ロング・グッドバイ

  • 早川書房
3.86
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  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152088000

作品紹介・あらすじ

私立探偵フィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた…大都会の孤独と死、愛と友情を謳いあげた永遠の名作が、村上春樹の翻訳により鮮やかに甦る。アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 巻き込まれ系というんでしょうか。

  • それについて何も描かないということが、それについて最も描くということになる SFもミステリもハードボイルドも群像劇もそこが好き

  • 洒落臭い感じのハードボイルド小説。本当に読んでて「これがハードボイルド小説か…」となった。
    ・「お座敷プードル」という訳のかわいさ。

  • 清水俊二氏の翻訳版を愛読していたが、新翻訳も違和感なく、良かったです。
    新訳のこのシリーズも全部読みたいなぁ。

  • 長いので高校生の時に挫折したような記憶があったのだが、今回読んでみてどこに挫折するような場所があるのか分からないくらい、とても面白かった。チャンドラーの文章には独特のリズムがあり、独特の回り道の方法があり、それに乗せられてするすると読んでいくうちに、どうにも避けがたく血なまぐさい展開へ巻き込まれていく。解説にもあったがヘミングウェイ的な全てを削ぎ落として行為だけを描いていく文章が非常に心地よかった。
    それはそれとして『ロング・グッドバイ』と『グレート・ギャツビー』の2作品を読むことで初めて、真に村上春樹の作品を捉えることができるという仕組みになっているのだと分かった。逆に言えば、『ロング・グッドバイ』と『グレート・ギャツビー』を読まずに村上春樹を読むと、背景なしでいきなり作品に体当たりすることになるので、ものすごく新しく感じるのかもしれない。村上春樹はあらゆる面でとてつもなくロング・グッドバイ的だし、ロング・グッドバイの会話などは読んでいて村上春樹の文章かと錯覚するくらいのものだった。なるほど、これを日本の純文学に持ってくることで、隘路にあった文学を再起動させたんだな。

  • さぁフィリップ・マーロウだ!
    フィリップ・マーロウと言えばハードボイルド!
    ハードボイルドと言えばフィリップ・マーロウ!
    もうハードリップ・ウイロウでいいくらいだ!(それもういいし後半名古屋名物になってるし!)

    死ぬ前に読みたいリストに挙げたハードボイルドの伝説的大家レイモンド・チャンドラーの名作中の名作3冊の内の第一弾です
    しかもあえての村上春樹さん訳を選ぶひねくれっぷり
    実は村上春樹さんそんなに好きじゃないんですがw

    もちろんハードボイルドは大好きで実は『長いお別れ』『さらば愛しき女よ』『プレイバック』も持っていたんですが(全てハヤカワ文庫)なんかもったいなくて今まで読んでなかったんです
    遠足前日のドキドキワクワクをずっと楽しんでいたい
    そんな気持ちのままいるうちに
    もうそんなこと言ってる場合じゃない年齢になってしまいましたw

    ということで手遅れになる前に
    たとえばBARで偶然知り合った私立探偵が抱える事件に巻き込まれる前に
    読んでおこうと思い立ったのです

    で読んでみて思ったこと

    マーロウとは友達になれんなこれ
    ということでした
    ただの頑固なおっさんやんw

    そしてマーロウとは友達になれませんが
    お話は凄い面白かったですね
    やっぱり
    そりゃあもうやっぱり面白かったです

    特筆すべきはチャンドラーの文章ですよね
    村上春樹さんの訳が素晴らしいのかは分からないですけど
    う〜んなんて言ったらいいのか
    物凄いアップダウンがあるわけでも物凄い曲がりくねったりしてるわけではないんです
    スピードが凄い出てるわけでもなく交通量が多いわけでもない
    かと言って平坦なだけの道ではないという
    特別な運転技術が必要なわけじゃないけどドライバーを飽きさせない
    目を奪われて釘付けになって前方不注意になるような景色ではないけど退屈なわけでもない
    先へ先へと進みたくなる
    そんな道なんですよね
    そしてそういう道なので古さも感じない

    だからかなりのボリュームなんですがあっという間に読み終えてしまいました

    未だに世界中で愛されるのも納得の一冊でした

  • 分厚くてびっくり。
    ミステリだったとわかって安心して読んだ。
    春樹節は苦手なのだけど、カポーティの短編はこの人の訳で読んでいた気がする。

    読み終わり、え、これBL、といつもの感想。
    (汗)
    テリー・レノックスのあやうい感じ、得体の知れなさ、浮遊感がなかなか見事。

    それにしても、戦争後の世界って、こんなになんでもありなんだよなあ。

    表紙がカッコよかったが、本棚にこれを置くスペースはとても作れない。

  • このシリーズを読み進めていて、『さよなら、愛しい人』と、この『ロング・グッドバイ』が特に好きです。
    最初の『大いなる眠り』からフィリップ・マーロウの魅力に取り憑かれましたが、この作品でもやっぱりフィリップ・マーロウはカッコいい。
    完璧でもなく、時には打ちのめされているのに、、、小説の中の女性たちが彼に惹かれるのもわかります。
    読み進んでいてストーリーの面白さに没頭していると、突然あの有名なセリフ達が登場し、「おっ!」とビックリするし嬉しくなりました。
    ボリュームがありますが、おもしろいのですぐに読めました。
    いろんな方に読んでほしいです。

  • 予備知識や教養がないため、時代感をなかなかつかむことができず、読み進めるのに少し時間がかかった。最後まで読んで、アッと驚いた。読み返してみてもよいかなと思った。ほかのシリーズや村上春樹さん以外の翻訳版も読んでみようかと思う。

  • 魂を現代から離れたところへいざなってくれる体験ができる本だった。
    それはワクワクドキドキ♪な気分ではなく、
    今生きている世界が虚無に感じるようなものなのだけれど。
    そうそう、まさに村上春樹作品に似ているな。

    またひとつ休日を彩る本に出会えて最高の気分。
    良本の基準点が上がってゆく感覚っていいなあ。

    ここまで驚異的作品がバンバン生み出される1920年前後。
    そのガソリンとなっているのは嫉妬心と反社心なんだろうな。
    「ほかの奴らよりいいものを生み出してやる」「こんな世の中クソ喰らえ」
    行間からそう聞こえてくる。

    現代でこういったメキメキとした熱を感じられる機会ってあまりない。芸人さんくらいかなあ。
    だから芸人さんの世界って見ていてすごく楽しい。

    現代の2021年は、ありがたいことに平和と多様な娯楽で溢れすぎているのかもしれない。


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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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