親指はなぜ太いのか: 直立二足歩行の起原に迫る (中公新書 1709)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017093

感想・レビュー・書評

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  • サルの口と手の形、移動方法はその主食によって決定されるという「口と手連合仮説」をベースに、初期人類の主食を考え、直立二足歩行に至った理由を考える。
    序盤のマダガスカルのサルの話は聞きなれない話で想像しづらく退屈だったけど、中盤以降が面白い。
    自然科学、生物学、人類学の面白さがわかる。

  • 推理小説の趣がある。生きる姿勢で私が一番大切だと考えるのは「問う」ことである。学ぶ行為の奥に問うという自主性が働いている。島泰三の問いは単純にして深い。同じ霊長類でも手の形は実に様々だ。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/02/blog-post_12.html

  • 人の親指が太いのは、初期人類は石を使って骨(骨髄)を食べるボーン・ハンターというニッチを選んだために、石を握るための太い親指が必要だったためである。本書の結論はいってしまえばそれだけである。しかし、この結論を導くために、一見冗長のように思えるマダガスカル島の霊長類やオランウータンやゴリラのナックルウォークに関する手口連合説の考察を積み上げた結果、初期人類の生態を矛盾なく説明できるのがボーン・ハンターであるという結論を導いたところに筆者の執念のようなものを感じた。

  • 面白い、面白いけれど前半が特に冗長

  • [ 内容 ]
    一本だけ離れて生えている太くて短い親指、ガラスさえ噛み砕くほど堅い歯。
    人類の手と口は、他の霊長類に例のない特異なものである。
    霊長類の調査を長年続けてきた著者は、サルの口と手の形、移動方法は、その主食によって決定されることを解明し、「口と手連合仮説」と名づけた。
    なぜアイアイの中指は細長いのか、なぜチンパンジーは拳固で歩くのか、そして人類は何を食べ、なぜ立ちあがったのか。
    スリリングな知の冒険が始まる。

    [ 目次 ]
    第1章 アイアイに会うために
    第2章 レムール類の特別な形と主食のバラエティー
    第3章 アフリカの原猿類の特別な形と主食
    第4章 ニホンザルのほお袋と繊細な指先
    第5章 ナックル・ウォーキングの謎
    第6章 ゴリラとオランウータンの謎
    第7章 初期人類の主食は何か?
    第8章 直立二足歩行の起原
    終章 石を握る。そして、歩き出す

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  各動物の手を見るだけでも本書の価値はあります。自然環境・行動様式によって、こんなに変わっていくのかと驚かされます。
     ただ、全体的に退屈になりやすいので、メモを取りながら、時間をかけて読むことをお勧めします。

     第7章から見ても問題ありません。

著者プロフィール

1946年下関市彦島生まれ。東京大学理学部卒。理学博士(京都大学)、マダガスカル国五等勲位シュヴァリエ、雑誌『孫の力』監修。1978年(財)日本野生生物研究センターを創設、主任研究員を経て、国際協力事業団(JICA)派遣専門家として2001年までマダガスカルに6年3か月滞在。アイアイなどを上野動物園に送り、2002年より日本アイアイ・ファンド代表としてマダガスカル北西部アンジアマンギラーナ監視森林の保護管理を行って、現在にいたる。2012年、ルワンダ共和国でマウンテンゴリラの名付け親となる(日本人初)。ANAグループ機内誌『翼の王国』にて阿部雄介氏とともに『日本水族館紀行』(2007~2012年)、『どうぶつ島国紀行』(2012年~)を連載。『はだかの起原』(木楽舎)、『親指はなぜ太いのか』、『戦う動物園』(編)、『孫の力』(3冊とも中央公論新社)ほか、著書、論文・報告書多数。

「2004年 『はだかの起原 不適者は生き延びる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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