夫の墓には入りません (中公文庫 か 86-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.77
  • (108)
  • (233)
  • (183)
  • (20)
  • (3)
本棚登録 : 2183
感想 : 178
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066878

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 図書館で借りて。これは面白かった。めくるめく展開に、色々な人の色々な顔が描かれていて。うちの娘が結婚しないのでの次に好き。なんだろう?最近の作品が私の好みに合うのかな。

    色々出てくる人との関係が怖いけど、タイトルから想像する義理の実家との関係よりも他の登場人物との関わりが興味深く面白かった。
    そして、垣谷さんの後半うまいことハッピーエンドになってくれる展開も(って決まってるわけではないけど)安心して読める。夫に愛されてたみたいなオチは別に要らない気はしたけど…
    ・工藤の魅力、わかる気がする。こういう人いるよね。人たらしというのか。でも冷めるところでこっちも一緒にゾワッとした。一気に無理になる感じ。
    ・そして旅館の女将の最後の発言も怖い!何故そんなこといちいち言うのー!悔しいのかなぁ
    ・鼈甲屋さんの商売っ気も印象的
    ・妹との関係
    ・お父さん頼りになりすぎで、ちょっと都合良い展開なんだけど、助かる。気持ち良い。
    ・潰してもいい人間って表現こわい
    ・お父さんの的を射た発言にえっ全然そんなこと分かってなかった!ってなる主人公、なんか分かる

    垣谷さんのこういうのもっと読みたいな。まだ読んでないのあるかな。



  • わたしは
    アラフォーなのですが、
    少し年上のお友達の話を
    聞いているような
    錯覚になる
    ワクワクとドキドキとハラハラと
    どうなる?どうなるの?
    と言うおもいで
    スラスラと読んでしまいました。

    あ〜
    面白かった〜。


  • とてもリアルで、将来について強く意識させられる。未だ気づいていない起こりうる問題やそれにどう対応していけば良いのか、本作は救済の物語のようにも感じる。

    がんじがらめな夏葉子が、父の頼もしい援軍によって未来を切り開いていく。
    お父さん素敵だったなぁ♪
    私も臭いものに蓋をして知らないですませるのは嫌だなぁ。向き合って気持ちの決着をつけたい。一生疑心暗鬼なんてむなしいしゾッとする。
    個人的に「つぶしてもいい人間」というのが耳の痛い話でした。

    『自分がどう感じたか、どんなに嫌な思いをしてきたか、何が悲しかったか、そういうのを淡々と正直に言えばいいんだ。
    大げさに言うなよ。かといって、遠慮して話を小さくする必要もない。
    相手のテリトリーには入らずに、自分の世界の中で話すんだ』

    『要はさ、相手を非難することを言っちゃいけないんだよ。ただ単に、自分の苦しい気持ちを吐き出すんだ。』

  • 一気に読みました
    色んな立場の思いが交差するところがすごい。複雑な心理描写が上手いと思いました

  • 半分近くまで読んで、再読に気付く(単行本は「嫁をやめる日」)。ある晩、夫が46歳で早世。舅姑や謎の女、愛人送金(謎解きはイマイチ)、墓、介護重圧。実父の応援、姻族関係終了届とやはり面白かった。

  • 面白かったが、結婚したら家に入るとか、少し古い価値観の話だと思った。今後はこういった女性の生きづらさも軽減されていくと思う。

  • 私が、若かった時に、ご近所のおばさんの井戸端会議で、聞いた話に、「子供とは血のつながりがあるけど、夫とは血のつながらない人だから、縁が切れたら、赤の他人・・・」と。

    その時は、ビックリしたけど、この本の中でも、義理の親の介護や引きこもりの小姑、、、の世話迄、長男の嫁はしなくてはならないのか?と思うと、言っていたことが、理解出来るようになった。

    まして、夫が、亡くなったら、幾ら手厚い介護をしても、義理の親からの相続は出来ない。

    最近は、夫と一緒に墓に入りたくない妻が、増えているとか・・・・
    お墓自体が、高価であり、そして、その墓をずっと守って行かないといけない重荷もあるのだろう。

    私の友人も、夫の両親の墓守をしながら、自分の親の墓守もしているけれど、娘2人は、嫁いでいて、自分達が、亡くなった後、この墓守の役は誰がしてくれるのだろうか?と、悩んでいた。

    そんな時に、この衝撃的な題名の本に出くわしてしまった。

    小説では、ある晩に、妻へ偽りの出張を言いながら、ホテルで、夫が、急死。
    マンションも生命保険も入って来た夏葉子。
    夫には、富裕層の両親が居て、葬式もお墓も全てのお金の掛かりを支払ってくれた。
    そして、海外旅行ヘも一緒に行こうと誘ってくれる。

    何と、優しい義理の両親・・・・と、ここまでは思えるのだが、、、、
    夏葉子がパートに出て行っている時には、勝手に鍵を開けて、マンションに入っているし、冷蔵庫に自分が持ってきた総菜も入れるという始末で、何故か一人になったのに、余計に気を遣わないといけない羽目に。
    そして、旧家な為に、ちょっと、外で男性と会っても、噂話になってしまう。

