田中角栄 - 戦後日本の悲しき自画像 (中公新書 2186)
- 中央公論新社 (2012年10月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121021861
作品紹介・あらすじ
「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれた頭脳と行動力で、高等小学校卒から五四歳で首相の座に就いた田中角栄。「新潟三区」という雪深い地盤に"利益誘導"を行い、「日本列島改造」を掲げた角栄は、戦後政治の象徴だった。だが彼の金権政治は強い批判を浴び、政権は二年半で終わる。その後も巨大な「田中派」を背景に力を持ったが、ロッキード事件では有罪判決が下った。角栄を最期まで追い続けた番記者が語る真実。
感想・レビュー・書評
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令和ジャップ臣民必読。
地方の王国チャンピオンの逸話はハンパない。福島原発の爆発を角栄さんが見たらどんな思いを抱くのか。
金の匂いのするところに群がるアリは昭和も令和も変わらんですね。
昭和政治史もある程度追えるのでGOOD詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
田中角栄に取材していた経験をもつ、朝日新聞の記者による田中角栄論。新書にしては厚めだが、青年期から政界入りを経て、ロッキード事件、失脚までの田中角栄を描く好著。
取材メモを活用した記者ならではの記述は、当時を知らない評者に日本政治が暑苦しかった時代を教えてくれた。ただ、全体的に田中擁護寄りで、彼が残した負の遺産についての記述は少ないのではないかとも思った。面白い本だった。 -
田中角栄の一生を前半期を中心に書いたもの。
客観的でありつつも、番記者だったからか同情的な視線が根底に感じられる。
首相までの上り坂とその後の凋落がコントラストとなっているが、戦後の総理で最も人間的魅力を感じさせるのは角栄だろう。
彼のバックボーンにある新潟県民の恨み、羨望を救済しようとしたからこそ、戦後日本社会の安定はあるのではないか。 -
東2法経図・6F指定:B1/5/Ishii
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野中広務に続き、次は田中角栄。新書大賞2位ってことで前から手もとにはあったんだけど、なんせ普通の新書2冊分くらいの分量だから尻込みしてしまい、なかなか読む気にならんかった。自民党史上、最大級大物の評伝。出版形態は違うけど、件の野中文庫とほぼ同様の体裁。薄汚い献金事件と、最後までそれを認めなかったことで、圧倒的に晩節を汚しているとしか思えんけど、ここだけを見ると、まるで最近長期政権を担った誰かさんのよう。そっちは結局、事件にもならず逃げ切る気ぽいけど。当時と違い、党として団結して隠蔽に走っているところが、その凋落ぶりを物語っている。そう考えると、この当時はまだ、党内であっても不正は糺す、という気概を持つ政治家が多かったんですね。遠い目。
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色んな意味ですごい人だったんだな。と思いました。
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昔総理大臣やってた人だよね?ぐらいの認識しかなかったのですが、戦後の日本にはなくてはならない人だったんだと思う。
賛否両論ありそうな半生だけど、現実的に日本を発展させるには、この人しかいなかったのではないかと思わせる。
話しぶりも庶民にわかりやすい内容で、日本を、世界を動かしていった。
政治にカネはつきもの。カネは使える人が使えばいい。現在の世論では、税金の無駄遣いには異常なほど敏感に反応するけど、自分の家計の無駄遣いには無頓着な印象を受ける。
この辺りは今度まとめて記述したい。
以下引用
世論とは何か。主権在民だ。国論は国民の投票の結果でしか決まる道はない。新聞が世論ではない。一億玉砕と言っていたラジオが世論か。帰りの燃料もなく死地に行かせたのではないか。新聞やラジオではありません。声なき声を政治に実現するのが総選挙。
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ふむ
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「できることはやる。できないことはやらない。全ての責任はこの田中角栄が負う」
金権政治の元祖。田中角栄以後は、それ以前と桁の違うカネが動いた。三木政権による徹底的な汚職追及。やっていないと言い張れるの何故か?認めたら終わり?小沢はカタチだけ真似してるんだな、多分。