解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151718540

感想・レビュー・書評

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  • 終始暗い話。洋書独特の皮肉交じりの会話と、勿体ぶった伏線。

  • 幼少期の出来事で、聞こえるけど喋れなくなった少年が雇われ解錠師として犯罪に関わっていく回顧録の話。
    解錠時の緊張感や細かな心理描写が不十分だし、番号合わせる動作など淡々としてるせいか、タイトルは解錠師なのに内容がこんなに薄いのかと思ってしまった。
    想像してたのと違い残念でした。

  • 最近、ミステリーって何なんだろう?と思う。ミステリーに分類されていても、本当にそうかな?って思える作品はたくさんありますよね。ミステリーじゃなくても、最初はわからないこと・隠されたことが、徐々に解き明かされていく、という展開はあたりまえにあるものだし。

    その意味で、このお話はミステリーというよりは、ひとりの若者の、転落していく半生を描いた(一般の)物語、といえると思う。幼い頃の事件の影響でいっさい話せなくなった少年マイケルは、やがて天才的な解錠師となる。その過程と、現在の彼が囚人として過ごすことになった顛末の、二つの時間軸が交互に語られる。

    人生の岐路となるきっかけが、彼の前に次々にやってくるけれど、なんでわざわざそっちを選んじゃうの!と腕をひっつかみたくなるほどに、彼は悪い方悪い方ばかり選択してしまう。犯罪行為を環境や生い立ちのせいにしてしまうのは好きではないけれど、判断の基準とか優先順位とか、そういうものを自然に選びとれるようになるのには、必要不可欠な何か(それはたぶん幸福の体験や記憶・無条件に与えられる愛情とか)があるのかもしれないなぁと思う。彼にはどうしても守りたいものがあった。やり方は間違ってしまったけれど、その気持ちが純粋なだけに、この後、彼に幸あれと願います。

    解錠のやり方が細かく書かれているけれど、どうも具体的にイメージができなくて、鍵の仕組みが知りたくなりました。まあ、それがわかったところで、私にはどうやったって「感じ取る」ことはできないに違いないですが。

  • ロック・アーティスト、マイク。10代後半。ポケベル一つで呼び出しに応じ、どんな錠前でも速やかに開けてみせる。

    物語はマイクの独白で始まる。自分がかつて奇跡の少年と呼ばれたことがあること。現在は9年間オレンジ色のつなぎ服(囚人服)を着る境遇にあること。そして、“あの日”からずっと、言葉を、声を発していないこと。そして、“あの日”の内容が明らかにされないまま、物語は始まる。

    ストーリーは、開錠師としてマイクが仕事を始めたころから、服役するに至るまでの話と、幼いマイクが“あの日”以降、どうして開錠師になったかという話を、交互に行き来し、進行していく。

    2つの時系列を行き来させられるうちに、読者は次第に2つのストーリーに共通するキーワードについて理解を深めていく。筋立てそのものは、それほど意外性があるとか、予想を裏切るというものではないが、徐々に全体像が明らかにされていく過程そのものが十分楽しい。大体結末の見えている映画であっても、演出が良ければついつい引き込まれてしまうのに似ている。

    奇抜でなく、退屈でない。構成、見せ方で一気に読ませる作品。

  • いまいち主人公の気持ち(というか行動の必然性?)が分からず、読んでいて不安な気持ちにさせられる。ちょっと村上春樹の小説の主人公っぽい感じ?

  • 主人公が声を出せなくなる原因となった事件の後すぐの幼少期と、金庫破りとして仕事をするようになった青年期をいったりきたりしながら話が進む。話し手は刑務所にいる現在の主人公。

    犯罪に手を染めざるを得なくなるような道を選んでいくマイクルにはらはらしたり、アメリアとの恋にキュンとしたり。後半は一気に読んでしまった。主人公がなぜ絵を描くのか、冒頭部ではよくわからなかったが、話がすすむにつれそれが主人公にとっての唯一の「声」なのだと、アメリアに思いを伝えるすべだったのだと理解。

    面白かった。

  • 海外のミステリー大賞を獲ったとあるが、ミステリーとは言い難い。クライムノベルに、純愛を足した感じ。錠前破りとして育てられた主人公に、リアリティがなく、もっとストーリーに起伏が欲しかった。

  • ミステリーというより純愛小説、少年の成長物語という要素が多い気がします。
    少年の過去の出来事、それによって言葉を失ってしまったことや、秘められた才能。
    美少年、ということも読者が感情をゆすぶれるのに一役かっているのかも・・・(*^。^*)
    過去と進行形現在とが交差しながらスピード感が高められ、ほとんど一気読みでした。
    中学生にも読みこなせそうな易しい文章でと表現で、これはもうやっぱり一位ですね。
    文庫になってよかった。

  • 正直ミステリとしては首を傾げざるを得ないものの、
    少年の成長、青春物語としてはとても良く出来た作品だと思う。

    幼い頃、ある事件をきっかけに声を失ってしまった少年マイクル。
    彼には、絵を描く事と、どんな錠も開く事ができるという才能があった。
    何故声を失ったのかという事については、徐々に明かされていきます。

    やがてプロの金庫破りとなったマイクルが、とにかく格好良い!!
    クールだけど負けず嫌いで、しかも美しく成長してしまった(笑)
    金庫破りに押し入った家の少女アメリアへの淡い恋。
    絵で会話をするシーンがすごく好き。

    特筆すべきは、解錠する時の緊迫感でしょう。
    いつ人が来るか、いつ警告音が鳴るのか分からない中、
    自分の手先の感覚だけを頼りに、ナンバーを探り当てる。
    あまりにもリアル!!

  • 2013年このミステリーがすごい!の海外編1位の本作。
    このミス大賞は結構面白い作品が多いんですが、この本はハズレでした。スケールも小さく、命をかけた場面でも緊迫感がない。著者が悪いのか訳者が悪いのかは不明です。

    しかし、喋ることができない主人公は魅力的です。

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著者プロフィール

1961年、ミシガン州デトロイト生まれ。98年のデビュー作『氷の闇を越えて』は、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞、アメリカ私立探偵作家クラブ(PWA)賞の最優秀新人賞などを受賞。以後、『ウルフ・ムーンの夜』『狩りの風よ吹け』と、「探偵アレックス・マクナイト」シリーズを発表している。2009年の『解錠師』では、MWA賞最優秀長編賞、英国推理作家協会(CWA)賞スティール・ダガー賞、バリー賞、全米図書館協会のアレックス賞に輝いた。現在ニューヨーク州に在住。

「2016年 『ニック・メイソンの第二の人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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