- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121019837
作品紹介・あらすじ
地域社会に根付いた寺院は歴史的にさまざまな役割を担ってきた。もともと鎮護国家を任としていた仏教だが、鎌倉時代に興った新しい宗派は個人の救済を目指し、室町〜戦国時代にかけて地域に浸透していく。戦乱や災害、飢饉がおびただしい奴隷を生む過酷な時代において、寺院は地域でどのような役割を担い、民衆や領主らはいかに仏教を受け入れたのか。日本史における宗教と社会の関わり合いをあぶり出す。
感想・レビュー・書評
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内容は日蓮宗中心の話です。一向宗などの話題を期待すると損するかもしれない。
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日蓮上人の生涯についての章のみ読了。
幕府に物申したり他宗派を批判したりとアグレッシブなイメージの日蓮さんですが、どういう時代背景があって興ったのかというのを知ると、ちょっと理解が深まった気がします。
副題を読まずに手に取って、戦国大名と仏教の関係性がテーマかと勘違いしてました。鎌倉仏教が受容されたのは室町~戦国なので「戦国仏教」といってもいいのでは、という考えからきているそう。 -
本書は、中世における日蓮宗の成立とその発展過程を、中世という時代的視点から考察した本である。
中世においては比叡山や高野山が莫大な荘園を擁する宗教勢力として社会に君臨していたことに対し、「日蓮」が寒冷化による災害が続発する時代的条件の下で、民衆の宗教を打ち出した経過や、「日蓮宗」という現代まで続く教団が生まれ勃興していく過程も興味深く読めたが、時代背景の知識が豊富でなければよくわからないとも感じ、ちょっと難しかった。
「門流ネットワークと南北朝内乱」の項には、日蓮の弟子がそれぞれ派閥化する風景はどの時代でも同じとの感想をもったし、1400年代の気候の寒冷化による飢饉による「一揆の時代」の悲惨さはよくわかったが、本書で主張する「戦国仏教」の概念は難しすぎてよく理解できないとも感じた。
日本の歴史における仏教の位置が、現代と違ってはるかに重いものであったことはよくわかったが、宗教と中世社会を理解するためには、本書のみではちょっと難しいとも感じた。本書の読後感は「難しすぎてよくわからない」である。 -
日本で仏教が伝来したのは飛鳥時代であるが、それが浸透し始めたのは奈良時代に入ってからである。この時代の仏教は「鎮護国家」を目指していたのだが、戦乱が起こってからは「救済」が使命となっていた。本書は後者の役割としての仏教がどうであったのかを考察している。
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タイトルで少々誤解を与えているところはありますが、いわゆる「戦国時代」に向けて特に「鎌倉新仏教(日蓮宗)」がどう広まりをみせたかに焦点を置いたものです。
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込み入った話題が多く一般向けではない。またテーマが曖昧なため、締まりを欠いた内容となっている。歴史の断片を取り上げることに異論はないが、意味性・物語性を示さなければ些末な事実で終わってしまう。
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