こうゆう人いるよな、と鞍田さんにも夫の真にも思った。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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