- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151736520
感想・レビュー・書評
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乗り切れず
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第二次世界大戦の最中、13歳で少女新聞記者として働くグレッチェンは、友人バーブの母親が殺された事件の真実を追う。
13歳の少女。
時代とはいえ、新聞記者をしながら祖母の店を手伝うと言う働きぶり。
心臓の悪い祖母を気遣い、母親の急な再婚に心を乱され、恋や友情の脆さに傷つく。
なんとも健気だ。
そして自分が信じる道を進むたくましさ。
ヒロインとして魅力的。
また本筋もそんなグレッチェンをしっかり支える出来で、読み終わってからそこが伏線になっていたのねと思うことしきり。
最後、真犯人がわかる件がやや淡白なように感じたけど、概ね満足。 -
女性ジャーナリストとして成功して既に高齢になったグレッチェンの所に、故郷から一通の手紙が舞い込みます。少女時代の事件を思い出させる手紙が…
時は第二次世界大戦中の1944年夏、オクラホマの田舎町。
男性が出征して人手不足になったため、13歳のグレッチェンは少女新聞記者として働き始めました。
祖母のレストランは街道沿いで一番の美味しいものを食べさせる店でしたが、ドイツ訛りのある祖母はもう客の相手はしなくなっていた…
女性達はぱりっとした木綿のワンピースに身を包み、ほとんどは掃除の行き届いた家だけど、そうでない家もある…ありありと目に浮かぶようなリアリティがありながら、その光景はノスタルジックでどこか切ない… 幼馴染みのバーブの母フェイが殺され、軍から休暇で戻っていたバーブの父が指名手配されるという事態に。フェイが不倫していたためという噂が広まります。
絵の才能があったフェイの実像を描こうとグレッチェンは勇気をふるって記事にしますが、ふしだら女の肩を持ったと白い目で見られることになってしまいます。
バーブとその父を懸命に気遣うグレッチェンでしたが…純真な少女の体験を生き生きと伝え、意外な事件の顛末、ほろ苦いその後までを描いて、作者の落ち着いた人柄を感じさせます。
ハートはコージー系のミステリを書いてきた作家ですが、この作品はコージー系にとどまらず、ミステリファンでなくとも小説が好きなら読める質とレベルです。