- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150309046
感想・レビュー・書評
-
あまり海外文学に詳しくないので、海外の作品をよく紹介してくれるラジオ「空飛び猫たち」を参考に選書しています。
https://www.instagram.com/radiocatwings/
たまーに日本の作品の紹介があり、こちらはそのうちの一つ。小川一水さんは、以前読んだアリスマ王の作品が本当によかったので、選びました。
SFの真骨頂という感じの、ヒストリカルイフ、タイムトラベル、ターミネーター、クロノ・トリガー、シュタゲを凝縮(最高)。
3世紀、邪馬台国の女王卑弥呼を襲う謎の増殖型戦闘機械軍、ET。ETは未来26世紀の世界を滅ぼしただけでなく、人類の完全殲滅を目論んで過去にまで出現するのであった。それを阻止すべく作られたのは、人形AIのメッセンジャー。メッセンジャーは絶望的とも言える充満年の時間遡行の旅へ。そして卑弥呼(彌与)とメッセンジャーのオーヴィルは出会う。
歴史のイメージだと、御簾の中からは出たことがなさそうな卑弥呼さまも、この世界線では前線に出て戦うかっこいい女王です。そしてメッセンジャーオーヴィルの心にずっといるのは、26世紀においての恋人サヤカ。彼は何百との戦いを経て、疲弊しきっているが、決して諦めていない。そういう話ではないけど、影のあるイケメンに弱いもんですよね…。
迫力のあるバトルと、そのアイデア力に感服する一作です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
26世紀から何度も過去へ渡るメッセンジャーと、卑弥呼の出会い。そして、共闘の記録。
2つの視点が交互に語られる中で、過去へ遡行しているけど、いずれも未来への希望が感じられ、追い詰められていくのも不安にはならない。不思議な時間感覚を体験できた。
足掻いて、足掻いて、足掻いた先に、動かした心が、未来を開く。 -
時間SF。
卑弥呼が主人公として活躍するSF。斬新。
読みやすく、面白いが、なかなか悲しい。
未来の人類が過去に行けるようになったが…、過去の世界で戦争をするとなると、技術力・資源・情報など問題は山積。想像力が試されて楽しい。
個人的に、面白いだけに、もう少しボリュームがあっても良かった。
ET側の立場からの視点も1章くらい観たかった気もする。 -
時間を遡りながらの長い戦いのはなし。映像的な文章ですごくよかった。戦士としての矜持や自負のためではなく、愛した女のために何万年も戦い続ける知性体。そして、その感情を受けとった人間が自らの力で立ちあがる瞬間に目頭が熱くなった。
-
時砂の王
210722読了。
今年35冊目今月2冊目。
#読了
#時砂の王
#小川一水
超久し振りのSF。
とあるポッドキャストで評判を聞いて。
スケール感とページ数の薄さから、密度が濃い。
そうだった、SFというのはかくも世界観に浸れるものであった。
時間遡行を繰り返しながらの攻防戦。
卑弥呼や魏志倭人伝に、その発想を持ち込む、というのが秀逸。
-
何かでオススメされていて、卑弥呼が戦うSF?なんだそれは面白そう、ということで購入。
かなり詳しく書かれたレビューが沢山あるので、あらすじ諸々はそちらに任せます(笑)
人類を手っ取り早く滅ぼすためには、時間軸を遡って、大した戦力を持たない時代に暴れれば楽だということですかね。
クロノトリガーというゲームで、未来で宝箱取ったり敵を倒しても、過去の時代に行くと、まだ生きている(残っている)っていうのをなぜか思い出した。
時間を使ったお話としては面白いのだけど。
時間超越をして卑弥呼の世界に現れたメッセンジャーOが、どのような使命を負って動いてきたのかが書かれたパートについては、感情移入がしにくかった。
人が有する感情の物語、として分かりやすく読みたかったのかもしれない。 -
たった270ページに、紀元前10万年から西暦26世紀の時間と、2000億人の死を詰め込むなんて、小川一水以外にできるでしょうかあ!
人類殲滅に襲いくる異星機械群と、究極知性…UIだな…を中心とした軍人ベースの知性体サブユニットたちが、時間を遡行して当時の人類の資源と科学を駆使しつつ闘い続ける。そのギリギリの砦、邪馬台国での舞台作りもお見事。ロマンスも詰め込んで…これ『天冥の標』くらい長くすることもできたろうなー。それを1冊に、しかも書き下ろすってすっごいなー。
主人公オーヴィルは、ジャンプラでやってる『Heart Gear』のアンドロイド戦士と重ねて読みました