SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5015)

  • 早川書房
3.37
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本棚登録 : 540
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350151

感想・レビュー・書評

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  • SFかつ、家族小説

  • ものすごく久しぶりに読んだSF的作品。不思議だけど、爽やかであったかい物語。

  • 訳=円城塔というかもう円城さんでしょ?って感じでした。タイムマシンから降りてくるもう1人の自分を撃ってしまい最悪のパラドックスに陥ってしまう僕といったSF展開に家族小説要素もありそして訳=円城塔。癖が強いが読んじゃうんだなぁ。

  • 書評的な宇宙で無批判に暮らすっていうこと

     チャールズ・ユーなんて知らない。これが処女長編というから、知らなくても当然だが、円城塔が初の長編翻訳していて、この珍妙なタイトル。これは買い。
     しかも時間SFである。私は時間ものが大好きであることを公言してはばからない者だが、サグラダ・ファミリアの真ん中でも公言するし、陸前高田市の奇跡の一本松の根元でも公言する。するだろう、するに違いない、したかも知れないが、しているところである。

     主人公チャールズ・ユーはタイムマシン修理屋。タイムマシンものをかなり読んできたがこういう職業ははじめてだ。しかも流しの修理屋。狭い四畳半アパートみたいなタイムマシンに乗って時間と時間の狭間の時間では無いところでひきこもっていて、修理の要請があると出向いていく。とてもとても後ろ向きな主人公である。
     そして本書は家族小説である。家族小説ってなんだかよくわからないが、本書の場合は主人公ユーが父のこと、母のことについての繰り言を延々と続ける作品である。両親はあまりいい関係ではなかった。互いに互いをわかってやれなかった。技術者の父は自宅ガレージでタイムマシンを作ろうとしており、「ぼく」もそれを手伝っていたが、タイムマシン発明者という名声を博す寸前で失敗し、父はタイムマシンのような何かを作って姿を消してしまった。「ぼく」はタイムマシンにひきこもりながら、父を見つけ出したいと思っている。
     タイムマシンの駆動原理は相当に人を食ったもので、フィクショナル・サイエンスによって駆動し、サイエンス・フィクション的な宇宙を航行するのである。とはいえ、自分自身に出会うのはタイム・パラドックスを引き起こすので避けねばならない。しかし「ぼく」は未来の自分に出会ってあわを食って、自分を撃ってしまうのだ。タイムマシンにひきこもっていた「ぼく」は、タイム・パラドックスのループに囚われてしまう。そこで未来の自分からこの窮地を抜け出すために告げられたのが、本の中に解答があるということだ。その本とは『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』というユー自身が書いている本なのである。

     かくて、本書はひきこもり小説である。うまくいけばひきこもり脱出小説になる。なるだろう、なるに違いない、なったかも知れないが、なっているところである。

  • どんなに頑張ったって過去は変えられないんだから、悩んだって仕方ない。
    じゃあ、未来はどうか。
    未来なんてものは、ただの白紙でしかない。
    だったら今を生きるしかないのだけれど、それはすごくお腹が痛いことで……

  •  息子に自身の失敗の場に立ち会われてしまった父の羞恥とやるせなさと、尊敬していたはずの父をはたと客観視してしまう息子の切なさ。そんな父子をキッチンで待つことを自分に課しているかのような母。家族って実は脆くて頼りないつながりで、各々の努力や分別なくしては維持できないんじゃないかと思う。

  • 2015年8月29日読了。
    タイム・ループというSFの王道をテーマとした物語。でも、壮大な展開があるわけではなく、藤子・F・不二雄の言葉を借りるなら「少し、不思議」の物語。主人公は特別な能力があるわけでもなく、若くもない、なんだったらちょっと冴えない人生を送る青年。その青年があるきっかけで、日常から少し逸脱して、タイム・ループに陥ってしまう。そのタイム・ループで青年が自分と家族の半生を振り返ることになる。自分の人生を振り返って、青年が最終的に下した決断、そこに至るまでの過程、その結果に全てに胸のすく思い。爽やかな読了感。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784153350151

  • タイムパラドックスに陥った青年が、過去と未来を通して自分と、そして家族を見つめ直す。

    円城塔の翻訳がものすごく円城塔な感じ。ちょっと笑える。

    わかりづらいけど、読みやすくて、
    ちょっとせつなくなったりした。
    SF小説だけど、家族の物語でした。

  • 書店

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