高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150105686

感想・レビュー・書評

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  • リドスコのドラマの方は1話でやめてしまい…
    本は読み切ることできてよかった!

    ちょっと思った内容と違ったけど、、
    ドラマでは自由の女神の破壊シーンとかあるのか笑

  • 第2次大戦が枢軸国の勝利で終わったif世界が描かれる.その世界では,連合国が勝利する世界が描かれたフィクション本が人気となっているという入れ子構造で語られつつ,段々とifの世界のif本が実は真実であることに辿り着き物語は終焉を迎える.二重構造を駆使した世界観を使い,信じるものの真実性は決して受動的では成立しない,群体としてではなく個体としての人の有り様が物語られる.

  • 1962年、第二次世界大戦に勝利した日本とドイツはアメリカを分割占領され、太平洋側は日本の統治下に置かれた。日本統治の影響で中国由来の『易経』が普及し、日本人アメリカ人を問わず多くの人が易により物事を判断するようになっている。さらには「第二次大戦に連合国側が勝っていたら」という内容の小説が評判を呼んでいた。

    アメリカ古美術商のロバート・チルダン、通商代表団の田上信輔、贋作工場で働くフランク・フリンク、フランクの元妻・ジュリアナ、プラスチック産業のビジネスをするバイネス、イタリア人トラック運転手のジョーなど、さまざまな人の物語が交互に進み、そこにドイツ政府の思惑も交錯する。

    もし第二次大戦で日独が勝っていたら、という歴史改変モノなのだが、あくまで登場人物の物語が中心で、大戦終結以降の政治や歴史は断片的にしか描かれていないのでその方面を期待しては肩透かしをくらう。また、各登場人物の物語も丁寧に描かれるため、小説全体の進行もゆっくりとしている。

    田上や梶浦夫妻などの日本人に対するチルダンの卑屈な心理が描かれているが、これが戦争に負けて占領されることに対する(当時の)アメリカ人の見方なのかもしれない。

  • 話がよくわからなかった。

  • アメリカの作家「フィリップ・K・ディック」の長篇SF作品『高い城の男(原題:The Man in the High Castle)』を読みました。
    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に続き、「フィリップ・K・ディック」の作品です… SF作品が続いていますね。

    -----story-------------
    〔ヒューゴー賞受賞〕
    第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、世界はいまだに日独二国の支配下にあった。
    日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が密かに読まれていた……現実と虚構との間の微妙なバランスを、緻密な構成と迫真の筆致で描いた、「フィリップ・K・ディック」の最高傑作!
    -----------------------

    1962年(昭和37年)に発表され、1963年(昭和38年)のヒューゴー賞 長編小説部門を受賞した歴史改変SF作品、、、

    第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇です。


    1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた… それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた、、、

    『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた… 日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商「ロバート・チルダン」は、上得意先である「田上信輔」に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために「田上」がいる通商代表部に向かう。

    一方、勤め先の工場をクビになった「フランク・フリンク」は、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた… 「田上」もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた……。


    作品内で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説『イナゴ身重く横たわる』が流行している点には思わずニヤリとしちゃいましたね… 日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれていましたね、、、

    逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれており対照的でした… ちなみに、イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情するという役回りでした。

    興味深い仕掛けだし、好きなジャンルなんですが… なんだか読み辛かったんですよねー

    嫌いじゃないんですけどねー 感情移入し難かったですね。


    以下、主な登場人物です。

    「ロバート・チルダン」
     アメリカ太平洋岸連邦で「アメリカ美術工芸品商会」を経営する古美術商。

    「フランク・フリンク」
     太平洋岸連邦の工芸職人。ユダヤ系アメリカ人。本名は「フランク・フィンク」。
     合衆国の軍人としてアメリカ本土決戦で枢軸軍と戦った過去を持つ。

    「ジュリアナ・フリンク」
     フランクの妻。美しい風貌をした黒髪の女性。
     フランクの貧しい生活に嫌気が差して別居。

    「ジョー・チナデーラ」
     イタリア国籍の退役軍人。北イタリアのミラノ出身。
     出稼ぎ目的の移民として合衆国に滞在。
     貨物運搬の用心棒としてロッキー山脈連邦を訪れた際にフリンクと知り合う。

    「田上信輔」
     太平洋岸連邦の第一通商代表団の代表を務める日本人官僚。
     日本政府からバイネスの素性を探ることを命令されている。

    「ポール・梶浦」
     太平洋岸連邦の不遇地域生活水準向上調査委員会の日本人職員。
     美術品愛好家で、チルダンの店の常連客。

    「ベティ・梶浦」
     ポールの妻。浅黒い肌に艶やかな黒髪をした女性。

    「手崎」
     元日本軍参謀総長の老将軍。軍部の宇宙進出推進派。
     「矢田部信次郎」の偽名を使い、サンフランシスコを訪れる。

    「府馬五十雄(ふま いそお)」
     原日本陸軍の退役少佐。
     旧アメリカ美術品の収集家。

    「エフレイキアン」
     第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。

    「ラムジー」
     第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。アメリカ系白人の男性。

    「ルドルフ・ヴェゲナー」
     ドイツ国防軍情報部の大尉。
     ドイツ国内の要人の密命を受け、スウェーデン人実業家「バイネス」の偽名を使いサンフランシスコを訪れる。

