- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121804815
作品紹介・あらすじ
私たちは何かの行為をしたあとで「われ知らずにしてしまった」ということがある。無意識の世界とは何なのか。ユング派の心理療法家として知られる著者は、種々の症例や夢の具体例を取り上げながらこの不思議な心の深層を解明する。また、無意識のなかで、男性・女性によって異性像がどうイメージされ、生活行動にどう現れるのか、心のエネルギーの退行がマザー・コンプレックスに根ざす例なども含めて鋭くメスを入れる。
感想・レビュー・書評
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興味のある分野だったが、如何せん主観的にすぎるように感じてしまった。学問の性質上避けがたい部分があるのも理解できるし、この分量では根拠を充分に示せないことも理解できるが、学者の思い込み、と指摘されたらそれまでに感じてしまう。
ただ、普遍的無意識、という考え方はとても面白いと感じた -
『無意識の構造ー改版』(河合隼雄、中公新書)読了。ユングの思想を中心に、精神分析学の発達過程をよく理解できた。「普遍的無意識」「自我と自己」「アニマと投影」「自己のシンボル」などについての理解を深めることができた。個人の精神分析に留まらず、日本人の思考形態を深く理解するためにも役立つと思う。
「中年の危機」について触れているところがあるが、個人的にはここが深く心に残った。
ひとことで言うと、「意識の力で無意識界に抑え込んでいたアニマ・アニムスが中年期に表面化する」とでもいうべきか。 -
この名著が上梓されたのは1977年。今から40年前である。人の半生分の長さほど昔に書かれたという事実は、評価する上では考慮すべきでしょう。評価などと生意気な、とお叱りを受けるのは当然、自分でもおこがましいと思っています。
こんな前置きを書いておきながらですが、いやはや素晴らしい。特に後半。
ユングという人の研究が進み、ある程度の普遍性を得ている現代では特に驚きがあるわけではないでしょうが、ここには生きる指標がありました。
人生を、とくにその後半をいかに生きるか、答えだと思っていたことに確信が持てました。 -
(1977年9月22日発売)の方を読みました
https://booklog.jp/item/1/4121004817 -
意識と無意識の統合について知りたいというのが読み始めた動機。
読んでいる最中、よく夢を見た。
自分の無意識に何があるのか、少しずつ意識できている感がある。
次の本は河合隼雄さんの「影の現象学」。 -
無意識についての全体像が分かりやすく説明されている。
特に自我と自己についての捉え方は、禅の教えに繋がるものを感じてもう少し知りたいと思った。
でももう一歩知りたいところまでは書かれないからユング心理学入門を読もうかなと思った。 -
ごく短い本だが、ユング心理学という今まで考えたこともなかった世界へと思考を飛ばしてくれる。
一般に大学などで教えられる心理学は認知心理学や社会心理学といった、データや実験に基づいた文理融合型の学問、というイメージがあるが、この本で扱われるユング心理学は全く異なる。
そもそも深層心理や集合的無意識という概念自体が実験・観察に基づいて発見されたというよりは仮説的に観念されたものという感じだし、その裏付けとして所々に挿入される実際の患者の夢もあまりにも荒唐無稽で、こんな夢を見る人が本当にいるのか、と疑いを挟みたくなる。
総じて今までの自分の常識や固定観念からは受け入れ難い思考法で、これは科学といえるのか、とすら思った。
しかし、そのように一笑に付すには惜しい説得力が本書にはあった。
思うに、ユング心理学はある意味では非常識な学問であり、だからこそ現在の心理学のメインストリームは認知心理学を始めとする自然科学的な実験を重視しているのだろう。
だが、そういった「まっとうな」学問では当分辿り着けない遥かな神秘を人間の意識は宿していて、その一端を、一足飛びに垣間見る可能性を有するのが、ユング心理学なのではないか。そう考えて、信じてみたくなるような魅力を持つ一冊だった。