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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505996

作品紹介・あらすじ

米ハーバード大学で、日本史から学ぼうという機運が高まっている。
『源氏物語』『忠臣蔵』から、城山三郎まで取り上げる一方、玉音放送を読み上げて日本の天皇制について考えたり、日本料理の奥深さを噛み締めたり……。授業には日本人も知らない日本の魅力が溢れていた。
アマルティア・セン、エズラ・ヴォーゲル、ジョセフ・ナイほか。ハーバード大の教授10人のインタビューを通して、世界から見た日本の価値を再確認する一冊。ベストセラー『ハーバードでいちばん人気の国・日本』のスピンオフシリーズ、第一弾!

感想・レビュー・書評

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  • ハーバード大学の先生方が語る日本史・・・というよりも日本を語った本という感じです。

    日本で常識とされていたことや考えが、ハーバードの教授方は違った受け止め方をされていることを知ることができ、新鮮な見方ができました。

    たとえば
    ・アメリカの女子学生は『源氏物語』には共感できないが、そう感じる程度に内容を理解しており、しかもすぐれた文学作品という認識は持っている。

    確かに、「桐壷」での光源氏ってやってることは性的暴行やし、紫の上を引き取って育てて。。。なんて話は幼女に対する性的虐待とも言えそうですしね。。。^^;

    また、明治維新の主役は西郷や龍馬ではなく大久保や木戸、という見方はまさにそうで、「なんだ、外国人のほうがわかってるやん」なんて思ってしまいました。でも西郷も龍馬も大事な役割を果たしているという見方には変わりないのですが。

    タイトルは「日本史」とついていますが、教授陣が語る日本には日本史にとどまらず環境問題やリーダーシップ論、経営学、経済学、和食に日米関係など多彩。

    教養を深めるビジネス書として一読すると、どこかでお役に立ちそうな一冊です。

  • 作家・コンサルタントの佐藤智恵さんが、
    ハーバード大学で日本史授業をおこなっている7人の教授、
    および精力的に日本史の研究活動をされている3人の教授にお話をうかがったもの。

    子どものころ、インドの学校で学んだ「17条憲法」に感銘を受け、授業でも「17条憲法」を取り上げているというアマルティア・セン教授

    すしの伝播から日本のバレンタインデーの歴史まで、食にまつわる多彩なトピックを授業で紹介しているテオドル・ベスタ―教授

    日本史の通史の授業で『忠臣蔵』で有名な赤穂事件について語るデビッド・ハウエル教授

    映画『チョコレートと兵隊』や城山三郎の経済小説を題材に現代史を教えるアンドルー・ゴードン教授

    黒船来航や東日本大震災について環境史の視点から解説するイアン・ミラー教授

    「トルーマンと原爆」の授業で終戦の詔書を読み上げるサンドラ・サッチャー教授

    経営史の授業で、日本を代表する起業家として岩崎弥太郎を取り上げているジェフリー・ジョーンズ教授

    そして、龍馬西郷は「脇役」、木戸大久保こそ「主役」と語る、『明治維新における長州』『日本の歴史を個性』を書かれたアルバート・クレイグ名誉教授

    『ジャパン アズ ナンバーワンーーアメリカへの教訓』が大ヒットとなったエズラ・ヴォーゲル名誉教授

    アメリカを代表する国際政治学者ハーバード大学の中で「知日派」の代表格として知られるジョセフ・ナイ特別功労教授

    10人の皆さんのお話がとても面白かったのは
    佐藤智恵さんの上手な質問と翻訳のおかげだと思います。

  • ハーバードで日本史に関する授業を受け持っている
    教授たちへのインタビュー。

    基本的には日本を好意的に見てくれている方々なので
    日本人としては読んでいてやはり嬉しい気持ちになります。
    ただ単純な日本礼賛の話ばかりではなく
    原爆投下を決断したトルーマンの正当性に言及していたり
    環境的な面で言うと原発をこのまま使い続けるのかなど
    色々な面から日本を見つめ直すことが出来る本でした。

    ジャパンアズナンバーワンていう言葉が流行っていたのは
    知っていましたが日本人がバブル期に調子に乗って
    言い出したのかと思っていました。
    ハーバードの教授の書いた本の題名だったのですね。

