残像に口紅を (中公文庫 つ 6-14)

著者 :
  • 中央公論新社
3.19
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本棚登録 : 11441
感想 : 723
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122022874

感想・レビュー・書評

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  • こんなに音が失われているのに、第三部に入るまではしっかりと物語が綴られていて驚いた。正直正しい音で読めていたかわからない。わからない言葉も沢山あった。しかしこんなにも言葉の言い換え、代用は可能なのか。
    音が消えると思い出も消える。こんなに悲しく気高い実験だったとは。

  • 日本語の素晴らしさを改めて感じることができる小説。
    少しずつ日本語の音が消えてく物語を描いているが、英語等の他の言語ではあり得ない、日本語ならではの表現。翻訳すら不可能。日本人にしか読むことのできない本。
    別に話の内容が面白いわけではないが、素晴らしいので是非一読して欲しい。

  • 発想と実行はすごいと思う。
    ただ物語として面白いかと言えば正直否である。

    娘はいなくなるのに切符は言えないだけのような
    設定の矛盾も気になる。
    一文字でもなくなれば存在がなくなる方の設定に従えば
    きがなくなった時点で切符どころか地球や空気もなくなるのでは。
    主人公が小説家という設定自体は自ら実験的に
    悲痛に思いつつも淡々と事を進めていくのが面白いとは思った。

  • 作者の語彙が豊富すぎて第二部の半ばまでは、違和感を感じなかった。ただ同じ意味を表す平易な表現は消滅しているからか、難しい言葉が多く読むのに時間がかかった。第二部の終盤になるとさすがに使える文字がかなり少なくなり、佐治を含む登場人物の性格がどんどん雑になっていき、短絡的な思考であるように見えてとても面白かった。
    第三部はもう使える文字がほぼ無い。短い文章が連なっており、その間にも文字が消滅していく。しかしだからこそ、臨場感が伝わってきた。鉄鋼のハイツに登り、上から街を眺めているときの、その一瞬一瞬の目まぐるしく移り変わる思考と、佐治の目に入る物体の数々が羅列されていて、緊張を一緒に体感できた。
    そして最後はなにかが崩れる音だけになり、「ん。」と残して物語が終わる。作品を通して常に言葉を巧みに操っていた佐治が、最後は1人断崖で倒れ呻き声を上げて終わる、なんとも秀逸なラストだと思った。

  • 「〇〇縛り」で最近凄い感動するものを読んだけど、これに関しては「単に文字列を並べて、途中卑猥な描写にも成功しました。別にストーリーを作ろうとは思ってません」みたいななんとも消化不良。

  • 前半は面白かった。あれがなくなったんだな。これがなくなったんだな。と考えながら読めた。後半は自分の語彙力が足りないためか面白くなかった。本文中の店員さんみたいな感じで読んでいた。

  • 一気読みはできない小説。
    中盤まではこれまでにどの言葉が消えたのか、逐一ページを戻すくらいまでには文章が自然だった。ただ些細に確実に登場人物の話し口調や呼称が変わって行き、言葉がなくなると人の印象までもが変わっていくという発見があった。

    内容を理解できたかというと、出来ていない。自分自身の教養の問題から、そもそも読むことの出来ない漢字や初めて見る単語、それ以外にも作中に例として出てくる作品、人物など知らないこともたくさんあり、もし全てわかっていたらもっと面白く読めたのだろうなと感じる。
    ただ諦めずに読んでよかった作品だった。

  • もちょい解説がほしかった(笑)が、新しい趣向の小説でおもしろかった

  • ことばが消えていく実験的小説。
    物語としては支離滅裂のように感じたが、読み物としては極上の作品だった。

    個人的には、p.289ページが印象的。
    音の無いことを意に介していない医師に鳥肌がたった。
    時には沈黙すらも想像で補完できる人間の素晴らしさを感じた。

    ただ、私自身の語彙力が低すぎて‥‥
    10年後に再読したいですね✨

  • 作家の自己満足な作品につき合わされた感覚

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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