    それでいて、夏葉子は、東京の両親に小さい時から、しっかり者で、通してきたので、甘えられない自分が居た。

    夫の過去の女性の話なども、そして、その女性へ夫が振込金をしていた事など、、、そんなモヤモヤ感を、夏葉子の父親が、全てを解決してくれる。
    がさつであり、母親といつも口げんかしているような両親であるが、娘の一大事には、進んで、嫌な役もやってのける。

    円満に、義理の両親と、縁を切るために婚族関係終了届を出し、元の姓に戻ることも、夏葉子は、手続きをし、仏壇も親に返し、そして墓に掘った赤字の自分の名も消してもらうように・・・・すべて良し・・・

    だけど、義理の両親の立場は、どうなのであろうか?
    最後に、疲れ切った義理の母親へ「おかあさん」と声をかけて、父親の入院の病院へのタクシーを呼んであげる優しさは、嬉しく思った。
    そして引きこもりになってしまった弓子さんの小姑も、優しい人である。

    人間、「縁」というもので結ばれている。
    やはり、書類上は、赤の他人へと戻っても、これまで、過ごした ご縁は、大切にして欲しいと、思った。

    社会勉強になった本の1冊である。

  • 久しぶりに小説を読みました。母、義父が数年の間に亡くなり、、、私自身は30代の子育て真っ只中ですがこれからの人生のことをよく考えます。読む手が止まらず、途中私も息苦しさを感じながら読了しました。主人公の気持ちが手にとるようにわかる感覚がありました。私も人に悩みを見せるのが苦手で、言いたいことをはっきり言える方ではないので他人事とは思えませんでした。

  • 図書館で。
    タイトルは知っていたのでエッセイかと思ったら小説だった。公的に縁を切れる申請書ってあるんだな~ 知らなかったな。

    家族の義務、となると重荷すぎて投げ出したくなるけど、他人として助け合う、なら良いのなと言う感じかな。要は気の持ち方と受け取り側の感謝が必要という事なのかもしれない。それにしても旦那さんとのすれ違いはなんだか読み終わってすっきりしない感じ。あまり共感出来ないタイプのヒロインだったからか、旦那の方が可哀想だな…なんて思いながら読み終えました。

  • 夫が急死してしまった奥さんの、その後に発生する煩わしい出来事のお話
    義両親との関係、夫の死による日常の変化、夫の浮気疑惑、見知らぬ女性への援助の事実発覚等々

    夫の家が名家を自称する家柄ってのもあって、義両親がうざく思う部分がちらほら
    ま、フィクションで描かれる定番っちゃぁ定番だけど

    あと、田舎であるが故の煩わしさもある
    どこで誰が見てるのか、巡り巡って伝わってたりね

    最近のメルカリで離婚届が売られているとかって理由にも通じる、田舎特有の監視体制がね……
    「姻族関係終了届」を「死後離婚」とかって表現してる人もいるようだ
    作中でも言う人がいるように、「良い嫁」って表現がどんな解釈をしても好意的には受け入れられないなぁ
    子供に対して「良い子」って言うのは「自分にとって都合の良い子」の略というのと同じかな
    自分にとって都合のいい事をしてくれるかどうかってだけで、それを一般的な規範で語られてもねぇ
    ま、それは逆に嫁側が舅姑を評する言葉でも同じだけどね



    面白い発想だなと思ったのが、旅館の女将の餃子が焼きか蒸しかというエピソード
    これ、雑誌で読んだときに僕は気づく派だな、多分
    世の中、気づかない人は結構いそう


    夫婦のあり方とか、お互いの本音と口に出す事の違いとか
    もっと早くこの本を読んでたら、今の状況が変わったのかな?とか思わないでもないけど
    でも、以前に読んでいても、今とは違った感想を持っただろうからこの仮定は意味ないな



    一番よかったのが、お父さんが助けてくれるときの方針かな
    相手を否定するような事は言わない
    でも、自分の気持ちは伝える
    というところ

    日常でも誰かに何かして欲しい事や頼み事をする事もあるけど
    何をして欲しいかを言ってしまうと角が立つ事あるよね
    その判断基準として、「相手を否定していないか?」を考えるとうまく伝えられるかもしれない
    ただ、気持ちだけ言っても相手が読み取ってくれなかったり、見当違いの方に解釈してしまうので万能ではないんだろうけどね
    でもまぁ、手段の一つとして持っておくのはいいと思う

    この物語には根っからの悪人はいない

    義両親にしたって認識の違いであって悪意ではない
    昔、何かのドラマで「お嫁さんと仲が悪くなりたい母親なんっていない」というような台詞があった気がする
    そう、出発点は悪意ではないんだよ
    でも、それぞれの常識や認識の違い、お互いに望んでいることのすれ違いによって生じる感情が厄介

    いや、ホント、結婚ってめんどくさいよなぁ

全178件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

垣谷美雨の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×