出張料理・おりおり堂 - 神無月~弥生

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047602

作品紹介・あらすじ

アラサー婚活女子、イケメン料理人との恋のゆくえは?

感想・レビュー・書評

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  • お客様のお宅におじゃまして、リクエストに応じた料理をお出しする、出張料理「おりおり堂」
    仁と、澄香は、胸にさまざまなものを秘めながらも、心をこめておもてなしをする。
    表面上は、天才料理人と有能な助手の、ビジネスライクな名コンビに見えると思うが…
    魔女が呪いを掛ける。


    「卯月~長月」は、恋も夏の時代。
    澄香の恋する乙女妄想もハイテンションで、お料理ならば、甘辛のしっかり味を煮詰めて味醂の照りを出した、照り焼き。
    「神無月~弥生」は、冬の時代。
    澄香の内面は、時に軽妙な突っ込みも入るが、相手を見つめ、自分を抑え、苦しい恋が人生に深みを与えていく。
    お料理ならば、出汁のきいた薄味をじっくりと染み込ませた煮物…京風ならば、炊きものだろうか。

    傘寿を過ぎてもなお、名残の美しさをとどめる、オーナーの桜子さんは、あなたはまだ枯れてはいけない、満ち足りてはいけない、たとえ結果が同じになっても、後悔しない道を選ぶべき、と若い澄香を励ます。

    そして、家族というものは難しく、さまざまな問題をはらんでいる。
    騒動は、回りで起きているはずだが、なぜか巻き込まれて、仁も澄香も、傷つき、疲れ果てるのだ。

    前作は、葵、今回は藤村と、行く手を阻むライバルもたいへんキャラが立っている。

    私は、この山田澄香というヒロインが、けっこう好きだなあ。
    頭の中浮ついているように見えて、舌も確かだが、人を見る目も確かだ。
    仁も、そんなところに惹かれるのかも。
    ぶっきらぼうな仁の、無意識の爆弾発言には、澄香と一緒に悶絶しました(笑)

    この後はどうなったんだろう。
    澄香も、おばあさんになって、「私のその頃は、恋の炎に焼かれ、ずいぶん苦しんでいたわね」なんて、若い女の子に述懐するときが来るのだろうか。
    良い方向に進んでくれるといいです。


    神無月 秋刀魚と南瓜と魔女の家
    霜月 秋の名残とあの日の卵焼き
    師走 ミルクがゆと難破船
    睦月 結び柳とかぶら蒸し
    如月 こぼれ梅と呪われしバレンタイン
    弥生 祝い御膳とそれぞれの船出

  • なんか後編はてんこ盛り感満載。
    いろんな家族の困難な出来事が仁さんと澄香におそってきて。
    呪う為に料理を作れって恐ろしすぎ。

    そんなこんなありながらも、仁さんにもいろいろあり、
    小説だから許せる終わり方かな~
    現実問題だったら、きっぱりとした方がいいと思うし・・・
    でも、ほんわかさせてもらいました。
    髪撫でられるって反則ですわ。

  • おりおり堂の完結編。
    澄香と仁さんの恋の行方も一応?決着はついたようだけど・・・ もうちょっとはっきりとした決着がよかったかな。
    相変わらず料理の描写はとてもお上手♪
    美味しそうな料理と古き良き日本の文化が味わえる本でした^^
    前半に比べると色々なことが起こったカンジはあったけど引き込まれて読みやすかったです。
    番外編、とかでその後が読みたいなぁ。

  • おりおり堂の続編。6編の連作短編集。
    怒濤の展開続きで、疲労感が半端ない。。私には物語のせっかくの季節感が吹っ飛ぶほどでした。
    でも、なんだかんだでそれぞれ落ち着くところに落ち着いてホッと一息。凛とした佇まいの桜子さんの存在が大きかった。。

  • 続編。題名では非常に分かりづらいが。

    悪意というものは本当にどこから生まれてくるのかわからないなあと思いつつ、よく考えれば何が悪かったのかはわかるが、ではそれを解決しようとするのは非常に難しいものであるものよのうと。

    おりおり堂及び澄香のまわりがいちどきにきな臭くなり、はじめから終わりまでクライマックスすぎて読んでいて疲れました。
    いや、クライマックスというか。
    いやこれはきっと鬼女板…いやいや。
    ワイドショーみたいでした。
    …むしろあれだ、少女漫画。都合の良さがそんな感じ。

  • なんとなく、少女マンガのようなストーリーで、読みやすい。

    主人公は、山田澄香32才。
    天才イケメン料理人、橘仁の助手。
    もちろん、澄香は、仁に恋している。という設定が、少女マンガっぽい。と思うのは…50代だから?
    仁の祖母、桜子が経営する骨董品カフェを拠点に、仁と澄香で出張料理をしている。

    お得意様や、新規のお客様のところで、料理しながら、色々な出来事や事件に遭遇。前半で起こるちょっとた出来事が伏線となり、のちに大事件となり…解決して回収。
    人の心の弱さや醜さなんも描いているかな。描き方がマンガっぽい。なんでかな?


    ブクログ内で、小説読了237冊。

  • 続編とは知らずに読んだからか?どこかチグハグでよくわからないままに話が進んでいき、終始??でした。この後も続くのかな?2人のその後は気になります。

  • 2021年10月4日
    初めて読んだが、この本は続編だったようで、仁さんや澄香の過去の出会いは、ときおり出てきたエピソードで理解した。
    魅力的な人物だろうが、今ひとつ実体を思い浮かべることができなかった。
    優しいおもゆや、スープは是非食べてみたい。
    和風料理のあたたかみ、ほっこりした丁寧な生活は踏襲していきたいな、憧れるなと思う。

  • 前作同様、主人公の妄想も、登場人物もかなりぶっ飛んでいて少女漫画のような作品なのですが。超前向きお花畑モードのような主人公にも実は暗い過去があることが語られ、誰もが順風満帆な人生を生きている訳では無いということ、気づかずに間違った方向へ進んでしまうこともあるということが描かれる。
    舞台となる骨董屋の主、桜子さんの「諦めなければ良かった、正面からぶつかればよかったとね。後悔は長い時間をかけて人の心を蝕み続けるものですから」という言葉が重い。恋愛に限らず、何かと言い訳して逃げてきたことがあると、そのことはずーっと心の奥底でモヤモヤと存在し続ける。やらずに後悔するよりやって後悔する方がいい、とよく言われるのも改めて納得。

  • 作品紹介の言葉が足りなさすぎに感じる。とても面白い本でした。

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著者プロフィール

安田依央
大阪府生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。二〇一〇年に『百狐狸斉放』で第二三回小説すばる新人賞を受賞し、一一年に単行本『たぶらかし』として刊行。
他の著書に『終活ファッションショー』『ひと喰い介護』、「人形つかい小梅の事件簿」シリーズがある。

「2023年 『出張料亭おりおり堂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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