女王の矢: 新訳 (C・NovelsFantasia ら 1-1 ヴァルデマールの使者)
- 中央公論新社 (2007年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784125009995
作品紹介・あらすじ
厳格な規律を守り、辺境で暮らす砦族。抑圧された生活の中で少女タリアにただひとつ許されたのは、"使者"が活躍する本を読み、仲間になる日を夢想することだった。その夢すら奪われ、意に染まぬ結婚を強いられそうになったとき、"使者"とはぐれた"共に歩むもの"が目の前に現れた!タリアは"使者学院"に向かう決意をする。自らの運命に立ち向かう少女の戦いがいま始まる。
感想・レビュー・書評
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(15-51) 何度目かの再読。最初に読んだヴァルデマールでもある。
最近中央公論新社のシリーズを出版順でなく「追放者の矜持」「追放者の機略」「盗人の報復」そして本書と物語の年代順に読んでいる。
この本は作者の長篇第一作で原作は1987年出版。引き込んで読ませる力は最初から持ってる人だ。ここから物語は過去と未来に広がっていったのかと思うと感慨深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
続編の<a href=http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4125010285>宿縁の矢</a>を読み、その妙訳に感嘆しました。
その澤田澄江氏が本作を訳したと聞いて、購入を決めました。
そして、その期待は裏切られるどころか、期待以上でした。
内容については、<a href=http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4390113682>笠井道子氏が訳されたものを読んだ感想</a>に書きました。
で、そこで書いたいろんな難点は、ことごとく解消されていると思います。
まあ、三部作全部を訳してから出せ、なんて馬鹿みたいなことも書いてましたが・・・。
山口氏の訳がやはり素晴らしいのですが、澤田氏の訳も素敵だと改めて実感しました。
<ヴァルデマールの使者>は、他の作品とはちょっと毛色が違う感じを受けています。
だからこそ、このseriesを別の訳で読むというのも有りだな、と。
そして改めて、いい話だよなあ、と。
特に、エルスペスのところはもう読むたびにグッときます。
それほど多くの頁を割かれていないにも関わらず。
その、愛情に充ち満ちた一つ一つの場面に心打たれます。
Lackeyの紡ぐ物語は、本当に優しいなあと、やっぱり思いました。
甘ったるい、上辺だけの優しさではなく。
厳しい冷徹さの陰に隠された、心からの暖かい優しさ。
その厳しさがあるからこそ、優しさの暖かさに心が震えるのです。
これが、fantasyというものが持っている魅力なんだよな、と思います。
後書きによれば、
<blockquote>これまでに70冊以上の著作を世に送り出しています。本書は長編作品としては作者の記念すべき第一作に当たり、1978年に出版されました。</blockquote>とのことです。
これだけの素晴らしい作品が、ほとんど訳されずにいる、という現実。
Fantasy愛好者として、ただただ悲しいと思う次第です。
日本でも、もっともっとハイ・ファンタジィの読者人口が増えればいいな。
本当に、そう心から願う毎日です。
<a href=http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4390113682>前回書いた感想</a>に引用した笠井道子氏の後書きを、もう一度再掲しておきます。
<blockquote>「ああ、子供向けのファンタジー小説か」と、せっかく手にしたこの本を書棚にもどそうとした人はいませんか?確かに、本書は架空の世界の架空のできごとを描いたファンタジーです。でも、どうかファンタジーすなわち子供のためのお伽話だ、なんて一言でかたづけないでほしいんです。中学生、高校生のみなさんはもちろん、大学生のあなたも、少年少女の頃をなつかしむだけとなってしまったあなたも、ちょっとこの本を開いてみてください。きっとタリアやローランや、ヴァルデマール王国のすてきな仲間たちと出会えるはずです。</blockquote> -
8:初のマーセデス・ラッキー。ザのつく長編ファンタジーで、多少設定に追いつけないこともあったけど、すごく面白かった。訳が合ったので、すらすら読めました。海外作品で一番難しいのは訳者さんと合うか合わないかだと思うので……。
ヴァルデマールシリーズという大作を書かれているそうなのですが、表紙イラストが雄弁に語るようにキャラクタが立ってて、そういう意味でも取っつきやすかったです。話の内容はといえば、本当に序盤の序盤、というところなのですが、続きを読むのが楽しみです。「砦族」の設定や、登場人物が割とあっさり死んでいくところを見ると、「銀英伝」のシビアさを思い出さないでもないのですが……。早く予約が回ってこないかな。 -
ようやくヴァルデマール本国のお話に手が届いた感じです。図書館で借りました。絵が先にあるとイメージが固定してしまうのでなるべく見ないようにして読み終わってから口絵を見てみました。ナルホドと思ったり思わなかったり。個人的には絵の人物紹介より文章の人物紹介が欲しかった…(なじみの無い名前が多いのでなかなか一気に覚えられないので…)
女性に対する蔑視の残る辺境から女の子が選ばれて中央に出てくる…ってパターン何かで読んだな~そうか、マッキャフリィのDragonsong(多分)か、と思いだしました。懐かしい。もう一度引っ張り出して読み返そうかな~シリーズ全部。(今度は楽なので日本語で読もう)
世界観を作り上げて行くのが上手だなあと思いました。学院に入ってしまってからはそれなりに平穏で彼女も為すべきことを成し遂げて行く感じでしたが。とりあえず次の巻が楽しみです。 -
以前、社会思想社から出ていて長らく絶版になっていたものの復刊+続刊。
前のは翻訳が1巻のみで、続編の「宿縁の矢」「天翔の矢」はなかった。
中央公論新社GJ!C・NOVELSだし、イラストも変わってかなりラノベっぽくなった。
ヴァルデマール王国シリーズ、今回は東京創元社から出ている「宿命の囁き」の中でもちょっと出てきた「君主補佐」タリアのお話。
惨めな境遇の女の子が、実は特別な才能があって魔法(?)学校に入学、とまるでハリポタのような展開だけど読み終わるのが惜しいくらい
楽しく読めた。ヴァルデマールシリーズでは一番読みやすい本かも。
この作者は描写が得意だからか、キャラでも世界観でも深く味わえる。
極上のファンタジー。 -
再読ー。
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やっぱりアン・マキャの系譜を継いでいるだけあるマーセデス・ラッキー! 生まれ育った世界では自分だけが浮いてて異端な主人公が、ひょんなことから見出されたり選ばれたりして出世街道まっしぐらの王道話だったので、読んでいて「あれ、これ、アンマキャ?」と思ってしまったぐらい。
……でも、それがいいんだなあ。主人公タリアと一緒にキーキーしたり、喜んだり、いつもながら外界から来た主人公が魅力溢れる新しい世界に馴染んでいく過程というのは本当に楽しい。
今回の舞台はヴァルデマールの『使者』たちの学院の話で、ちょうど現在刊行中の『最後の魔法使徒』シリーズでも出てきた学院から、だいぶ時代の下がった学院と女王補佐という特殊な『使者』の仕事についての詳しい記述に触れることができる。
2巻、3巻と続く中で『使者』が実際にどんな仕事をしているのか、魔法が失われた後で『使者』がどんな力を使うことが出来るのか、ヴァニエルの時代より若干現実みの増したヴァルデマールも、また新たな発見だらけです。3巻はだいぶヘヴィな展開なのでハンカチの用意が必要かも。 -
使者ってすごいなあ。
さすが選ばれてるだけある。
周りの人もいい人ばかりで幼い少女がタリアの成長がすごい。
このまま幸せになってほしいな -
ヴァルデマール王国シリーズの一作目。
新訳で登場。