    「フーゴー・ライス」
     サンフランシスコ駐在ドイツ帝国領事を務める男爵。
     SS名誉少佐の階級を持ち、形式上メーレの指揮下にある。

    「ブルーノ・クロイツ・フォン・メーレ」
     太平洋岸連邦のSD地方長官。
     ハイドリヒ暗殺計画を阻止したことで目をかけられ、SD内での地位を確立する。

    「アレックス・ロッツェ」
     ドイツ人芸術家。個展を開くためサンフランシスコを訪れる。

    「ウインダム=マトスン」
     WMコーポレーションの社長。フランクの雇い主。

    「エド・マッカーシー」
     ウインダム=マストンが経営する工場の現場監督で、フランクの友人。
     フランクとともにエドフランク宝飾工房を起業する。

    「レイ・キャルヴィン」
     サンフランシスコで一・二を争う卸売業者。
     ウインダム=マストンが製造する模造品を取扱い、チルダンと取引をしている。

    「ホーソーン・アベンゼン」
     『イナゴ身重く横たわる』の作者。
     通称「高い城の男」。
     第二次世界大戦ではアメリカ海兵隊の軍曹としてイギリス戦線に従軍した。
     現在はロッキー山脈連邦のシャイアンにある山奥の要塞(通称「高い城」)で暮らしている。

    「キャロライン・アベンゼン」
     ホーソーンの妻。灰色の目をした赤茶色の髪のアイルランド系女性。

  • わかったようなわかんないような
    不思議な読後感なのですが
    読んでいるときは妙におもしろい。
    久しぶりに読んだけど
    そういえばディックって私にとっては
    そういう作家だったっけ。

    日本とドイツが第二次大戦に勝った
    架空の世界が舞台なのですが
    日本人の田上が主要な役どころで
    これが今読んでも「あ、なんか日本人」
    思考回路とか、ちょっとした行動とか。
    すごいな、ディック御大(笑)

    敗戦国となったアメリカで
    新しい製品作りに取り組むフリンクや
    少しずつプライドを取り戻していく
    田上御用達の骨董品店長チルダンの姿が
    現実日本の戦後復興期に踏ん張った
    人々の写し身のように思えた。

  • 時代設定は発表と同じ頃か。第二次世界大戦は枢軸国の勝利で終わっていて、アメリカは日本統治の太平洋連邦、ドイツ統治の東海岸、そして中間にロッキー山脈連邦ができている。ドイツは火星にも進出している。そんな世界で、サンフランシスコで骨董品店を営むロバート・チルダン、チルダンが売り込もうとする日本人田上、偽骨董銃を作ろうとするフランク、フランクの元妻ジュリアナ、スウェーデン人芸術家と名乗るロッツェ、などがそれぞれの生活を営む。

    彼らの間で密かに話題になっているのが「イナゴ身重く横たわる」という小説で、これはアメリカ、イギリスが勝利した世界を描いているものなのだ。

    アメリカ人が書きアメリカで発表するのに、この「現実の勝利国」の設定の本を登場させバランスをとったのか、などと思った。ジュリアナの今の恋人ジョーは「戦争が終わるとアメリカとイギリスが世界を山分けする。ちょうど現実の世界でドイツと日本が山分けしたようにな」とまだ読んでないジュリアナに本を説明する。・・どっちが勝っても勝者が敗者を支配する、という世界をディックは示したのか。

    サンフランシスコのアメリカ人、どうにも日本人の価値観にはなじめないし、底では認めていない。ディックの日本人の表現も「黄色いチビども」とある。

    そんな中ドイツのボルマン首相が死亡する。ヒトラーは死んだ設定だが、ゲッペルス、ゲーリンクなどは生きていて、次の首相は誰になるかドイツはかたずをのむ。ジュリアナはバルドゥール・フォン・シーラッハが唯一まともな顔をしている、しかし次期首相にはなれる見込みはないわね、という。・・ここで驚き。少し前にこのシーラッハの孫のフェルディナンド・シーラッハの小説を読んだのだった。祖父のシーラッハはニュルンベルグ裁判で有罪になり1966年に出所、とあるのでこの小説の時点では服役中。


    転倒小説「イナゴ」の作者は「高い城」に住んでいると言われ、ジュリアナは作家に会いに行く。

    「高い城の男」は発表の翌年1963年のヒューゴ賞。・・十分には理解できなかった。




    1962発表
    1984.7.31発行 1993.3.31第15刷 図書館

  • 易経にうんざり。

  • ちょっと難しいかもしれませんが、新しい視点ではみれます。めっちゃおすすめかと言われると、そこまで薦める感じではないですね。
    暇があったら読んでみたらどうでしょうか。

  • その視点があったか
    という視点だが今ひとつ入り込めず
    ただ再読して感想が異なるかもなので一旦評価なし

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