- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121011312
作品紹介・あらすじ
本書はデンマーク、スウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランド、アイスランド北欧5カ国の通史である。
感想・レビュー・書評
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まさに歴史は物語である。知識としての歴史は、その詳細な年代や出来事、関連する人間の名前を詳細に覚えておかなければならず、だからこそ受験科目などはどうしても暗記科目になりがちである。しかし、歴史を物語捉えると、シンプルに面白い。話の流れさえつかめば、知識は自ずと付いてくる。そういう意味で、ほとんど知らなかった北欧の歴史について大きな流れを新書レベルの量で伝えてくれる本書は非常にありがたい。出版が1993年であり、マーストリヒト条約直後なのでEU加盟後については詳しく書かれていないが、そこまでの歴史を知るには十分だと思う。
北欧とは、スカンジナビア、やノルディック・カントリーという言い方によって異なるが、一般にはノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・アイスランドの5カ国を指す。その中でも特に中心となるのが、スウェーデンとデンマークだろう。この2国が北欧の物語の中心であった。といっても古典の時代、北欧ではバイキングの時代には、そういった国の分け方の概念はなかった。しかし、徐々に国が形成されていく、おもに覇権を逃げる王国はスウェーデンとデンマーク、ノルウェーはいずれかの属国扱いの時期が長かった。フィンランドもスウェーデンの権力下にあることが長かったが、ロシアの圧力にもさらされていた。
北欧各国自身が、ロシア・ドイツ・フランス・イギリスといった強国の間に置かれ、そのパワーバランスに振り回さえれながらなんとか自立を保ってきたことがわかる。特にノルウェーがEUに加盟していないのは、そういった支配関係からの解放という背景がある。そういった地政学的な面から見て、強国に飲み込まれないためにどうするか、という点は日本にも参考になる点もあるのかもしれない。
同僚などと話していても、時々歴史的背景を知っていることが前提の話になることがあるので、これで少し理解することができそうだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古い本ですが、ロシアやドイツ・イギリス・フランスなどの大国の干渉をいかにかいくぐって自分たちの国家を作って行くのか?涙ぐましい民族の営みを実感できる著作。北欧とはデンマーク、スウェーデン、ノールウェー、フィンランド、アイスランドの5ヶ国のことです。
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北欧5か国の歴史を追うと、力関係とか盛衰がわかって面白い。
(メインの関心である)フィンランドの話はなかなかでてこないが、それもそのはず(しばらくの間北欧の歴史はすなわちデンマークなりスウェーデンなりが主役であるのだから)。
しかしスウェーデンやロシアとの関係であるとか、ロシアとの戦争を経て(そして日露戦争を踏まえて…)100年前の独立に至ったなど、よくわかった。
バイキング以降の通史をつかむにはよくまとめられていてよかろうが、全体的に、初学者にとってはやや詳しすぎるかもなぁ・・・
(といっても自分はもともと世界史が苦手だったのを思い出すのだが。。そういう意味では、時々でてくるコラムには救われたかも) -
高校の世界史の知識がある人が、ダイジェストとしての北欧史の知識を加えるには良いかもしれません。地図を増やしたり、国別に王や首相(大統領)を纏めたものがあればもっと良くなるかも。コラムを付けて楽しませる工夫をしていた所は入門書としては◯。
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バイキング、各地域への民族移動、北欧神話、大国の狭間で揺れ動く中立主義、そして福祉国家のモデルケースと様々な歴史の場面で登場してくる北欧地域の諸国の歴史を読み物としてまとめています。所々で歴史の表舞台に登場するものの、時系列的に"線"として扱われることが意外と少なく、かといって国別にまとめるのは難しいだけに、本書の企画は非常に貴重でアプローチも成功していると思います。
北欧地域史の入門書としてオススメです。 -
著者のフィンランドへの愛情は伝わるものの、行き過ぎれば贔屓の引き倒し。ここで描かれているフィンランドの歴史は著者による創作と考えて差し支えなく、フィンランドを悲劇の国と仕立て上げる事に全力が注がれている。フィンランドの基礎知識も相当に怪しく、誤記述を挙げだしたらきりがない。「フィンランド人はアジア系の民族」「東郷ビール」「日露戦争とフィンランドの独立の関係」・・・現在でも流通しているフィンランドの誤解はこの本から始まっているのではないか?著者は別の場所ではロシア皇帝アレクサンドル1世について書いた記述を「・・・このような理由でアレクサンドル1世は現在でもヘルシンキ大聖堂前に銅像が残されている。」と結んでいる(ヘルシンキ大聖堂前にあるのはアレクサンドル2世)。一番の問題は、この本が北欧(フィンランド)の歴史に興味を持った人が手に取る確率が高い(入手しやすさ、価格的に考えて)事である。何とか改訂などは出来ないものか。
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本棚、そしてお名前からもフィンランドに対するご理解の深さと愛情がわかるので、こういったご指摘をされてるのは助かります。フィンランドに関しては...本棚、そしてお名前からもフィンランドに対するご理解の深さと愛情がわかるので、こういったご指摘をされてるのは助かります。フィンランドに関しては全く知らなかったので、鵜呑みにするところでした。2020/02/03
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北欧という地域について古代から近現代史まで概観できる一冊。バイキングとして西洋に侵略した時代から、ロシアの圧政と北米移民、貧困の時代を経て現在福祉国家として世界で最も裕福な地域の一つとなった北欧国家のデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの興亡が分かる。自然資源の豊富さや、恵まれた地理的条件、優秀な国民性に加えて、社民党や労働党が何十年もの長期政権で福祉政策を実行維持し続けてきたことで、資本主義の競争原理と社会主義の分配原理を調和させることに成功した。旧ソ連市場喪失による経済停滞も見られたものの、新しい国家のモデルを示し続けている北欧には今後も期待が向けられ続けるだろう。
