言葉の力 -   「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ 389)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503893

感想・レビュー・書評

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  • 良書。
    すべてにおいて反論の余地がない。
    ごもっともです。

  • 感情も感想も言葉のスキルがなければ表現しきれない。
    日本人は感想を語るときに面白いとかすごいとか形容詞を多様するけれど、本当はもっと色々感じているはず。でもそのモヤモヤふわふわした感情をすくいあげて言語化できない。それは実はとてももったいない。

    政治についても教育についてもあるいは生活についても、あらゆる場面で言葉のスキルは必要になってくる。この本は日本人の言語力の低下によってもたらされる弊害とその打開案について語っている。

    言葉の力を訴えるだけあってとても読みやすい一冊。
    とてもおもしろかった。

  • ファティックを大切にする。読書の価値は内面に浮かんだ事を作品の表現や事実と結び付けられる事。
    伝える力を付けるために、もっと色んなジャンルの本を読み、活用していきたいと思った。
    普段あまり本を読まない人、伝える力をつけたい人、スキルアップの方法がわからない人は一度読んでみる価値があるかもしれません。

  • 言葉の力を見なおすべきだ。というお話。

    全体が見えていないと細部に意味は見出せない
    日本から世界的時間軸が失われ始めたことが言語力の低下の原因

    ドイツ→どうしてそういうパスを出すのか

    2006WCイタリアv.s.ドイツ→退場者が出て1人仲間が減った時のイタリア選手は誰もベンチを見なかった

    ファティックに欠ける日本人
    ファティックとは→どうでも良いような会話を続けながら、人と人とをつなぎ合わせる行為のこと

    子どもへの読み聞かせでは辺緑系に刺激がある(泰羅雅登さん)
    辺緑系→理性以前に人の行動をつかさどる役割

    なぜ、日本のアーティストは世界で通用しなかったのか?
    「答えは単純です」
    「欧米の芸術の世界のルールをふまえてなかったからです」
    村上隆

  • 「言語力」とは、「情報を正確に理解したうえで、相手の表現の
    意図や背景を推論し、根拠を挙げて自分の意見を述べ、話し合って
    与えられた課題を解決できる力」のことだ。(p86)
    ☆ ☆ ☆

    基本的な技術を習得しなければ、スポーツをうまくやることは
    できないように、言語も基本は技術であるとのこと。
    たとえば複数の家具が置かれた部屋の俯瞰図を見て、その配置を
    文章でわかりやすく説明する技術。
    絵画を鑑賞して、論理的に感想を述べる技術など。
    確かに、そんな技術があることは知らなかった。
    グローバル社会で共有されている言語技術を、今の日本は持っていないと。

    言語力がないから「キレる」社会になるのかなとも思った。
    そして、論理的に判断ができずに一見クチのうまい指導者にのせられてしまう。

  • 2010年「消えた高齢者問題」から、「孤独氏」や「無縁社会」という言葉が、メディアで取り上げられた。
    地域コミュニティーを再生するには、生きた言語空間が必要ではないか。自分の悩みを語り合う空間や、人生を語り合う空間、人間同士が深いコミュニケーションをとる場のことだ。
    こういった言語空間が失われたことが、無縁社会の背景にあるような気がした。
    また、2011年の東日本大震災後、東北に送られる言葉が軽いように感じて仕方がなかった。被災した東北の人々には言葉に力があった。しかし、海外のチームに所属する選手からのCMメッセージは力がなかった。
    このような思いから、東京に生きた言語空間を復活させるにはどうしたら良いかという疑問を持ちながら、読んだ。
    猪瀬直樹の本は初めて読んだが、副知事として東京の「言葉の力」に注目しているのがさすがだ。
    政治家の言葉はますます軽くなり、鳩山でリアリティーがなくなり、菅で言葉の力が完全に失われたと著者は説く。
    その通りだと思う。言葉を失った政治家とマスコミ。それを認めてきた民衆も悪いが、政治家やマスコミにも大きな責任がある。

  • 東京都の副知事、猪瀬直樹さんの本。

    いわゆる「団塊の世代」らへんの人なりに東日本大震災や情報化といったキーワードと向き合い社会問題と対峙していく、という姿勢を否応なく感じた。

    活字好き90年代生まれとして、猪瀬さんの言葉の活用や可能性を真摯に追い続ける姿勢を応援したい、と強く感じた。

    だがその一方、「マンガやアニメよりやっぱ活字でしょ、活字こそ正当な文化の継承者」的なノリが随所にあり、90年代生まれとしては「社会意識の高いマンガやアニメをいっぱいあるよ!!」と思わず反発したくなるのは否定できない。

    ただ、社会の多数を占めるのは猪瀬さんぐらいの世代であり、マンガやアニメみたいなオタクカルチャーとは縁が遠くなりがちな世代、というのも事実。
    今の若者文化的なネット社会の流儀は、決して世代を超えてどこでも使えるものではない、と俺は思う。「先進的な60代はこう考えている!」というのを知り、Twitterみたいなネットツールを世代を超えて活用する上でのヒントになりそうだと感じた。

  • Twitterでの宣伝がうまいからねぇ~、猪瀬さん。(^_^;)
    とうとう手を出してしまいました。でも、評判に違わず面白かったねぇ~。
    読書力がつくと言語表現力もそれなりについてくるというのは、自身の稚拙さを棚にあげてもとても理解できるから、「本を読め!」というのが手っ取り早く「言語技術」を上げるのに適しているのは言われるまでもなく、という感じである。
    しかし、政治の場で「言語技術」を武器に渡り合っている著者がいう「なぜ?」の必然性と根拠には、ちょっと目からウロコだった。
    なぜなら、「言語技術にはルールがある」ってのがね?ちょっと軽い衝撃を覚えました。

    私でもそれなりに読書数をこなすうちに、自然と文章構造ってのに意識が向いていくのは自覚できるようになるし、その構造を捉えようとこうやって感想文なんかを書く練習をしているわけだけど、そこにはっきり「ルールがある」なんて言われると、「ええ?そんな明確な何かがあったの?」というわけである。
    とはいえ、ルールと言われれば、論文の書き方というのがあるように、論拠の構成のさせ方みたいなことであるのだろうと想像はつくが、中で紹介されているドイツの国語教育の中で行われるトレーニングが目からウロコでした。
    これほどの濃い内容でトレーニングしてもらったら国語の授業はさぞかし面白かっただろうと思うものー。

    私はサイコーに嫌いでしたからね、国語の授業。
    しかし、なんで日本の国語の授業がそんなことになったのかも書かれている。
    さら~っと読める新書だけど、奥が深いです。
    「言語力」、こんな私でもすごく重要と感じるもの。東京都の一部の学校ではトレーニングを導入しはじめているそうな。うらやましい限りだ。

  • 日本に必要なもの、言語能力と正義。世界には、コミュニケーションのためのルールを学んで大人になっているとのこと。三森さんの「言語技術」は、今後注目していきたい。

  • 言語技術を磨く必要がある。ツイッターの140文字で技術を磨く。あとは本を読むこと。
    ファクト(事実)をディテール(細部の描写)に盛り込んで文章を書く。または話す。再読必要な本です。

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著者プロフィール

猪瀬直樹
一九四六年長野県生まれ。作家。八七年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。九六年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。二〇〇二年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。〇七年、東京都副知事に任命される。一二年、東京都知事に就任。一三年、辞任。一五年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全一二巻、電子版全一六巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』『昭和23年冬の暗号』など。二〇二二年から参議院議員。

「2023年 『太陽の男 石原慎太郎伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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