    あと個人的に印象に残ったのが自国の歴史について学び
    反省すべきところは反省することが謙虚さに繋がる
    といったようなことが書かれていたところです。
    確かに長い歴史の中には良いことも悪いこともあったわけで
    良かったことしか見ないようにしていたら謙虚さを
    失ってしまうよなと思いました。

  • ハーバード大学で日本史の授業を行っている10人の教授にインタビューした記事をまとめたもの。
    日本史を研究している人たちなので、当然ながら日本のことを悪く言う人はいない。
    欧米人からすれば、アジアは一つの国のようなもので、その中の日本を通常の授業で教わることはほとんどないようである。
    しかしハーバード大学では日本史を積極的に取り入れており、アメリカの知識層の人たちは日本人以上に日本のことを理解していることもある。
    グローバル化に伴って、日本人も現代の鎖国状態を継続することは困難になり、益々海外の人たちと触れ合う機会が増えるので、その時に自国の文化を理解していないと相手にされなくなってしまうことが危惧される。

    ・戦後の日本経済の高度成長が実現できたのは、まず何よりも、日本文化や日本という国に対して誇りを持っていたからだと思います。この日本人の誇りは、十九~二十世紀、日本の産業革命を牽引した原動力でもありました。私の友人である森嶋通夫(経済学者、故人)は、その著書の中で、日本人が金銭的なインセンテイブがなくとも責任感を持って働くのは、その文化によるところが大きい、日本人の倫理観は日本経済の発展に大きな貢献をしてきた、と述べています。日本人の実業家たちが「この国には世界の中でも唯一無二の文化がある」と信じてきたこと。これが日本全体の生産性を高め、日本という国の可能性を信じることにつながったのです。
    ・国民一人一人の収入が増えれば、人々の日々の生活の助けにはなりますが、GDPの成長率を高めることだけを国の目標にするべきではないと思います。GDPの成長率は、人間の安全や生活の質の向上を正しく評価する指標ではありません。

  • 教員ならためになる
    今はいっかなって感じ

  • 日本史というより日本のいろいろな物事について、新しい見方ができた本。面白く読みやすい本なので、もっと深彫りして内容の厚いものにしてほしいとも思う。

  • 昭和天皇の終戦の詔書を改めて読むと、その悲壮なまでの決意に万感の思いとなる。またトルーマンの独善的な原爆投下の政策決定には批判的だ。しかし、冷静に考えると昭和天皇もトルーマンもリーダーとして決断した面では変わらない。
    トルーマンの政策決定プロセスを論じて、昭和天皇のそれは論じないのはなぜなのか。

  • 日本を愛してくれたり、客観的に見せてくれたりするけれど、結局はアングロサクソン視点でしかない。世界に目を向けるべきなど、日本の内向性の批判もわかるけれど、その目指すところがアングロサクソン帝国の生み出した仕組みのためだからね。全ての人間がその呪縛から解放されるべき。

  • ジェフリージョーンズ教授の渋沢栄一ならトランプ大統領にこう忠告するが面白かった。倫理的な資本主義というのが現実に現れるためにはどうすれば良いのか考えるきっかけになる。

  • 日本史教室、というか日本についてのインタビューのまとめ。外から見た日本、アジアの一部の日本、という視点が参考になる。
    そしてハーバードの教員の現アメリカ大統領に対する評価もよくわかる。

    以下引用
    …我が国にも暗い歴史はあるのだと」と認めた上で自国を誇りに思う…これこそ品格ある国家の姿です。…良い所ばかりを教えて愛国教育を施す、これでは「偽りの誇り」と「実体のない品格」をもった国民ばかりになってしまいます。

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著者プロフィール

1998年3月 一橋大学法学部卒業
1999年8月 マールブルク大学(ドイツ)法学部公法・国際法専攻(LL. M)修了
2000年3月 一橋大学大学院法学研究科公法・国際関係専攻修士課程修了
2003年8月 マールブルク大学法学部公法・国際法専攻博士課程修了(Dr. jur)
外務省勤務,明治大学法学部専任講師・准教授等を経て,
2021年10月 明治大学法学部教授(現在に至る)

「2021年 『EU海洋環境法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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