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(「BOOK」データベースより)
本書はデンマーク、スウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランド、アイスランド北欧5カ国の通史である。 -
デンマーク・スウェーデン、ノルウェー・フィンランド、アイスランドの、中世以降の略史。
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北欧の歴史を網羅的に解説。学校の歴史ではあまり出てこないので、へーと勉強になりました。
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『物語 北欧の歴史』北欧という地域に絞り、その歴史を現代まで簡潔に述べる。ひとつの国に絞っていないため、北欧の関係史が分りやすい。北欧5ヶ国についてのベースを仕入れられる。北欧と一括りにされてしまう国家の異なる道のりを把握して、各国の理解への入り口とすることができる。
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北欧の歴史概略。基礎知識用。
歴史知識ゼロの私には北欧といえば福祉社会保障おしゃれ家具なんかの豊かなイメージしかなかったんだけど、ヨーロッパの中心からみると東欧と同じように不可解な異物だったのか。
デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランドで北欧らしいけれど、この本で扱われるのは主にデンマーク・スウェーデン・フィンランドと一応ノルウェー。
デンマークvsスウェーデンがノルウェーとフィンランド(とアイスランドとグリーンランド)を取ったり取られたりという歴史を考えるとデンマーク・スウェーデンがメインになるのは仕方ないとして、力の入れ方に偏りがあるのはいかがなものか。
フィンランド支配のスウェーデンと重要なデンマークはともかくノルウェー・アイスランドはわりとおざなり。
配分にも書き方にも、フィンランド好き好き☆ソ連きらーい!という著者の好み(思想というには弱いがそれに近いもの)がナチュラルににじみ出ている。
歴史をゆがめるほどではないにしてもフィンランドだけ「雄雄しい」「魅力的な」「国王陛下」「囚われの」など感情入りまくりな書き方なのはどうかと思う。
でも1993年出版ならある程度見方が偏るのは仕方ないのかな。
これ一冊では足りないけれどざっと流れを予習するにはいい。
副題の「モデル国家」が何のモデルを示すのかよくわからなかった。 -
この本の内容と関係のない話だが、20世紀後半以降の現代音楽を漁っていくと、デンマークやノルウェー、スウェーデンといった国の現代音楽作品というのは、まだあまり知られていないがなかなかに面白く、聴き応えのある作品が多く、隠れた豊穣という観がある。
シュトックハウゼン(ドイツ)、ベリオ(イタリア)、ブーレーズ(フランス)といった、ヨーロッパの20世紀の前衛音楽の「中核」に比べると、北欧の作曲家の作品は概して、さほど前衛前衛という感じでもなく、ほどほどに「普通」というか、理屈抜きに楽しめる音楽性の豊かさがあって、これを発掘していくのが、最近病みつきになってきた。
一方で、フィンランドの現代音楽は不思議なことに、足並みをそろえて前衛的サウンドから調性音楽の回帰に向かったフシがある。
こうした事情の背景は何か?
というのが、この本を手に取った理由である。
しかしこの本は11世紀ぐらい(バイキングの時代)からデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの各国史を、本当に「概略」として簡単に、おおざっぱに述べているだけだ。私もそんなものだろうと予期していたから、ざっと読んだにすぎない。
まあ、漠然としたイメージとして、北欧の歴史の「おおよその感じ」は掴めたかもしれない。
これらの国はずいぶんと互いに戦争しあっており、陣地取りの応酬をしている。デンマークあたりはドイツと陸上で隣りあっているので、ドイツとの関係ももっと深そうなものだが、この本にはあまり書かれていなかった。
フィンランドはロシアに占領され悲劇的な歴史を持ったが、ずいぶんと愛国心の強い(つまり、国家アイデンティティの共同幻想が強い)国民なようで、その抵抗の歴史は感動的だ。この「国家アイデンティティ」幻想と、先に書いた現代音楽における「調性への回帰」とは、関係あるような気がする。
それにしても、北欧諸国からはかなりの数の文化的有名人が出てきているにもかかわらず、私たちはこれらの国を「周縁的な国々」とみなしている。むしろヨーロッパにおけるドイツ・フランス・イタリア・イギリス・スペインあたりの「歴史」の支配的権力性を重視しすぎているかもしれない。 -
▼「北欧三国」と聞いて、ノルウェー、スウェーデン……フィンランド?デンマーク?と、なってしまう人も少なくないのではないか。
▼そんな人にも朗報。本書ではその4カ国が全て網羅されている。ヴァイキングの時代から歴史が紐解かれている。
▼スウェーデンの中立(平時では厳密には「非同盟」政策)や、北欧諸国が採った「第三の道」。副題にもある「モデル国家」形成の歩みがここに記されている。
▼一方で、彼らの「平和な(福祉)先進国」のイメージとは裏腹に、動乱の世を生き抜いてきたことに意表を突かれることだろう。まさに「歴史とは動く地図」なのだと思わされる。 -
北欧諸国の成立史。ざっくり流れを掴むには最適です。
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駆け足で読む北欧5カ国通史。地図とか王家系譜とかがあったら、もっとよかったのになぁ。
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武田さんその2
スウェーデンとデンマークを中心とした北欧の歴史。フィンランド、ノルウェー、アイスランドもきちんと書かれています。
北欧通史をざっと知りたいならこの本が一番いいと思います。 -
多種多様。