盤上の向日葵(下) (中公文庫 ゆ 6-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.91
  • (186)
  • (337)
  • (198)
  • (25)
  • (2)
本棚登録 : 2626
感想 : 236
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122069411

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 上巻での人間ドラマは凄く面白く、下巻にかなり期待していました。

    しかし、下巻では将棋を賭け事とする『真剣師』という人種の心理描写が多く、物語の軸になる人物の出生に関わる大きな秘密が明らかになっても表現内容としてはかなり淡白だったと思います。

    時代背景は昭和から平成初期に掛けて描かれていますが、そこはかなり上手に描かれていたと思いますし、将棋に限らず、1つの物事に命を掛けて打ち込んだ人間の描写は素晴らしいと思いました。

  • 展開力と、自分と戦う描写が素晴らしかったです。

  • 長い作品なのにどこも省けない…何となく展開もわかっているのに目が離せない…

    登場人物の純粋さ、優しさ、ずるさ、滑稽さ…

    柚月さんの繊細さと無骨さがとても良いバランスで表れていて、読終わるまでその世界観に没頭したい1冊でした

  • 白骨遺体と将棋の駒、過去と現在が交錯する物語の下巻。とにかく刑事にも棋士にも感情移入してしまって、佐野くん頑張れ粘れ、上条勝ってくれ、もうええやん白骨なんて、とグルグルしてしまう。どっちも好きになってしまいもう両方にとって良い結末があれば良い、と祈りながら読み進める。過去と現在の対局に揺れ動き、そして向日葵の行方に呆然とする。兎に角引き込まれた。

  • 佳介が可哀想でならなかった。
    子供自体も可哀想なのに、大人になっても毒親に食い散らかされるなんて。
    とはいえ予想通りの展開ではあった。
    将棋の知識がまったくない私には将棋試合場面になると辛く、読み飛ばしてしまう部分はあったけど、将棋の世界が鬼の棲家で想像を絶するのは理解できた。

  • 慈雨以来の柚月さん
    私はやはり警察小説が好きだ。
    終わり方が衝撃的過ぎて
    えー!どうしてー!と又戻って読んでみたりして…
    上条が好きな将棋で活躍する姿をもっとみたかったです。

  • 読み終わった後、余韻に浸っていました。下巻の中盤から、やっと遺体の身元や容疑者が浮上!もしかして!?と最悪な場面を想像しながら読むと、、、切ない真実が判明しました。読み終えた後、題名の奥深さにジーンときました。
    いやぁ、柚月さんは読者を引き込むのがうますぎますね!構成の完成度には感服です!!

    • もちっちさん
      好きな作家さんなんやね!題名の意味が最後に分かるんや〜!奥の深い作品やね!
      好きな作家さんなんやね!題名の意味が最後に分かるんや〜!奥の深い作品やね!
      2021/03/12
    • あんころ餅さん
      うん!好きな作家さん!文章も読みやすいし、専門知識の幅も広くて、すごく下調べして書いてるやろうなっていうのが伝わる(^o^)
      うん!好きな作家さん!文章も読みやすいし、専門知識の幅も広くて、すごく下調べして書いてるやろうなっていうのが伝わる(^o^)
      2021/03/12
  • 読み終わったとき、盤上の向日葵というタイトルの意味を考えると切なくなった。
    人生は配られたカードで勝負するしかない、まさに過酷な環境にありながら、その中で懸命に生きる桂介の幸せを願わずにはいられなかった。
    だけど次第に運命に飲み込まれていく。

    異なる視点から描かれていて、次の展開が気になり、次々とページをめくりたくなるテンポよく読めるストーリーで面白かった。
    ただ、佐野の話はこれで終わり?って不完全燃焼でした。 

  • 薄汚くて酒臭くて卑怯で穢らしいくせに、どうしようもなく惹きつけられる靭さを持ちあわせる。
    相変わらず柚月さんは、こういう男を書くのがうまい。

    どこまでも異端の棋士二人、このような終わりになるのは必定だったかもしれない。
    特に天木山での一幕は読んでいて震えた。

    終盤明かされた出生の秘密、そりゃあショックだわ。
    ただ、こんな設定必要かよとも思ってしまった。これ抜きでも彼の人生、充分悲惨だったろ。
    彼がその事実に呑み込まれ、ここへ至るまでの自分の何もかもをその一点に繋げてしまうのは見ていてとてもやるせない気持ちになった。

    タイトルにつなげる設定としては必須だろう。
    勿論、作品としてはその方が見栄えがするが、たとえ盤上に向日葵が咲かなくても、それまでの描写で彼の尋常ではない強さを描けていたと思うし、少年の日から見えていたならともかく、終盤急に向日葵が咲き出すから、なんだかチートくさくなってしまった。

    唐沢氏の目線で上条桂介という一人の少年の人生を思うと、コロコロと転がりおちてしまった彼の人生を、最後のホームで拾いあげてやりたいと思ってしまった。
    あまりに哀れである。

  • 将棋のことはよくわからないけど、将棋に関する小説は大好きです。「将棋の子」「聖の青春」「泣き虫しょったんの奇跡」・・・。この小説もとても面白く読ませてもらった。幼少期の桂介と唐沢夫妻の場面は切なくてホロリとさせられます。真剣師、東明もなんだか魅力的な男です。鬼殺しのジュウケイか・・・

全236件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×