どこの家にも怖いものはいる (中公文庫 み 50-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064140

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  • 新居に越してきた専業主婦の日記、昭和初期の少年の恐怖体験、インターネットに投稿された学生の実録怪談。
    それぞれが全く関係ない独立した話でありながら何故か既視感を覚える三編の怪談の共通項を、若き編集者とホラー作家とが推理する安楽椅子探偵もの。ノンフィクション仕立てのフィクションとして出版する試みも実験的で面白い。
    結論から言えば、ホラーとして読めば十分怖い。
    主婦の日記と少年の速記録とインターネットの投稿、それぞれ記録された媒体も文体も異なりながら、擬音を織り込んでの雰囲気の盛り上げ方が秀逸。それぞれ時代も背景も違うため、どの話に一番恐怖を感じるかは読者の感性によるところが大きい。
    最愛の我が子が柵の中の得体の知れぬ存在ー「あれ」によって脅威に曝される主婦の怯え、不気味な森で「割れ女」に追いかけられ逃げ込んだ先の邸でも次々と怪異に襲われ追い詰められていく少年の焦燥、初めての一人暮らしで入居したアパートで隣人の不可解な行動に悩まされる学生……

    「あれ」の正体とは何か。
    何故似た感じを覚えるのか。

    そこに編集者と作家が後日発見した、解答編ともいえる二編が追加され、ミステリーとして構成される仕組み。
    小野不由美の「残穢」が面白かった人にはおすすめ。
    というのも怪奇現象がミッシングリンクを介して伝播する経緯を、議論と考察を重ねてロジックで解き明かしていく構造が似ている以上に、下敷きにされた資料が同一。「残穢」で重要な手がかりとなった参考文献が本書でも怪異の起源に至るヒントとして登場した時は、共通項に興奮を覚えた。

    また序盤で博識の作者が語る、タイタニック号や大統領暗殺における歴史の符号の一致も興味深く、知的好奇心が満たされる。著作の裏話や執筆時の状況も折に触れ言及されているのもファンには嬉しいサービス。
    背筋が寒くなる良質なホラーだったのだが、専業主婦の日記にしるされた二人目の消えた子供、狂い女の落とし子の消息など消化不良な部分も多くもやもやが残る。
    もっとも本質がホラーに傾いてるのなら、いくつかの謎を残して後味の悪さを長引かせるのは正しい判断といえよう。

  • 『赫眼』がマジ怖だったので、もう三津田ホラーは“心に余裕ある時のとっておき”と決めていたが連日の蒸し暑さに負けたw
    小さい息子持ちなので一つ目の話からおののくヤバさ。二つ目、三つ目の話の緊迫感にページをめくる手がどうしても止まらず、四つ目の話の異様さに息を呑む。最後の最後まで追求しないのが物足りなくもあるが、それはそれで新たな怖れが後を引く。出産前だったらもっと冷静に読めたかな…。
    ん?まだ喋れない息子がこちらの背後の何もない壁を指差して何か言いたげ…。勘弁してくれ~!

  • 時代も内容もバラバラに見える5つの幽霊屋敷にまつわる怪談。でもどこか似ている気がする。その共通点とは何かを三間坂編集者と作家三津田信三が探る。
    家シリーズと作家シリーズを混ぜたようなテイストの作品で、こういう虚実入り交じったメタな作品が大好きなので面白かった。一応、ミステリ的とまでは言わないが、論理的風に解釈を加えてるところも。
    作中の「あれ」に追いかけられるところがどれもツボで良い感じに怖くて良いです。(こう……ゆっくり動いてたのが突然ガッと来る感じが……)

  • 『忌録』を書いたのは三津田さんぽいな。
    光子菩薩…

  • 怖いよ。
    ほんとに

  • ホラーミステリーといった感じ
    怪異の内容から点と点を繋いでいく

  • 気味の悪い怖さの詰め合わせでどれを読んでも面白い
    短編集は好み好みじゃないがあってあまり好きではなかったけれど
    これは全ての話が当たり
    短編集じゃなくて1冊だと感じた

  • 納得感はあったけど、ハラハラ感やどんでん返し感などはなかった。
    普通のホラー小説って感じ

    どんでん返し系が好きな人には物足りないかな…

  • 作中に出てくる、それぞれの怪談が、それぞれ怖い。
    もう、割れ女と狂女とか、三津田ワールド全開でしたね!
    怪談ミステリーみたいで、おもしろかったです。
    最後、謎解きみたいになってたし。

    いやでも、怪談は憶測でも謎を解いたらつまらない。ので、☆4つにしました。

    最後の頭三会でようやく気づいたけど、私も名前だけなら頭三会に入れる!(笑)
    そして解説が、てるさんだったのも嬉しかった。
    てるさんのお人柄がにじみ出る、知的で優しい文章でした。

  • そうですねって思った

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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