長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 7-1)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150704513

感想・レビュー・書評

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  • フィリップ・マーロウの魅力的な人柄に尽きる。そして、チャンドラーの章ごとのシニカルな一言がほどよくスパイシーで、終いにはそれを求めている自分がいることに気がつく。名作と呼ばれるだけのことのある作品。さて、次は「プレイバック」を読むことにしよう…。

  • 会話が難解で、サラッと読むだけだと意味が全くわからない。だがそこがいい。

    一旦納得させてからひっくり返すんじゃなく、必ず矛盾点をチラつかせ、まだ何かある…いやまだある…と繋いでいくので、カタルシスはそれほどでもなかった。ラストは予想外だったが。

  • 何かを隠すということは本当に難しいものだと思った。人を殺したこと、殺した人を知っていること、自分が殺したのではないこと、自殺したこと、自殺しなかったこと、すべてが苦労に苦労を重ねられて隠されようとしていたが、どこかしらから誰かしらに見つかっている。
    だが、単に悪いことはできないねという話ではなかったと思う。まず、何か「悪い」ことなのかがはっきりしないと思う。イギリスで会ったことか、結婚したことか、行方不明になったことか、忘れられなかったことか、金を持っていることか、道徳がわからないことか、首を突っ込んだことか、首を突っ込まなかったことか、いったい何が誰が悪い「から」こうなったのだろうと考えてみて、結局は社会が悪いからだとしてしまえば済むようには思うが、「社会」ではそれぞれがそれぞれの考えで生きているのだから、つまりは「長いお別れ」をすることになってしまったのは仕方がなかったことだ、どうしようもなかったのだとしか結論づけられないことになってしまうように思う。
    しかし、本当にどうしようもなかったのかと考えてみると、いやほかの方法はあったのではないかとか、一言あれば違ったのではなど、他人目線でなら思えはする。
    社会の中で、すべてを正直にして生きることはできないはずである。名前を言わないでおくとか、気持ちをごまかすとかはぐらかすとか、その時の一瞬のうちに当たり前に行なっていることである。なら、「ほかの方法」も「一言」も、あったかもしれないがなかったのがその時の「正解」であり、そうでなければまた別の何かが起こっていたかもしれない。
    「金にならないこと」を考えてばかりで、そのおかげで隠された何かに気づく主人公マーロウも、こういうことを考えたりもしたのではないかと思っている。

  • 村上春樹訳
    長編ミステリー読んだの初めてだけど楽しめました。
    エピローグ難しかったけど読み応えあって私みたいにただただ読んでた身としては、なかなか言語化できないこの作品の魅力を伝えていた。
    そして、フィリップマーロウが最高に魅力的なので他のシリーズも読んでみたいと思った。
    ミステリーとして楽しむのはもちろんだけど、人間関係とか当時のアメリカの空気感、ジャンルの枠を超えて評価されるべき作品だとかんじた
    あと、個人的に寝る時にみる夢で作品をみるとかなり没頭してると捉えてるんだけど、今回はそれでした。夢にでてきました。こういうオールドアメリカの世界観に弱い

  • ボリューミーな物語とマーロウの格好良さ全開の一冊だった。
    あの名言の元ネタが本書とは…
    自分の無知が恥ずかしいと思った。
    春樹さんが翻訳した版も読んでみたいな~♪

  • 翻訳本の中では、わたしの最も好きな本。

    レイモンドチャンドラーの魅力は、その個性的な登場人物と味わい深い会話。どのページから開いても独特な空気感を味わうことができ、何度読んでも飽きません。
    村上春樹訳も清水俊二訳好きですが、装丁は古くからある清水さんの方が好きです。
    物語終盤の「ギムレットには早すぎるね」が決め台詞。

    あいにくとギムレットの味がよくはわかりませんが、まあ、とりあえずやられちゃいますね。

  • ハードボイルド特有の?小粋な会話にはなかなかついて行けず、でした。腹の探り合いで火花を散らしてるんだろうなぁ、と思いながら、そこが上手く掴めない……。訳されたのが古いので、日本語自体が少し変化しているのかも。
    比喩に使われる、あちらの人には常識的な(多分)言い回しにも慣れてなかったので。
    それでも。全く関係なさそうな出来事が最後に繋がって。
    この本は色んな人が訳しているようなので読み比べるのも面白いかも

  • チャンドラーを初めて読んだ。
    全体としてミステリ仕立てであり、二転三転する展開はそれなりに楽しませてくれるが、女性観がひどく、特に被害者である富豪の二女への情け容赦のなさには、時代状況を考えても嫌な気分になった。この女性に対しては「性の放蕩者」であることを責めているのだが、後半、主人公が夫のいる女性と何の罪悪感もなく性行為をするため、「お前が言うな」と思わされる。
    富豪の二女を殺した犯人に仕立て上げられる銀髪の男について、主人公が並みならぬ友情を抱いており、それが恋情に近いもののように思われる部分だけがクィア的で読みどころ。

  • 村上訳と比べたくて読んだが勿論こちらも素敵だった。わかったのはムラカミさんのが春樹節ではまったく無かったこと。
    でも何もかもわかった上で別の訳者さんの本を読むのはなかなか時間がかかりました。

    おふたりの訳本を読み比べても長いお別れはマーロウのカッコ良さが溢れまくりで、最後は本当に長いお別れで終わる切なさよ。

    情景もまざまざと浮かぶし、古い作品だけど今の時代に読んでも少しも色褪せてない。とても面白い本でした。

  • 何度も咀嚼して読むことで味が出そうな小説。ただストーリーを追うだけで読み進めた自分には途中間延びしたところがあったりでテンポが悪く感じる。
    物語のキーマンであるテリーとの友情が唐突な気がしたり、何故にリンダローリングと寝ることになるのか、その夫である医師は曲者だけど話の筋にはほぼ関わらないひとだったりと納得出来ないところがあるが再読で納得できるのかも。
    タイトルはテリーとのお別れがしばらく経ってもう一度訪れるから、と解釈していいのかな。であれば最後まで読まないと合点できないタイトルで好きです。

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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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