シュレディンガ-の哲学する猫 (中公文庫 た 77-1)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050761

作品紹介・あらすじ

ある日作家のもとに現れた、哲学者の言葉を語る不思議な猫。「語の意味とは何か?」「"私"は誰?」-哲学の諸問題を、猫と作家が案内する。サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、小林秀雄…古今東西の哲学者、思想家たちの核心を紹介。時空を旅する猫とでかける、「究極の知」への冒険ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • これは何年後かにもう1回読む。
    サン=テグジュペリの章とか、面白いところもあったけれど基本的に難しかった。
    読みにくいと感じたのは、私の読解力が足りないのか、文章が悪いのか。
    誰が誰に語りかけているのか全くわからなくなったりしたし、最後の方はもうただ目が文字を追っているだけになってしまって、内容が頭に入ってくる感じがしなかった。

  • 紀伊國屋書店の本のまくらフェアで購入。読みやすい。「医学の歴史」→「生命をとらえ直す」と読んできたせいか、この本の隠れテーマ(?)「文系と理系の架橋」ということが強く感じられる。哲学と物理学。ふむなるほど。難解だと敬遠していた哲学書に取り組むとっかかりには良い本。また、取り上げる人選が独特で、それがこの著者のバックグラウンドと密接に結び付いているのも良い。

  • 福岡旅行の際にふらっと寄った古本屋で購入した一冊。私が持っているのは徳間書店のもので、帯に筒井康隆のコメントがあり思わず手に取った。著者の本は始めて読んだけれど、【科学哲学者】という文理融合した理解があるからこそ科学の哲学のようなものを感じた。個人的にも無限とか稠密性と量子力学とか数学・物理は突き詰めていくと考え方次第=哲学っぽいなあと思うことがあったので何となく共感できた。

    最近の哲学を知りたいとっかかりはキルケゴール・現象学から来ていたので、ニーチェ、フッサール、ハイデガーと聞きたい名前に出会えたことはもちろん、薄くではあるけど有名な思想に触れられてよかった。シュレ猫とのやり取りも心地いい。引き続きまずは哲学全体に触れていきたい。あと量子力学。
    もっと自分に落とし込む必要がありそう。

    以下キーワード。
    ・シュレディンガーの猫:量子力学における「観測するまで物事の状態は確定しない」ことを量子の世界から現実世界で表現するために考えられた思考実験
    ・ウィトゲンシュタイン:言語活動は言語ゲーム(話の中で変化していく)、言語=思考、語り得ぬものは沈黙すべき、言語の限界は世界の限界
    ・サルトル:「君は自由だ、選びたまえ。創りたまえ」実存主義、実存が本質に先立つ。
    ・ニーチェ:ツァラトゥストラはこう言った。神は死んだ、永劫回帰、ディオニソス的・アポロン的
    ・プラトン:プラトニック、肉体関係のない精神的な恋愛(同性愛)
    ・ソクラテス:魔性の哲学、ダイモン(Demon)
    ・レイチェル・カーソン:沈黙の春、環境の哲学、センス・オブ・ワンダー(不思議さに驚く感性)
    ・サン=テグジュペリ:飛行家で小説家、星の王子様
    ・ファイヤアーベント:文化的相対主義、化学は宗教、アナーキズム、方法への挑戦、Anything goes
    ・廣松渉(ひろまつわたる):四肢構造、所与・所識・能知、能識
    ・フッサール:現象学、エポケー、括弧に入れる(判断停止、自然的立場の一時的中段)
    ・ハイデガー:存在と時間、現存在、死、世界との関わり
    ・小林秀雄:理論物理学的思考、ベルクソン
    ・大森荘蔵:文系と理系の相互理解が必要。科学理論がすべてじゃない、オカルトは誤謬ではない

  • エッセイめいた哲学入門書。猫と主人公との関係とかはどうでもよかったが、この本の功績はファイヤアーベントなどの科学哲学への興味を持たせてくれたこと。

  • 面白かった。哲学の入門書的な性格のものなので、こればかり読んでてもどうかと思うのだが、改めて手に入れたいなと思う。
    ウィトゲンシュタインのところで、言葉は、それぞれがその意味を存しているのであって、そこに一般的な概念を重ね合わせようとするからわからなくなる、というくだりは成程!と結構腑に落ちた。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99136529

  • 後輩に借りた本。

    哲学に関して予備知識も何もない初心者なので
    正直なところ小難しい部分が多かったです。

    それでもなんとなくの考え方と哲学に触れることで
    日々の思考や感情の機微がすごく些細なことのように感じられました。
    もっと哲学について詳しく勉強してみたいです。

  • ソフィーの世界のように哲学を物語で紹介している
    本著の方が哲学の中身に踏み込んでおり読み応えがあった
    ウィトゲンシュタイン、サルトル、ニーチェ、ソクラテス、カーソン、サン=テグジュペリ、ファイヤアーベント、廣松渉、フッサール、ハイデガー、小林秀雄、大森壮厳と名を連ねる
    彼らの思索を一気に並べ読むと言葉は違えど重なり合う部分などの気付きがあり、それぞれの理解を深める助けとなった

  • 理学博士竹内薫、文筆家竹内さなみによる哲学の入門書。ただの解説書ではなく、作家と哲学者の言葉を語る不思議な猫を主人公にして、物語風に書かれているので、少しは敷居が低くなっていると思います。サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、小林秀雄など古今東西の哲学者たちの思想をそのまま説明、解説するのではなく、著者が掘り下げながら、著者の考えを展開しています。その辺は注意が必要。

  • 竹内薫 「 シュレディンガーの哲学する猫 」

    哲学エッセイ。形而上学(ものの存在について考える) と認識論(存在するものをどう認識するか考える) の哲学テーマを中心に、サルトル、ニーチェ 、フッサール、ハイデガーなどの論点を整理。

    科学への警鐘的な哲学者の言葉が多い。もっと詳しく読んでみたいと思ったのは、ファイヤアーベント 、廣松渉 、大森荘蔵

    特に ファイヤアーベントの文化的相対主義は 面白そう
    *世の中に客観的な事実など存在しない→〜事実が存在しないなら正義も存在しない
    *科学は宗教である
    *読書には濫読が必要〜何でも知ることによって 判断力を働かせることができる
    *意見の多様性は 客観性のために必要である
    *成熟した市民とは 選択できる人間〜たくさんのプロパガンダとイデオロギーに接することが必要

    ニーチェ 「神は死んだ」の恐怖は 無宗教の日本人には伝わらない。「科学は死んだ」と同じくらいの価値観の崩壊を意味。
    ニーチェ 永劫回帰=同じことが永遠に繰り返される=一回しかない=今生きてる現世しかない


    ウィトゲンシュタイン
    *日常生活は 言語なしにはあり得ない〜言語から離れたものは その存在を失い、幻想になってしまう(言語ゲーム一言論)
    *一般化、法則化を嫌い、常に具体的な思考を貫く〜哲学は科学と違う〜哲学は世界をありのままの姿で記述すること

    サルトルの実存主義
    *実存=人間の存在→実存主義=人間を 存在としてでなく 実存ととらえる→実存が本質に先立つ=人間はまず実存し〜そのあとで定義される→人間はあとになって初めて人間になる
    *人生を生きていく過程で徐々に人間が形成される
    *人間は 自分で自分を 将来に向かって投げる〜人生は自ら計画して切り開いていくことが人間の形成
    *人間は常にアンガジェする→一人の行動が世界に影響を与える


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著者プロフィール

たけうち・かおる サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。フリースクール「YES International School」校長も務める。著書に『99・9%は仮説』(光文社新書)、訳書に『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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