- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152095343
感想・レビュー・書評
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作者の思想にちょっとカチンとくるけど、その他はまあまあ興味深く読んだ。ミネットウォルターズ絶賛みたいな煽りがあって、ミステリ好きだから読んだけど実際にあった事件をミステリ小説風に書くのは少し悪趣味に感じてしまった。海外では流行ってるのかな。
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[大都会の沼地に、足を取られて]「六本木でホステスとして働く元英国航空の客室乗務員のイギリス人女性が、突如謎の失踪ーー」。世紀末を控えた日本でスキャンダラスに報じられたルーシー・ブラックマン事件の内幕と関係者の心の内を探ったノンフィクション作品。一次資料や関係者の資料を基にしながら、事件に潜む数々の謎に迫った一冊です。著者は、「ザ・タイムズ」紙のアジア編集長・東京支局長を務めたリチャード・ロイド・パリー。訳者は、ときに涙しながら本書の翻訳作業を完成させたという濱野大道。原題は、『People Who Eat Darkness-The True Story of a Young Woman Who Vanished from the Streets of Tokyo – and the Evil That Swallowed Her Up』。
今年読んだ本の中でも間違いなくトップクラスに入ってくる一作。加害者の闇、被害者の闇、それぞれの家族や関係者の闇、そして東京の闇……。著者の筆によりずるずると音を立てて引きずり出される漆黒の数々に、ページを繰る手が止まりませんでした。この事件のことを聞いたことがないという方を含めてぜひ一読をオススメしたいです。
20年以上に及ぶ日本における滞在歴があったからこそ書けるであろう著者の日本社会を見つめる眼差しにも感銘を受けました。絶え間ない興味や深い親近感と同時に、一歩その社会からは足を引く絶妙な間の取り方を知ることができるだけでも、本書を購入する価値があるかと。そして何より、著者のたどり着く下記の結論(それはそこだけ切り取ると奇妙に無色透明になってしまうのですが)に胸震わされました。
〜彼女は決して軽率でも愚かでもなかった。ルーシーは--安全ではあるが複雑なこの社会で--きわめて運が悪かったのだ。〜
こういう作品に会うために数々の本を読んでるんですよね☆5つ