- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150502225
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
品が良くて楽しく読める動物エッセイ。ノーベル賞までもらった学者さんなのだが、鳥だネズミだアクアリウムだとそれはもう種々雑多な動物たちと暮らしており、ほとんどムツゴロウっぽい。昔のおおらかさがいい感じ。
最近の動物に関する研究でローレンツの系列に繋がりうるのはここらへんかな、と思い、本棚にあったテンプル・グランディンの「動物感覚」を読み始めた。 -
動物とここまで意思疎通を図り信頼しあえるって楽しいこと。
-
1900年代前半に、ほぼ野生状態の動物と共に過ごしたすごい動物行動学を成立した人の自伝的なやつ。
実際にその人が体験したエピソードがてんこ盛りでとてもおもしろい。ガンの鳴き声を把握して会話できてるのがもはやおとぎ話かのよう。
そこらの沼から水をひとすくいしてアクアリウムを作るという話を読んで自分もやりたくなったが、今はそんな池や沼なさそうなんだよなぁ…
肉食動物は、うなり合うだけで実際に殺し合ったり、弱い相手を殺すまで戦うということはなく、勝敗が決まった段階でもう争いは止まるものだが、ハトなど、相手を傷つける力を持たず、逃げ出す力を持つ動物を檻の中など「逃げられない環境」に置くと、弱いほうがいじめ殺されるという、平和の使者ならぬことになる。
というエピソードがとてもおもしろかった。 -
ここまで動物と語り合える、信頼しあえるって素晴らしい。
動物を飼うっていうより動物とともに暮らす。
動物がなぜ人の心や動きがわかるか、それは人間が知らず知らずに教えているから。
人は動物ほどには人のことがわからない気がしてきた。 -
動物の生態。それらをただ客観的に調べるだけでなく彼らの気持ちにも寄り添うそんな姿勢の研究に感銘を受けた
-
動物と著者のエピソードがふんだんに綴られている。
おもしろいと感じるエピソードも、笑うことではなく、動物にとってはごく当たり前な事と思うと野性を人間の生活に連れ込むのは大変な事だと改めて確認。 -
ヒヨコが生まれて初めて見た動くものを親だと思う「刷り込み」の概念を確立したという学者の著書。様々な動物(ペットではない)と一緒に暮らし、その実際の行動をつぶさに観察している。
様々な記録が盛り沢山だが、動物の種による行動について特に細かい。中でも凶悪獰猛なイメージである肉食獣・オオカミに騎士道精神が備わっており、か弱くて大人しいイメージのウサギやシカは相手が両手を挙げてもこれ幸いに弱点を攻撃しまくり死ぬまで戦う、というエピソードが面白かった。人間のイメージというのは実に勝手なものである。
あとイラストがかわいかった。線が細いがしっかりしててトーンの貼っていないリアルなイラストである。 -
副題にある通り、動物行動学入門としての名著中の名著。
学者らしく教養深く、かつ、自然動物への愛にあふれた文章に満ちている。
科学的な姿勢と、ユーモアあふれる詩情豊かな表現が両立する事を教えてくれる。
科学者のエッセイや文章というと、高度に知的である人の書くものでとっつき難いかもと思ってしまう。でも、この本はとても読みやすい。愛情深く自然と生き物に寄り添い、その自然のままの姿を愛するローレンツの文章は、特に泣かせにかかっているわけでもないのに、自然と涙が浮かんできた。ハイイロガンのマルティナの話は、とくに。
ソロモン王の指環が無くても、動物を理解する事は出来るのだ。